おおさかナウ

2019年07月07日

クラウドファンディングで人件費
三島救命救急センター 医師不足慢性化で
行政は責任を果たすべき

 日本共産党府議団は、医師不足を解消しようとインターネットなどを活用し広く資金協力を求めるクラウドファンディングで医師らの人件費を集めている三島救命救急センター(高槻市)を6月26日に訪れ、専務理事らから公的支援の状況などを聞き取りました。

共産党府議団が聞き取り

患者受け入れ制限の事態も

三島救命救急センターの医師不足の状況などを聞き取る共産党府議団=6月26日、高槻市内

三島救命救急センターの医師不足の状況などを聞き取る共産党府議団=6月26日、高槻市内

 同センターは、府内16カ所の究明救急センターの一つ。救急救命センターは、重篤な救急患者を24時間体制で受け入れる医療機関で、都道府県が整備すると定められています。
 1985年11月に開設した同センターは、全国でも少ない独立型の救命救急センターで、02年からは特別救急隊「ドクターカー」も運用してきました。近年は慢性的な医師不足に陥り、患者受け入れを制限する事態も生まれています。
 2012年度には31人だった医師数は、現在13人と減少。「41病床のうち30床前後の受け入れしかできなくなっている」などと報じられています。患者搬送の問い合わせに対して、受け入れる割合は2016年度は83・6%でしたが、2018年度は64・2%になっています。
 6月5日から始めたクラウドファンディングは、7日目で目標の2千万円を突破しました。これまでに3200万円余の募金が集まっており、9月3日まで引き続いて寄付を募ります。

稼働ベッドを若干減らして

三島救命救急センター

三島救命救急センター

 法幸貞次専務理事は、「24時間365日の受け入れなので、手術のできる先生が最低でも複数欲しい」と説明します。岩川幸二事務局長代理も、「今年度は中堅看護師の退職があり、一人で任せられる職員が減って、稼働させるベッドを若干減らしている。7月からは教育した新人を少しずつ投入していく」と話します。
 センターは医療収入と府や周辺自治体からの補助、患者らからの寄付で運営しています。施設の耐震化の問題もあり、22年度に高槻市内の大阪医科大学内に移転する予定で、それまでの安定運営を続けるため、クラウドファンディングの活用を決めたといいます。

命を守るためみなで知恵を

 石川多枝府議は「大事なのは府民の命。みんなで知恵を出したい」。内海公仁府議は「通常の医療機関と違い、ベッドを常時開けて待っていることが必要で、不採算を抱えていなければならない立ち位置にある。3次救急は府が責任を負う立場であり、必要な要望はもっとしてもいいはず」と述べました。

橋下時代に補助金削減画策

 10年、橋下徹府知事(当時)が打ちだした「府財政構造改革プラン」で、3次救急医療機関への独自補助金削減が打ち出された時、地元住民団体が「命のとりで、救命救急医療を守れ」と継続・充実を求める署名運動などを展開。共産党府議団も、予算抑制方針の撤回と、救命救急医療体制の充実を国に要求するとともに、府としても広域的役割を発揮し努力すべきだと知事に迫りました。
 国会では山下よしき参院議員が、救急医療現場での医師不足などの背景にある政府の連続医療改悪、低医療政策を追及し、根本転換を求めていました。

(大阪民主新報、2019年7月7日号より)

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