おおさかナウ

2019年01月20日

第18回法定協議会
「都」構想は潔く断念を

日本共産党 山中智子幹事長が追及

今井会長(維新)が職権で招集して開催を強行した第18回法定協=11日、府庁内

今井会長(維新)が職権で招集して開催を強行した第18回法定協=11日、府庁内

 大阪市を廃止して「特別区」に再編する、いわゆる「大阪都」構想の制度設計を議論する大都市制度(特別区設置)協議会(法定協)の第18回目の会合が11日午後、府庁内で開かれました。日本共産党大阪市議団の山中智子幹事長は、これまでの議論を通して「都構想」の制度案の破綻が明らかになったと強調。「都」構想そのものを断念するよう主張しました。

 維新が看板政策にする「大阪都」構想は、2015年5月の住民投票で大阪市民は「ノー」の審判を下し、大阪市存続が決まりました。ところが松井一郎知事(大阪維新の会代表)や吉村洋文大阪市長は、同年秋のダブル選に勝利したことで「再挑戦の民意を得た」などとして、法定協を設置し、再度の住民投票へ暴走してきました。

破綻が明らかに

 法定協の第1回会合が開かれたのは17年6月で、4つの「特別区」に分割する素案に基づく議論が1年半にわたり続いてきました。日本共産党などの追及で、「特別区」の設置には庁舎建設などで最大637億円のコストがかかることや、庁舎の用地を確保する裏付けもないなど、問題点が噴出。「都」構想の制度案そのものの破綻が明らかになっていました。

民主主義に反し

 その中で松井氏が昨年末、公明党と交わした「今任期中で住民投票を実施すること」という「密約」を公開しました。さらに松井氏らが統一地方選と同時に知事・大阪市長の「出直しダブル選」に打って出ることも示唆する中で開かれたのが、今回の会合でした。

 しかも、昨年末の各党の代表者会議での合意が得られないまま、今井豊会長(維新府議)の職権で招集されたもの。山中氏は質問で「法定協の開催ありきだ」と指摘し、維新が公明党との「密約」文書まで公開するのは、「民主主義のルールなどあったものではない」と強調。制度設計を担う副首都推進局が維新以外の各党の指摘に耳を貸さず、素案に固執していることも批判しました。

結論は出ている

 「結論はすでに出ている」と山中氏。大阪市を廃止して「広域機能」を府に一元化したとしても、基礎自治体の本来の仕事も含め428の事業を府に移管するだけで、個々の事業の予算も権限も増えないと指摘しました。

 一方、「特別区」は財源の乏しい半人前の自治体に過ぎないだけでなく、膨大な設置コスト・ランニングコストがかかり、住民サービスは削らざるをえないとし、「ただただ大阪市をつぶすだけ。まさに百害あって一利なしだ」と強調。「不毛な制度いじりの議論は打ち止めにすべき」と主張しました。


市民と議会を愚弄するもの
「密約」公表 ダブル選…吉村市長を批判

大阪市議会大都市税財政特別委員会で質問する山中幹事長。右は瀬戸一正団長=11日

大阪市議会大都市税財政特別委員会で質問する山中幹事長。右は瀬戸一正団長=11日

 法定協に先立って、11日午前中に行われた大阪市議会大都市税財政制度特別委員会で、山中氏は吉村市長に質問。1年半にわたる法定協や同委員会の議論を通して、大阪市廃止・分割の害悪が明らかになり、議会も維新以外は「都」構想反対だとし、「時間とエネルギー、税金をこれ以上費やすべきではない。民主主義という点からも、(『都』構想は)断念すべき」と迫りました。

 吉村氏は「再挑戦を公約して当選した経緯がある。実現へありとあらゆる努力をするのは当然」と強弁しました。山中氏は「これだけ審議を尽くしてもなお、議会の賛同を得られないとすれば、潔く引っ込めるのが筋だ」と反論しました。

 さらに松井氏が「密約」文書まで公表し、公明党が「住民投票実施」の約束を守らないなら、辞職して出直し選挙までやると言い出していることについて、「市民とは何の関係もない密約を守らせるために辞職をほのめかすとは、およそ270万市民の代表とは思われない言動だ」と批判。出直し選挙についての発言を撤回すべきと述べました。

 吉村氏はこれにまともに答えず、「法定協を構成する現在の議員の任期が迫っている。(『都』構想の)設計図を完成させてほしい」などと強弁。山中氏は、「場外乱闘ともいうべき年末からの騒動は、市民も議会をも愚弄するもの。『都』構想には一片の道理もないからこそ、こんなことになる」として、「都」構想は断念するよう、重ねて主張しました。

(大阪民主新報、2019年1月20日号より)

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