時代をつないで 大阪の日本共産党物語

第99話 再度つきつけた「都構想ノー」

コロナ下での「住民投票」強行    

 2020年11月1日、「都構想」=「大阪市廃止」を問う、2度目の住民投票がコロナ禍のもとで強行されました。
 維新は公明党との「密約」をテコにゴリ押しでしたが、再「住民投票」の道を開いたのは、クロス・ダブル選挙後の公明党と自民党府連指導部の屈服でした。府議会に続いて9月3日、大阪市議会で4つの「特別区」にする「協定書案」が可決されます。
 「協定書案」は、「住民サービスの維持に努める」というだけで「向上」を明記せず、各「特別区」の庁舎はつくらず、「中之島合同庁舎」(現大阪市役所)に間借りするなど驚くものでした。維新はビラに、「都構想への疑問はこちらまで」と大阪市役所副首都推進局の電話番号を掲載しました。
 9月のある世論調査では「賛成」49・1%、「反対」35・3%でした。これを覆したのは、市民の良識と共同の力でした。

論戦、共同、草の根の力       

MBS「ミント!」の討論番組で討論する山中氏(左)と松井氏=2020年10月12日(毎日放送テレビより)

 「明るい民主大阪府政をつくる会」「大阪市をよくする会」は「共同闘争本部」を組み10月1日、「大阪市をなくすな! 心は一つネットワーク集会」を開きました。元大阪市長の平松邦夫、元副知事の小西禎一、立憲野党の各代表らが、市民リレートークとともに訴えました。
 両会は「住民投票・まるわかりパンフ」140万部の発行や7回の全戸配布。14日間の「日刊ビラ」作戦などを展開します。このなかで、①大阪市の廃止か、130年の歴史を持つ大阪市の存続か。②住民サービスの低下か、大阪市の力を生かした探求か。③コロナ禍でなおカジノ、インバウンド頼みを続けるのか、命と福祉、暮らし第一へ転換するのか――焦点が浮き彫りになりました。今回は投票用紙にも「大阪市を廃止し特別区を設置することについての投票」と明記されました。
 10回のテレビ討論では、市議の山中智子(共産)、北野妙子(自民)が「反対派」を代表し、市長の松井一郎(維新)らに一歩も譲らない論陣を張りました。
 街頭での対話がどんどんすすめられるなか、大阪市医師会が「反対」を表明し、「子どもの医療・介護サービスが削られる。私は反対投票します」としたポスターがつくられます。「〝ふ〟を〝と〟にするのは将棋だけにしなはれ~」「50年間、公明党を支持してきました。創価学会を退会して『都構想』に反対します」など文化人のバナー広告が次々とアップ。絵本作家・長谷川義史のイラスト「大阪市なくなってほんまにええんか よー考えてや!」は大きく広げられました。
 最終盤、大阪市財政局が「4政令市への分市なら交付税が218億円不足」と試算していたことが、「毎日」報道で明るみにだされました。
 投票日には366カ所の投票所すべてで「会」が市民とともに情報提供活動をすすめました。

劇的な逆転勝利  

 開票の結果は「反対」69万2996票(50・6%)、「賛成」67万5829票(49・4%)。17167票差で、前回から差を広げ、24区のうち新たに東成区など14区が「反対多数」。「出口調査」(「朝日」)では、公明支持層の54%、支持なし層は61%が「反対」でした。
 日本共産党府常任委員会は声明「住民投票勝利――大阪市民の良識の力による歴史的勝利」を発表しました。共同闘争本部事務局長を担った大原真は「彼らが敗北した要因はまさに『市民の力』を読み違えたことです」と語ります。(次回は最終回「政治対決の弁証法」です)

(大阪民主新報、2022年7月10日号より)

 

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