どこに消えた!?維新の文通費
政党助成金と二重受け取り、虚偽記載…
「身を切る改革」の醜い中身
今回の参院選で、国会議員の「文書交通通信滞在費(文通費)」問題に注目が集まっています。党首討論(3日)で日本共産党の志位和夫委員長が、維新は「文通費」の領収書を公開しているが、その議員が支部長を務める政党支部に全額を寄付していることを示し、「使途はブラックボックス」と批判。さらに、政党助成金との二重の受け取りや虚偽記載の疑いがあるなど、公金の使い方として見過ごせない実態があります。
文書交通通信滞在費(文通費) 文通費は国会議員の歳費として月100万円が支給されています。公の書類の発送や公の性質がある通信などを行うためのもの。報告・公開の義務がないため「国会議員の第2の給与」との批判もある中で、維新は、国会議員が「身を切る改革」をしていない典型例として持ち出してきました。 日本共産党は衆参両院議員の全員の合意を基に、文通費は国会議員団で共同管理。文通費の趣旨を踏まえて各議員の国会事務所や、党国会議員の活動を支える国会議員団ブロック事務所で活用し、人件費や選挙には使っていません。会計処理は、すべて領収書と伝票に基づいて執行・補完しています。 文通費のあり方について日本共産党は、公表とそのルールを含めた見直しの議論を各党に呼び掛けています。 |
支部への「寄付」消える
高木参院議員
人件費支出で二重受け取り
大阪選挙区選出の高木かおり参院議員は、維新が公開している文通費の使途報告書によると、2017年に自らが代表者の「日本維新の会参議院大阪府選挙区第3支部(参院大阪第3支部)」に、620万1537円(支給総額の約51%)を「寄付」。そのうち470万6428万円は「国政スタッフ」の「人件費」としています。
参院大阪第3支部は同年に「人件費」として523万4236円支出(政治資金収支報告書)。総務省の「政党交付金使途等報告書」によると、その全額を政党助成金でまかなったことになっています。「政党交付金使途等報告書」が正しいとすれば、文通費の使途報告書の記載は虚偽記載の疑いがあります。
事務所経費も二重受け取り
また高木氏は、参院大阪第3支部への「寄付」のうち、「支部諸経費」などで計144万4767円と報告しています。
政治資金収支報告書によると、同支部の「備品・消耗品費」と「事務所費」の支出は計421万1858円ですが、うち391万2231円は政党助成金で支出。差額は29万9627円で、文通費を使う余地はほとんどありません。もし使ったとしても、残りの114万5140円は二重受け取りになります。
高木氏は、初当選した16年の参院選の選挙公報で「『身を切る改革』で実現できます!教育費をタダへ!」「『身を切る改革』で財源を生み出します」と書いていましたが、文通費から参院大阪第3支部に「寄付」した約620万円は、どこへ消えたのか。
高木氏は16年5月16日に、参院大阪第3支部に1700万円を貸し付けています。その返済に使われたとすれば、文通費は高木氏に渡ったことになります。
政党助成金充てながら
井上衆院議員
同じ額と金額どちらも記載
17年の総選挙で大阪1区で落選し、比例復活した井上英孝衆院議員が代表の「日本維新の会衆議院大阪府第1選挙区支部(衆院大阪第1支部)」。同年の政治資金収支報告書によると「選挙関係費」の「印刷製本費」(政党ビラ印刷費、選挙ハガキ印刷費、政党ポスター政策費」に154万4400円を支出しています。政党交付金使途等報告書によると、財源は全額、政党助成金です。
一方、井上氏は同年10月の文通費使途報告書によると、衆院大阪第1支部に204万4400円を「寄付」しています。そのうち「政党ポスター印刷費、政党ビラ印刷費、ハガキ印刷費」が154万4400円です。政党助成金を充てたといいながら、同項目・同額を文通費でも支出したことになっており、虚偽記載の疑いがあります。
他にも井上氏は、同年の政党交付金使途報告書には「宣伝事業費」の「印刷製本費」として「為書ポスター政策費」8万3700円(3月14日)を記載。文通費使途報告書にも、「宣伝事業費」の「ポスター印刷代」として、8万3700円(3月14日)が記載されています。
事務所諸経費を貯め込んで
また、井上氏は17年に文通費から「事務所諸経費」として240万円を受け取り、資金管理団体「井水会」(東京都千代田区)に「寄付」しています。
ところが「井水会」の「事務所費」の支出は10万248円のみで、「備品・消耗費」を加えても41万8019万円しかありません。
一方、「井水会」は、井上氏の政治団体「井上政治研究会」(大阪市港区)に300万円を「寄付」しています。政治資金収支報告書によると、同研究会の支出は2万9092円だけ。井上氏が「井水会」に寄付した文通費240万円のほとんどが、「井上政治研究会」に横流しされ、貯め込まれている疑いがあります。
支払ったのは政党助成金?文通費?(井上衆院議員の報告書から)
「100%税金依存」の維新支部も
維新は「身を切る改革」を叫びながら、政党助成金の返上や廃止に背を向けていますが、同党の国会議員が自ら代表を務める政党支部には、収入の100%を税金(政党助成金や文通費)に依存している支部があります。
17年度の政治資金収支報告書や政党交付金使途等報告書、文通費使途報告書によると、浦野靖人衆院議員が代表の「日本維新の会衆議院大阪府第15区選挙区支部」の場合、17年度の収入総額は1963万7890円。内訳は、浦野氏が文通費から寄付した963万7890円と政党助成金1千万円。収入の100%が税金です。
高木かおり参院議員が代表の「日本維新の会参議院大阪府第3支部」も、同年の収入1620万1537円のうち、文通費からの寄付620万1537円と政党助成金1千万円で、100%を占めます。
浅田均参院議員が代表の「日本維新の会参議院大阪府第2支部」の同年の収入1千万円は100%政党助成金です。また、浅田氏は文通費を資金管理団体「浅田会」(大阪市城東区)に寄付しています。
(大阪民主新報、2019年7月21日号より)