おおさかナウ

2019年11月24日

子どもの権利条約批准から25年
〝けんぽうあたま〟で考えよう
大阪市中央区 「みんなの自治体学校」開く

子どもは地域の宝 子どもの笑顔はまちの元気に

 「子どもは地域の宝 子どもの笑顔はまちの元気に」と、第14回「おおさか・中央区みんなの自治体学校」(主催・同実行委員会)が17日、大阪市中央区内で開かれました。ことしは、1989年の国連総会で子どもの権利条約が国連で採択されてから30年、日本が批准してから25年の節目に当たることから、憲法や同条約の視点から保育や教育を考えようと企画されたものです。

自治のあり方みんなで考え

憲法や子どもの権利条約から保育・教育を考えようと開かれた第14回「おおさか・中央区みんなの自治体学校」=17日、大阪市中央区内

憲法や子どもの権利条約から保育・教育を考えようと開かれた第14回「おおさか・中央区みんなの自治体学校」=17日、大阪市中央区内

 「みんなの自治体学校」は、自治体職員や議員、研究者、住民らが集まり、地方自治のあり方を、「わが街・中央区」から考えようと2014年3月に始まりました。これまでの13回では、大阪市を廃止・分割する「大阪都」構想の問題点や幼稚園民営化、カジノ万博、大阪城公園はじめ公園のあり方などをテーマに取り上げています。
 「けんぽうあたまで考える保育・教育」と題して國本依伸弁護士が講演しました。保育所や学童保育の待機児童が社会問題になっている中で、行政が財政的な理由で必要な条件整備に背を向けることは、そもそも憲法25条(生存権)や児童福祉法に反すると指摘。外国人が多く暮らす中央区で、外国籍の子どもの未就学なども深刻な問題で、対応が求められているとし、「憲法のフィルターを通して政府や行政の役割、子どもたちの現状を見ることが重要だ」と問題提起しました。

条約批准した国には義務が

 憲法98条2項は「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」と明記しています。
 國本氏は、日本が子どもの権利条約を批准している以上、同条約の原則である「児童の最善の利益」のために、保育所の整備や資格を持つ保育士の確保や処遇の改善などで具体的な措置を取ることは、国の義務であり、憲法上の要請だと強調しました。

目の前にいる子どものため

 國本氏は「何が子どもにとって良いことかを大人だけで決めてはいけない」と指摘。同条約第12条では意見表明権を定めており、子どもの意見を聞かずに施策を執行することも憲法違反だと述べました。
 さらに条約の原文(英語)では「子ども」が「the Child」となっているのは、漠然とした「子どもの誰か」ではなく、「地球上に生まれた具体的な子ども、目の前にいる子ども、その一人一人の権利を守るのが国の義務であることを定めたのがこの条約だ」と力説しました。

(大阪民主新報、2019年11月24日号より)

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