おおさかナウ

2019年11月03日

府議会が補正予算案可決
カジノ業者の環境アセスを代行
日本共産党は反対

 府議会は10月25日の本会議で、カジノを含む統合型リゾート(IR)の環境アセスメント予算や来年度の中学生チャレンジテスト実施費の一部を含む今年度補正予算案を可決しました。日本共産党は反対しました。
 IRの環境アセスは本来は事業者の責任で行いますが、事業者の選定後では2024年度の開業に間に合わないため、府と大阪市が代行して行うもの。費用はのちに事業者から徴収するとしています。カジノを規制する国の「カジノ管理委員会」の設置も待たず、府民生活を破壊する恐れのあるIRの早期開業ありきで、先走るものです。

チャレンジテスト改悪

 府教育庁が昨年に「見直す」としていた中学生チャレンジテストは、中止を求める声が多い中で来年度以降も継続します。
 学校ごとの「団体戦」と呼ばれる、通う学校の点数が生徒個人の成績に反映する3年生の仕組みを、1~2年生にも適用するなど改悪されました。
 再来年度から小学校5~6年生にも、府独自テストを実施します。現在は年約3億円とされる実施経費は、さらに膨らむ可能性があります。
 IR誘致の白紙・再検討を求める請願に共産党と民主ネット(立憲・国民)が賛成しましたが、維新と自民、公明が反対し、不採択となりました。重度障害者(児)医療費助成制度の存続や難病センターの設置を求める請願項目は維新が反対し、不採択になりました。

咲洲庁舎地震対策で追加工事
安全上必要も重い財政負担

 府議会では、咲洲庁舎(大阪市住之江区)の長周期地震動対策追加工事の議案が可決しました。咲洲庁舎に約30億円をかけて制震ダンパー260台を追加するなどの工事で、工期は2年半。大林組が受注します。
 日本共産党は、庁舎利用者や近隣の安全を守る立場から賛成しましたが、咲洲庁舎からの全面撤退を一貫して求めています。

咲洲庁舎から撤退を
内海公仁日本共産党府議団政調会長の話

うち海公仁氏

うち海公仁氏

 咲洲庁舎には、購入費や改修費などで昨年度までに167億円もの府民の税金が費やされてきました。安全上必要な工事とはいえ、さらなる財政投入をせざるを得ないことは重大です。
 今回の工事は契約に至る入札の経過についても不透明な部分があります。工事の入札方式は総合評価一般競争入札で、入札したのは大林組1社のみです。しかも落札率(府が設定した予定価格と落札者が提示した金額の割合)は99・9%で、事前に府と同社の間で価格交渉があった疑いも否定できません。
 咲洲庁舎は、2011年の東日本大震災時に発生した長周期地震動によって、壁や天井ボードがはがれ落ちるなどの被害を受けました。これを受けて12年に制震ダンパー292台を設置する工事を行いました。この工事も大林組が受注しましたが、工事費は今回の3分の1以下の約9億円でした。今回の追加工事は、その後の15年に内閣府が出した報告書で、個別の超高層建築物の長周期地震動対策について「改めて構造安全性の検証を行い…改修等の措置を講じることが望ましい」とされたことによるものです。
 日本共産党は、08年に橋下徹知事(当時)が同庁舎への府庁移転を提案して以来、長周期地震動に弱いなどの安全性や採算性、利便性の面から同庁舎の問題を指摘し、購入にも府庁移転にも反対しました。
 あらためて府庁舎の咲洲庁舎からの撤退と大手前への集約を求めるとともに、咲洲を含む大阪湾岸地域の防災・安全対策の抜本的強化を求めるものです。

生活再建支援制度の拡充を
石川府議団長 吉村知事に迫る

 日本共産党の石川多枝府議団長は23日の府議会総務常任委員会で、昨年の大阪府北部地震と台風21号の被災者を対象にした府の生活再建支援制度を、一部損壊世帯にまで対象拡大し、恒久的な制度とするよう求めました。
 府の制度は、昨年の災害で国の支援対象となったのが高槻市内の地震被害のみだったため、その他の被災者が同様に支援が受けられるよう設けれらました。
 国は今年の台風による甚大な被害を受け、災害救助法を適用外だった一部損壊世帯まで拡大します。
 石川府議は「今後の災害に備えるべきだ」と迫りましたが、吉村洋文知事は「国が定めたルールが基本。府が国と違う特別なルールを設けるのは反対だ」の述べました。

カジノで大阪経済よくならない

石川たえ氏

石川たえ氏

 府と大阪市が誘致しようとしているカジノについて、石川府議は「マイナス面を議論しないままで、本当に大阪成長のインパクトになるのか」と迫りました。カジノの社会的損失について、アメリカではギャンブル等依存症患者一人当たり約1万ドル、「南半球最大のカジノ」を有するオーストラリアのビクトリア州ではカジノ収益の4~5倍と試算されていると、石川府議は示しました。
 大阪での社会的損失の推計について吉村知事は、報告を受けていないと認めながら「万全の対策を講じる」と述べました。
 石川府議は「賭博場をこれ以上つくらないことが、ギャンブル等依存症患者を生まない最も確かな力だ。カジノでは府民生活や大阪経済は良くならない」と主張しました。

(大阪民主新報、2019年11月3日号より)

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