おおさかナウ

2019年12月08日

大阪市の廃止はさせない
「都」構想阻止へ運動飛躍を
明るい会・よくする会「府民のつどい」に700人超

 大阪市を廃止して「特別区」に分割する、いわゆる「大阪都」構想の制度案を議論する大都市制度(特別区設置)協議会(法定協)で、維新や公明が「住民投票ありき」で暴走を続ける中、明るい民主大阪府政をつくる会(明るい会)と大阪市をよくする会(よくする会)が11月27日、大阪市中央区内で「『都構想』ストップ!府民のつどい」を開き、700人を超える参加者が会場を埋めました。

    大阪市を廃止・分割する「都」構想をストップさせようと開かれた「府民のつどい」=11月27日、大阪市中央区内

大阪市を廃止・分割する「都」構想をストップさせようと開かれた「府民のつどい」=11月27日、大阪市中央区内

 基調講演した関西学院大学の冨田宏治教授は、維新が選挙での集票を組織的に行う集団になっていると同時に、その得票には限度がある中で、投票率を高めることが勝利への決め手だと指摘。「貧困と格差の拡大の中で、政治に関心を持つ余裕すら奪われた人々にも寄り添い、政治に希望を持ってもらう取り組みを」と語りました。
 パネル討論では、冨田氏の進行で、日本共産党の山中智子大阪市議団長、名古屋市立大学名誉教授の山田明さん、ジャーナリストの幸田泉さんが3つのテーマで語り合いました。

■「都」構想の問題点と法定協

権限と財源を奪い取ること

基調講演する冨田教授

基調講演する冨田教授

 第1のテーマは、「都」構想の問題点と法定協の状況についてです。
 法定協委員の山中氏は、「都」構想推進派のうたい文句は「広域機能の一元化」「ニアイズベター」だが、大阪市を廃止して大規模公園や美術館などを府に移しても予算は増えず、「特別区」は権限・財源を府に吸い上げられた「半人前の自治体」に成り下がるなど、「百害あって一利なし」と述べました。
 法定協では、「特別区」に新庁舎を造らずに大阪市役所本庁舎を共同利用する「合同庁舎」案の委員間協議を20分で打ち切るなど、議論が形骸化していると指摘しました。「『都』構想の狙いは、大阪市をつぶして権限と財源を奪い取ること。『特別区』や区民の暮らしはどうなってもいいということが、日々明らかになっている」と語りました。

こんなものは自治体でない

 2年前に名古屋から転居し、38年ぶりで大阪に暮らす山田氏は、6月から毎回の法定協を直接傍聴しています。「協議会の名に値しないし、大阪市という政令市を府が乗っ取るものであることが見えてきた」と語りました。
 「合同庁舎」案では「特別区」の「淀川区」の場合、8割の職員が区外の大阪市役所本庁舎に勤務するという計画になっているが、「こんなものは自治体ではない」と批判。淀川をまたいで地域が分断される区割り案で、災害対策ができるのかと怒りを込めました。

ゾンビ法定協の異常な運営

 幸田氏は、前回の住民投票で「都」構想が否決されたにもかかわず、再び設置された法定協は「ゾンビ法定協」と指摘。しかも、「都」構想に前向きで建設的な発言しか許さないという異常な運営が行われていると告発しました。
 「特別区」の制度づくりで、自治体の財政運営に不可欠な基準財政需要額が試算されていない問題が指摘されても、維新が「大丈夫」と無視し続けているのは、「天候を調べずに飛行機を飛ばすようなもの」と指摘しました。

■再度の住民投票と維新政治

 第2のテーマは、再度の住民投票と維新政治についてです。

広い地域の活動結び付けて

パネル討論で語り合う(左から)山中氏、山田氏、幸田氏=11月27日、大阪市中央区内

パネル討論で語り合う(左から)山中氏、山田氏、幸田氏=11月27日、大阪市中央区内

 幸田氏は、「都」構想の基本は4年前の住民投票の時と同じで、大阪市民に犠牲を強いる構造は変わらないと強調。大阪市の廃止で住民サービスがどうなるかという「生活密着型の情報」を伝えることが重要だと述べました。
 山田氏も、住民生活に即したきめ細かな活動が必要だと語ると同時に、「都」構想や住民投票は大阪全体の問題だと指摘。大阪の母都市である大阪市がなくなれば、府内の衛星都市にも影響が出るのは必至だとし、「大阪市を包み込む、広い地域からの活動が結び付くような運動を」と提言しました。

廃止すると元へは戻れない

 山中氏は「大阪市を廃止すれば元へは戻れない」とあらためて力説しました。
 前回の住民投票以上に、政党支持などの違いを超えた共同を地域で広げることが決定的だとし、「一日も早く、一人一人がそれぞれの思いを草の根で語り、『大阪市をなくしては駄目だ』という一点での大きなたたかいを」と決意を語りました。

■豊かな大阪をつくるために

暮らしを豊かにする転換を

 第3のテーマは、豊かな大阪をつくるために何が必要かです。
 「制度いじりに費やす時間や労力、税金を市民の暮らしを豊かにする、中身の転換に向けるべき」と述べた山中氏は、国民健康保険料や介護保険料の引き下げをはじめ、社会保障を充実し、子育ての不安を減らし、大阪経済の主役である中小企業・商店街への支援に全力を尽くさなければならないと力説しました。

政令市しかできないことを

 山田氏も、「制度を変えても、大阪の経済が発展しないことは明白」と強調しました。「大阪市を廃止すること自体が歴史的な暴挙であることを、これからの大阪を支える若い世代にも伝えよう。大阪市が、政令市しかできないことをやっていくことこそ、大阪の成長につながる」と語りました。

国を動かして自治体豊かに

 幸田氏は、いま20ある政令市は、政令市長会で団結して国に要望しているが、大阪市を廃止してできる4つの「特別区」は、全国的にも孤立した状態になると指摘。「政令市の格を持ちながら同じ政令市と手を携え、国を動かして自治体を豊かにしていく道を目指すのが、一番現実的だ」と述べました。

市民と野党の共闘広げて
森山氏・平松氏・たつみ氏があいさつ

 「府民のつどい」では、立憲民主党府連代表代行の森山浩行衆院議員、元大阪市長で公共政策ラボ代表の平松邦夫さん、日本共産党のたつみコータロー前参院議員が来賓あいさつ。新社会党府本部の山下慶喜委員長がメッセージを寄せました。
 森山氏は、政令市を廃止する「都」構想の問題に関連して、千葉県が台風被害にすぐ対応できない間に、千葉市が独自に動いたことを紹介。「これは政令市だからできる。身近な部分をしっかり訴えたい」と語りました。

 平松氏は、2015年の住民投票では1万741票という僅差での勝利だったと指摘。再度の住民投票へ維新が強い勢いで動いていると強調し、「きょうは、それを覆すための決起集会。皆さん頑張りましょう」と力を込めました。

 たつみ氏は、大阪市が廃止されれば、子ども医療費助成制度などを続けるかどうかは各「特別区」の判断に任され、少ない予算の中で住民サービスの低下は目に見えているとし、「市民と野党の共闘を広げ、維新の野望を打ち破ろう」と呼び掛けました。

森山浩行衆院議員

森山浩行衆院議員

平松邦夫元大阪市長

平松邦夫元大阪市長

たつみコータロー前参院議員

たつみコータロー前参院議員

「都」構想の本質を知らせる大運動へ

 開会あいさつした明るい会の荒田功事務局長は、6月に再開された法定協では維新と公明が委員の4分の3を占め、「『都』構想・住民投票ありき」で強引な議論を進めているが、「合同庁舎」問題など「都」構想のでたらめさも浮き彫りだと指摘。「大阪市を解体する『都』構想の本質を語り、府民全体に広げる大運動を始めよう」と訴えました。

パンフ利用し学習・宣伝を

 よくする会の福井朗事務局長が行動提起し、①新たに作成したパンフレット「OSAKAの未来をつくろう」を活用した大学習運動②「都」構想についての学習会・集会・住民シンポジウムの開催③「都」構想は「大阪市を廃止する」ことを知らせる宣伝に取り組もうと呼び掛けました。

(大阪民主新報、2019年12月8日号より)

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