おおさかナウ

2019年06月08日

あったかい人間の連帯を国の政治に
参院議員・山下よしき物語
⑥雇用(3) 過労死した若者の無念を胸に

質問原稿の隅に自らの「思い」を

 山下さんは国会論戦に臨むとき、質問原稿の隅に自らの「思い」を毎回メモするといいます。2017年12月の参院総務委員会での質問で、こう記しました。

 「未和さんの無念を胸に!!」

 NHK記者の佐戸未和さんが過労死したのは、13年の参院選の投票日から3日後の7月24日ごろ。享年31歳でした。首都圏放送センターに配属されていた佐戸さんは都議選、参院選の取材に当たっていましたが、当時の時間外労働は6月188時間、7月209時間と、過労死基準(80時間)の2倍以上に。翌年5月に過労死と認定されましたが、NHKが事実を公表したのは、佐戸さんの死から4年以上経った17年10月でした。

記者の過労死を二度と起こすな

 「毎日、娘の後を追って死ぬことばかり考えていました」――質問で山下さんは、佐戸さんの母、恵美子さんの言葉を紹介して、「二度と起こしてはならない」と、NHKの上田良一会長に迫りました。佐戸さんが亡くなった当時、NHKは「事業場外みなし労働時間制」を適用し、労働時間を管理していなかった実態を告発。同制度は、取材現場などでの業務があるために労働時間が把握できないことを理由に、例えば1日9時間なら9時間働いたと「みなす」ものです。

 厚労省は「同制度でも、使用者は適正な労働時間管理を行う責務がある」と答弁。上田会長は「ご両親の思いを重く受け止め、再発防止に私を先頭に取り組む」と答弁しました。山下さんは重ねて、「未和さんの死はなぜ起きたのか、なぜ防げなかったのか。それを共有化してこそ制度に魂が入る」と力説しました。

働かせ方改悪と正面から対決し

「働き方改革」一括法案への抗議行動に、過労死遺族、野党議員と共に参加した山下さん(左から3人目)。手前で訴えているのは、過労死したNHK記者の佐戸未和さんの母、恵美子さん=2018年6月26日、国会正門前。(山下よしき事務所提供)

「働き方改革」一括法案への抗議行動に、過労死遺族、野党議員と共に参加した山下さん(左から3人目)。手前で訴えているのは、過労死したNHK記者の佐戸未和さんの母、恵美子さん=2018年6月26日、国会正門前。(山下よしき事務所提供)

 佐戸さんの過労死だけでなく、痛ましい出来事が相次いでいました。15年12月には大手広告会社・電通の社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が、17年3月には新国立競技場建設の現場監督だった男性(同23歳)が過労自殺。安倍晋三首相は17年2月、高橋さんの遺族と面会して「二度と過労死の悲劇を繰り返しません」と述べました。

 ところが、その安倍政権が昨年の通常国会に出した「働き方改革」一括法案は、「残業代ゼロ制度」を導入し、際限のない長時間労働・過労死を生み出す「働かせ方大改悪」そのものでした。

 山下さんは党の「働かせ方大改悪阻止闘争本部」の責任者として、6月4日の本会議で質問に立ちました。「この制度だけはやめてほしい」という過労死遺族の思いを踏みにじる安倍首相の姿勢を厳しく批判。「8時間労働制を根底からくつがえすもの。これでは、過労死の悲劇をなくすどころか、促進することになるのではないか」と迫りました。

安倍政権を倒し悪法廃止を必ず

 「働き方改革」一括法案は、衆院に続いて参院でも自民・公明、そして維新などが「数の力」で可決・成立しましたが、同時に重要部分の一つだった「裁量労働制の拡大」は、国民の運動と野党共闘の力で削除に追い込まれました。使用者が労働時間を把握しない裁量労働制の対象業務の拡大は、確実に過労死を拡大するもの。厚労省による労働時間データ捏造問題が発覚する中で、野党が「人の命を、過労死の事実を何と心得るのか」と結束し、「野党合同ヒアリング」で捏造を一つ一つ追及していった成果です。

 参院厚生労働委員会で法案が強行された昨年6月28日夜、国会前に駆け付けた労働者や過労死遺族、市民らは、「命を壊す法律いらない」と、コールを繰り返しました。立憲民主党、国民民主党、社民党の国会議員と共に行動に参加した山下さんは、「強行採決を糾弾する」として、「すべての労働者、心ある野党との共闘を実現し、安倍政権を打倒し、この悪法の廃止に道を開く」と、自らの怒りを鎮めるように決意を表明しました。(続く)

(大阪民主新報、2019年6月9日号より)

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