おおさかナウ

2019年07月19日

大阪を変える「3つの提案」下
富裕層、大企業に応分の負担を

提案3のグラフのコピー 一握りの層への富の集中が進む一方、格差と貧困の問題が一層深刻化しています。大企業や高額所得者への応分の負担を求める仕組みが必要です。
 2017年の就業構造基本調査によると、府内で年収300万円未満の世帯は一般世帯で24・6%、単身世帯だと67・1%に及びます。低所得層の増大は、少子化にも大きな影響を及ぼしています。一方年収1千万円以上の一般世帯は12・6%で、5年前と比べて約2ポイント増え、「富」のいっそうの集中が見られます。
 しかし、7兆円の年金財源の削減が問題になっている厚生年金保険料は、一定額以上の高額所得者ほど負担割合が低い仕組みになっています。
 厚生年金保険料は、月収に保険料率をかけて決められますが、月収の水準を31の等級に区分して上限を定め、月収60万5千円を超えると、月収が100万円を超えても200万円でも保険料は月額5万6730円(本人負担分)どまりです。
 健康保険料も同じように月収を区分して保険料を決めていますが、等級区分は50段階で、上限額は8万2844円(大阪府)で、その際の月収は135万5千円と厚生年金保険料の倍以上です。
 年収にすると厚生年金の場合は約1千万円で保険料は頭打ち。健康保険の場合は約2千万円です。
 大阪国税局の資料によると、同管内で所得1千万円以上の人は約21万人、2千万円以上の人は約6万6千人です。厚生年金保険料の上限を健康保険料の上限並みに引き上げると新たに管内で15万人ほどが引き上げた保険料の対象となります。こうすることで全国では、1・6兆円の保険料収入が増えます。
 富裕層は、所得税でも負担率が低くなっています。所得が1億円を超えると、所得税の負担率が下がっていくのです。
 巨額のもうけを上げている大企業にも、もうけに見合った負担が必要です。財務省の法人企業統計によると、17年度の法人企業の内部留保の大部分を占める利益剰余金は446兆円。13年度からの5年間で1・36倍に増えました。
 資本金別に1社当たりの利益剰余金をみると、資本金10億円以上の企業が、そのほとんどを占めています。大企業ほど、儲けを賃金や下請け中小企業の代金に回さずに企業内にため込んでいるのです。(グラフ)
 従業員規模10人~99人規模の企業の労働者の賃金は同1千人以上規模の労働者に賃金の77%、月額10万円もの差があります(賃金構造基本統計・大阪府分)。
 大企業による「下請けいじめ」をやめさせるとともに、国が、厚生年金や健康保険などの社会保険料負担の軽減といった中小企業支援と合わせて賃金引き上げに取り組むべきです。税制度でも中小企業の法人税負担率は18%なのに、大企業は優遇税制があるため10%しか負担していません。


(大阪民主新報、2019年7月21日号より)

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