おおさかナウ

2019年12月01日

児相設置・運営は市が一体でこそ
第29回法定協 山中智子市議が力説

意見表明する山中智子大阪市議=11月22日、大阪市役所内

意見表明する山中智子大阪市議=11月22日、大阪市役所内

 大阪市を廃止して「特別区」に分割する、いわゆる「大阪都」構想の制度設計を話し合う大都市制度(特別区設置)協議会(法定協)の第29回目の会合が11月22日、大阪市役所内で開かれました。児童相談所(児相)の設置、「特別区」設置の日などについて各会派の代表が意見を表明。法定協の今井豊会長(維新府議)は、維新が主導する制度案通りに「特別区」設置協定書を取りまとめていく方向性を確認しましたが、児相の設置などをめぐって、大阪市の廃止・分割の道理のなさが浮き彫りになっています。

「特別区」ごとの運営には不安が

 児相について制度案では、大阪市鶴見区に4カ所目を新設することを前提に、4つの「特別区」ごとに設置・運営するとしています。日本共産党の山中智子大阪市議は「大阪市のままでも児相を4カ所設置することは大いに進めるべきだが、『特別区』ごとに運営することには大きな不安がある」と力説しました。
 山中氏は、各「特別区」で職員の採用や人材育成を別個に行い、処遇に差が生じれば、児童福祉司を確保できない区が出てしまう恐れもあるとし、「4つの児相が一体の大きな集団だからこそ、人事異動や交流、研修をしながら、全体の力量を上げることができるが、ばらばらでは現場は本当にしんどい」と述べました。

児童養護施設がない「特別区」も

 山中氏は、児相を運営する以上、一時保護した子どもたちを受け入れる児童養護施設や乳児院が不可欠で、乳児は一時保護そのものが児相ではできず、乳児院で受け入れてもらわないといけないと強調。ところが「特別区」の「1区」には乳児院がなく、児童養護施設は「1区」と「4区」に偏在し、「2区」と「3区」にはないと指摘しました。
 さらに、児相はばらばらな上に、制度案では児童養護施設や乳児院への入所の調整は「特別区」ではなく、一部事務組合でやることになっているのもおかしな話だとし、「待ったなしの赤ちゃんの命がこれで守れるのか。大阪市が4つの児相をつくる以上、しっかり(一体で)運営していくべきだ」と主張しました。

市の廃止分割はあまりに無謀だ

 「特別区」設置日を「2025年1月1日」とする方針も、法定協で多数を占める維新と公明の賛成で固められました。もし来年秋冬に住民投票が実施され、大阪市廃止に「賛成多数」となった場合、「特別区」への移行に3~4年かかると想定したもの。維新は、来年年明けに「特別区」設置のための工程表を出すことまで求めました。
 山中氏は、自治体の合併は全国に例があるが、分割は例がなく、大阪市を廃止して4つの「特別区」にするには膨大な事務量が必要で、「無謀としか言いようがない」と指摘。大阪市廃止が決まっていないにもかかわらず、「特別区」の移行スケジュールを積み上げることは認められないと述べました。

(大阪民主新報、2019年12月1日号より)

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