おおさかナウ

2019年04月20日

日本の未来を開くために
党派を超えて宮本さんを
市民連合呼び掛け人
元日本学術会議会長 広渡清吾さんの訴え(大要)

 衆院大阪12区補選が告示された9日、京阪寝屋川市駅前で行われた、宮本たけし候補の必勝を目指す街頭演説「市民&野党 ホンキで変える キックオフ」で、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合(市民連合)の呼び掛け人で、元日本学術会議会長の広渡清吾さん(法学者)が訴えました。その大要を紹介します。

宮本候補(右)の勝利をと訴える市民連合呼び掛け人の広渡清吾氏(中央)=9日、寝屋川市内

宮本候補(右)の勝利をと訴える市民連合呼び掛け人の広渡清吾氏(中央)=9日、寝屋川市内

宮本氏の決意と党の決断に感謝

 きょうは宮本たけしさんの応援にやってまいりました。市民連合は2015年12月に結成されました。市民連合の目的は、市民と野党の共同の旗を掲げて安倍政治を倒すことにあります。この間、その活動の中で最も誠実に、私たちと一緒にたたかって下さったのが日本共産党です。

 今回、この大阪12区の補欠選挙で日本共産党は、現職の宮本さんを無所属候補として擁立し、市民と野党の共同の旗で安倍政権を倒す大きな仕事にチャレンジすることを決断されました。私は、宮本さんの個人的な決意と、日本共産党の誠実な決断を心から感謝し、敬意を表したいと思います。ありがとうございます。

軍拡の安倍政権 目標は9条改憲

 どうして安倍政権を倒さなくてはいけないのか、ということです。安倍政権はその成立以来、一貫して軍事というものを、政治・経済・社会の中心に押し出す政治を進めてきました。安倍政権の下で防衛費は毎年増加しています。安倍政権は軍拡政権です。トランプ米大統領の言いなりに、高価な、大量の兵器をアメリカから購入しています。

 そしてこの安倍政権の最後の目標が、9条の改憲です。憲法9条を変えるということです。安倍首相と自民党は、「9条を変えますが、9条1項、2項はそのままです」「自衛隊を明記する新しい条文をちょっと付け加えるだけですから、皆さん、心配いりません」と説明をしています。

世界中どこでも戦争のため出動

 とんでもないうそです。新しく付け加えられる条文は、「国と国民の安全を守るために、必要な自衛の措置をとる実力組織として自衛隊を保持する」というものです。しかしこの条文の中には、自衛隊の活動の範囲や装備の内容を限定する、いかなる意味も含まれていません。「国民を守るため」であれば、自衛隊は世界のどこにでも出動します。

 一番いけないのは、安倍首相が「9条を変えることによって、自衛隊員の皆さんに誇りをもってもらいたい。自衛隊員の皆さんのために9条を変える」と言っていることです。しかし、もし安倍首相と自民党が考えている、9条の改憲案がそのまま実現するとすれば、自衛隊は世界のどこにでも戦争をするために出掛けていかなければいけなくなります。そこで命を落とす可能性が大きく、大きく高まるわけです。

憲法への明記で自衛隊に特権が

 そしてもう一つ重要なことは、日本国憲法で国家機関として定められているのは、天皇、国会、内閣、裁判所、地方自治体です。ここに自衛隊が付け加わることになります。自衛隊はもともと、防衛省の下にある行政組織にすぎません。その自衛隊が憲法に書かれるということは何を意味するか。自衛隊が憲法上の機関として特権化することを意味します。こういう危険な道を歩む自民党政治、安倍政治は、これ以上許すことはできないと思います。

「忖度政治」はファシズムへ

 こういう政治の内容も、もちろん重要なことですけれども、私は、安倍政権の政治のやり方に、非常に危険なものを感じています。一言で言えば「忖度(そんたく)政治」です。私はドイツが専門ですが、忖度という言葉は、あるドイツの政治学者によると、ドイツ語では“Vorausgehorsam(フォラアウスゲフォールザーム)”。これは「先取り的に従属する」という意味です。つまり権力者の意向を先取りでうかがって、それに従属する。それを実現するために働くということです。

 そしてこのドイツの政治学者は、この忖度が、いま日本の場合には、政治家と官僚の中に広がっている――国土交通副大臣の忖度は、その氷山の一角です――、しかしこの忖度が国民全体に広がることによって、ナチズムになった、ファシズムになったといっています。

 国民は、誰かから命令されて、独裁者の下であえぎながら生活しているとは思わないのです。自分たちが先取り的に、自発的に服従することによって独裁国家が成り立ったというのが、ドイツの経験です。従って、皆さん、「忖度政治」は軽視してはいけません。「忖度政治」はファシズムの第一歩なのです。

補選から参院選そして政権交代

 どこからみても、安倍政治をこのまま許すわけにはいきません。その安倍政治に代えて、日本に新しい政治を開くために、日本の社会の未来を開くために立ち上がって下さったのが、宮本たけしさんです。宮本さんが国会でどんなに厳しく、鋭く、安倍政治の腐敗を追及したかは、皆さんはテレビなどでよくご存じだと思います。

 今度、宮本さんが立ち上がってくれたことによって、市民と野党の共同の旗は、大きく日本の国民の皆さんにアピールすることができるようになりました。沖縄3区も同じように、市民と野党の共同候補がきょうからたたかい始めています。大阪12区と沖縄3区が勝利することによって、次の参議院選挙で市民と野党の共同勢力が過半数を占め、その次のステップで政権交代をする。そして日本に新しい未来を開く。そのために皆さん、党派を超えて、どうぞ宮本たけしさんに、大きな、大きな支持をお寄せ下さい。よろしくお願いいたします。

(大阪民主新報、2019年4月21日号より)

月別アーカイブ