時代をつないで 大阪の日本共産党物語

第94話 堺市長選挙勝利

 2013年9月29日、NHKは大河ドラマが始まるや、「堺市長選 大阪都構想に反対する現職の竹山修身氏 当選確実」のテロップを流しました。市民共同の力が、維新との一騎打ちで勝利した歴史的瞬間でした。

「堺はひとつ 堺をつぶすな」    

 橋下・維新が「大阪都」構想をかけ、政令市・堺市に襲いかかろうとした時、日本共産党堺地区委員会と「住みよい堺市をつくる会」は前回市長選では対決した竹山を「自主的に支持してたたかう」と声明を発表します。「是々非々」の態度をとりつつ、竹山が「都構想は必要ない」と橋下・維新と決別したこと、巨額を要する臨海部までのLRT路線建設の中止、 国保料の4年連続引き下げ、 子どもの医療費助成の中学校卒業まで拡充などをすすめているためでした。、
 現職市議を擁立した維新に、「つくる会」は「『大阪都』に堺をくみこむ根拠は? 市長選で『ノー』という答えがでたら、きっぱり断念するのか」などを公開質問状でつきつけ、激しい論戦が交わされます。
 「勝利の原動力はほんまに幅広い共同でした」(丹野優「つくる会」事務局長)。「堺はひとつ。堺をつぶすな」を合言葉にした市民集会には、堺市の自治連合協議会、医師会、商工会議所、市民団体の代表がズラリと並びました。告示日には自民党、民主党、連合の代表らが並ぶ前で、司会者が「共産党さんも、政党間の駆け引きをこえて堺のために立ち上がって下さっています。拍手を」と訴えました。

全駅で「日刊 堺はひとつ」     

 維新は60人以上の国会議員・秘書には「3日以上」、100人の地方議員には「2千軒歩け」とノルマを課した組織戦を展開しました。
 「つくる会」は告示後の毎日、堺市内の全27駅で「日刊 堺はひとつ」を配布する作戦をすすめました。大きな反響を呼び、駅頭が対話の大舞台になりました。
 「あのビラには市民の思いがつまっていた」(小郷一・竹山選対事務局長)、「感心したのは、維新の会の発言を収集して即座に反論する記事やった」(平田多加秋・市議会議長)。
 追われる維新は終盤、「大阪都はこの市長選だけでは決まりません」などと逃げ、最終日は、論戦不能になった橋下が泉ヶ丘駅前で「コラー!!共産党、俺の前にでてこい!!」などと叫びました。

第26回党大会決議に

堺市長選勝利を受けて開かれた住みよい堺市をつくる会の報告集会=2013年9月30日

 「勢いある共産党が相手方についてしまい、共産党の力で負けた」――11月1日、大阪市議会で山中智子市議に堺市長選結果を問われ、橋下市長がのべました。
 14年1月の日本共産党第26回党大会決議には「維新の会など、日本の未来に深刻な害悪を与える重大な反動的逆流を阻止するために、大阪市長選、堺市長選で『自主的支援』という形でたたかったことは重要であり、この教訓を今後のたたかいに生かしていく」と書き込まれました。
 この党大会と続く第27回党大会で、日本共産党堺地区委員長の坂上良一が発言。市長選勝利とともに、党員拡大を根幹とした党建設でも奮闘し、第27回党大会前の「大運動」では「リスペクト」を合言葉に140人の党員を増やした活動を報告しました。
 堺では2017年市長選挙でも再び、維新との一騎打ちを制します。しかし、竹山は2019年、政治 資金問題が発覚し、市長を辞任しました。(次回は「2014年総選挙の躍進」です)

(大阪民主新報、2022年6月5日号より)

 

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