おおさかナウ

2020年03月08日

営業悪化、雇用不安、医療体制不足
新型肺炎 感染拡大・一斉休校で不安・混乱
国の責任で支援・対処を

 日本共産党大阪府委員会は辰巳孝太郎副委員長・前参院議員を本部長とする「新型コロナウイルス関連対策本部」を設置することを決定し、3日には第1回目の会議を開きました。これに先立って2日、教育関係者はじめ医療・福祉、労働、商業など各分野の代表を招いて懇談会を開き、医療や生活など多方面に広がる影響を聞きました。

日本共産党府委員会「新型コロナウイルス関連対策本部」の第1回会議=3日、大阪市天王寺区内

日本共産党府委員会「新型コロナウイルス関連対策本部」の第1回会議=3日、大阪市天王寺区内

共産党府委が対策本部設置

売上激減に予約キャンセル

 大阪商工団体連合会(大商連)の代表は会員業者の苦境を示し、「1日15万円ほどあった売り上げが2万円に落ち込み廃業の危機」「滞在時間が減り客単価が落ち込んでいる」など、飲食業を中心に軒並み売上減少に苦しんでいると述べました。
 卒業シーズンを前に、花屋や美容院など予約キャンセルが相次ぐ他、「一斉休校に伴い、給食納入食材80万円が損失に」(卸売)、「輸入資材の不足で工期延長を余儀なくされた」(建設業)、「暖冬と感染症拡大のあおりを受け、事業継続も困難」(アパレル)など多方面に広がる影響を紹介。雇用調整助成金や緊急融資制度など、国の支援策強化が必要と訴えました。
 インバウンド需要を追い風に好調だった観光関連産業の打撃も深刻で、経営者団体の代表は、観光バス業者の経営悪化の他、感染症拡大予防のイベント中止で、保険代理店の業務にしわ寄せが出ていると発言。訪日外国人客の消費落ち込みで、売上げが10分の1に減った卸売企業もあると語りました。
 大規模イベントの中止、事業所の休業措置などの影響が労働者の雇用と生活不安に直結しています。

イベント中止で賃金出ない

 常設電話で労働者の悩みに応じる大阪労連・おおさか労働相談センターには、公共施設やイベント会社、清掃業など、労働者から新型肺炎拡大を巡る相談が寄せられているといい、大阪労連の代表は、「体育館が全館休業で、賃金が支払われるのか不安」「10日間のイベントが中止になり、賃金は出ないと言われた」「下請けの交代制勤務で、雇用が失われないか心配」など相談事例を報告しました。

児童への丁寧な対応が必要

 大阪教職員組合の代表は、臨時休校に入って家庭訪問を開始した教員の取り組みも紹介し、大人がいない自宅で日中を過ごす児童への丁寧な対応が必要だと強調しました。願書受付が始まる公立高校の受験対応など、学校現場の現状を報告しました。
 大阪自治労連の代表は、臨時休校を巡り、学童保育関係者の努力が広がっていると発言。保健師など専門職員の体制確保など保健所機能向上への課題を発言しました。

医療介護現場の人員確保を

 大阪府保険医協会の代表は、新型コロナウイルス感染への対応に追われる医療現場の取り組みを示し、4月実施予定の診療報酬改定は、現場に混乱をもたらすと指摘。医療・介護現場の人員確保などの国の対策強化が必要だと述べました。
 発熱や肺炎症状がありながら新型コロナウイルスの感染検査が受けられないとして医療従事者から改善を求める声が出ている問題で、大阪保険医共同組合の代表は、新型コロナウイルスを判定するPCR検査の中核を担う保健所と、大阪健康安全基礎研究所の検査態勢の問題点を指摘しました。
 新日本婦人の会大阪府本部、福祉保育労働組合代表らが各現場の実態と対策、課題などを発言しました。

旅行・宿泊産業
被害甚大 融資など支援を
宮本・辰巳各氏ら 近畿運輸局を聴取

近畿運輸局で観光産業などへの影響を聞く宮本、辰巳の各氏ら=2月28日、大阪市中央区内

近畿運輸局で観光産業などへの影響を聞く宮本、辰巳の各氏ら=2月28日、大阪市中央区内

 新型コロナウイルスの感染拡大への対応で、日本共産党の宮本岳志前衆院議員(衆院近畿比例・大阪5区候補)、辰巳孝太郎前参院議員は2月28日、大阪市中央区の国土交通省近畿運輸局を訪れ、観光事業者への影響などについて緊急調査しました。
 対応した同局観光企画課の村上良明課長は、旅行、宿泊各業者向けの特別相談窓口設置に加え、近畿6府県のホテルなどに聞き取りしているとし、観光客減少の影響について中国人団体ツアーのキャンセル、宿泊施設の客室単価下落など影響は甚大と指摘。日本人客による歓送迎会の予約キャンセルが増えるなど、悲鳴に似た声が寄せられていると語りました。
 宮本、辰巳両氏らは、奈良県や兵庫県はじめ独自に調査した事業者の苦境も示し、相談窓口の充実や資金繰りが厳しい事業者への融資が必要だと強調。従業員を休ませる企業への雇用調整助成金の対象拡大など、予算措置も強く求めました。
 日本共産党国会議員団近畿ブロック事務所と辰巳孝太郎前参院議員は先月、全日本建設交通一般労働組合(建交労)府本部を訪れて、バス業界への影響を聞き取りました。
 組合側は、乗務員らの減給や希望退職を募る事業者が出るなど深刻な声を紹介。バス事業者の経営を守り労働者の雇用と生活を維持するため、雇用調整助成金制度の要件緩和や無利子の融資措置など支援策が必要としました。

大胆な財政措置含む補正予算を
共産党府議団 府に緊急申し入れ

府議団が新型コロナ対策第2次申し入れminpou 日本共産党府議団は2月28日に新型コロナウイルス関連肺炎対策の抜本的強化を求め、吉村洋文知事宛に第2次緊急申し入れをしました=写真。検査や医療体制、感染予防の強化や相談体制、情報提供強化、中小企業や雇用対策強化、学校休校への対応などを要求。補正予算を直ちに編成し、開会中の府議会に提案することも求めました。
 府議団は2月3日に第1次申し入れをし、産業への影響調査や打撃を受ける分野への支援策を求めていました。府は17日、経営に影響が出ている中小企業向けの緊急融資制度を開始。今回の申し入れでは、その融資枠を大幅に拡大するとともに、保証料の全額補助や小規模事業所に対する専門家による経営相談なども求めました。
 非正規雇用者などの収入減少に対応し、府社会福祉協議会が生活困窮世帯に少額を貸し付ける緊急小口資金の拡充・活用を図ることも求めました。ひとり親家庭や非正規労働など保護者の休業補償などを緊急に国に要請し、保護者が休暇取得や在宅勤務ができるよう企業に対応策を求め、府の支援措置を講じることも盛り込みました。学童保育や保育所への人的・財政的支援と感染予防を市町村と協力して行うことも求めました。
 石川多枝団長は「現況の中で府民の暮らしをどう守っていくのかを考えなければいけない。大胆な財政措置を含む補正予算を」と求めました。

各地で共産党市議団が申し入れ

 茨木、東大阪、池田の各共産党市議団も学校休校に伴う措置、相談体制の強化、各分野への支援策などを求める緊急申し入れを各市に行いました。

(大阪民主新報、2020年3月8日号より)

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