時代をつないで 大阪の日本共産党物語

第84話 「九条の会」誕生

9氏のよびかけで 

 イラク戦争、自衛隊の海外派兵、改憲策動の強まりのなか、2004年6月10日、大江健三郎、加藤周一ら9氏のよびかけで「九条の会」が結成されます。「私たちは、平和を求める世界の市民と手をつなぐために、あらためて憲法九条を激動する世界に輝かせたい」――「憲法を守る」という一点でのよびかけは、国民の心をとらえました。
 9月18日、中之島公会堂で開かれた「九条の会」大阪講演会は長蛇の列、4千人の聴衆であふれ、急きょ公会堂前を第2会場にしたてました。「九条の会」よびかけ人を代表して3氏が訴えます。
 「日本国憲法は宝の泉」(井上ひさし)、「民主主義と自由に戦争を否定する平和主義を結合させたものが日本の憲法であり『世界平和宣言』」(小田実)、「いま生きている私たちだけでなく、未来の世代のために私たちがやらなければならない責任がある」(澤地久枝)。

九条の会・おおさかの結成      

 大阪では03年2月に大阪弁護士会が弁護士会主催としては全国初の有事法制反対のつどいを開くなど平和世論が高まっていました。「九条の会」に呼応し、準備会が城東区、大東市、高石以南の阪南ブロック、東大阪など次々と広がります。寝屋川市、河内長野市では「1000人アピール」がだされます。箕面養護学校では9割の教職員がアピール賛同に名を連ねました。「阪大9条の会」「司法書士9条の会」「宗教者9条の会」「おおさか女性9条の会」なども続々と誕生します。
 このなかで05年4月25日、桂米朝(落語家)、吉田玉男(文楽人形遣い)の人間国宝2氏、鬼追明夫(元日弁連会長)、藤本義一(作家)、松浦悟郎(日本カトリック正義と平和協議会会長)、森南海子(デザイナー)ら14氏のよびかけで「九条の会・おおさか」が結成されます。
 「九条の会」結成はさらに加速します。豊中市では著名なジャーナリスト、大学学長、シャンソン歌手ら19人が呼びかけ人となり、3225人の賛同人を集めて「結成記念・市民の集い」を開きました。05年末までに府内で352の「九条の会」が誕生。松原市では居酒屋が屋号を冠した「9条の会」をつくり、カウンターに入会用紙を置き、店主と客で「九条対話」をかわすなど、文字通り草の根に広がりました。

「せんそうアカン」の人文字      

イラク戦争反対を訴え、1万人の参加者が、平和の四つ葉のクローバーとPEACEの人文字をつくった国際反戦共同行動=04年3月20日、大阪城公園

 イラク戦争に反対する集会では、03年3月30日には青年たちのよびかけで2500人でつくった「せんそうアカン」の怒りの人文字がくっきりと描かれました。04年3月のイラク反戦集会では1万人で「平和の花」と「PEACE」の人文字がつくられます。
 「ピースウォーク」やほうきを手にしての「戦争ほうき行進」なども多彩にとりくまれます。04年6月には高校生たちが「たこピー」(たこやきからピース)という平和サークルをつくり、被爆者の体験を聞く会や元米海兵隊員アレン・ネルソンさんの体験を聞く会、国会要請行動にとりみます。
 新たな平和のうねりのなかで、93年に地区委員会を廃止していた民青同盟のなかで、03年1月19日に全国最初に堺泉北地区委員会が再建されます。05年11月の民青同盟第32回全国大会までに、北福島、吹田摂津、西淀川此花とあわせ4つの地区委員会が再建されました。(次回は「“小泉改革”に抗して」です)

(大阪民主新報、2022年3月20日号より)

 

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