おおさかナウ

2018年11月04日

北部地震 台風21号
防災対策を最優先に 被災者・市民の願いに背くな
大阪市議会本会議 瀬戸一正日本共産党大阪市議団団長が追及

 10月25日の大阪市議会で、日本共産党大阪市議会議員団の瀬戸一正団長が一般質問に立ちました。9月の台風21号での市の災害対応を検証すると共に、今後の災害に備えて、防災対策や被災者支援を抜本的に強化するよう要求。大阪市を災害に強い街にすることを置き去りに、カジノ・万博誘致や巨大開発に暴走する維新市政を厳しく批判しました。(関連記事

災害対策本部の未設置は誤り

 台風21号は瞬間最大風速47㍍の強風が猛威を振るい、大阪市でも家屋の屋根や瓦が吹き飛び、街路樹が次々となぎ倒され、大規模停電も発生。ところが吉村洋文大阪市長は災害対策本部を設置しませんでした。

 瀬戸氏が「甚大な被害が出ているのに、設置しなかったのは間違いだったと認め、今後の教訓にすべき」と迫ったのに対し、吉村氏は「現在の地域防災計画に基づけば、設置しなかった判断は間違っていなかった」と答弁。瀬戸氏は「今の基準でも、市長が必要と認めたときは設置できた」と批判しました。

台風21号の直撃から、11月4日で2カ月。大阪市内各地には暴風の爪痕がまだ残されています。写真上は大阪市中央区内。同下は同市中央区内の大阪城公園の桃園=10月30日

台風21号の直撃から、11月4日で2カ月。大阪市内各地には暴風の爪痕がまだ残されています。写真上は大阪市中央区内。同下は同市中央区内の大阪城公園の桃園=10月30日

大型台風では全避難所開設を

 瀬戸氏は、台風21号や24号での避難所の開設をめぐり、各区役所の対応がばらばらだったと指摘し、「今後は大きな台風が接近する時は基本的に全避難所を開設すべき」と要求。吉村氏が「各区において適切に対応された」「一律に開けというのは無茶苦茶な話」と答えたのに対し、「各区長に責任を転嫁するのではなく、大型台風では基本的に避難所は開けてほしいという多数の市民の声に市長として応えよ」と述べました。

 また、避難所となる学校体育館への空調設備を、国の補助制度を活用するなどして、緊急に整備するよう求めました。

台風21号の直撃から、11月4日で2カ月。大阪市内各地には暴風の爪痕がまだ残されています。写真上は大阪市中央区内。同下は同市中央区内の大阪城公園の桃園=10月30日

台風21号の直撃から、11月4日で2カ月。大阪市内各地には暴風の爪痕がまだ残されています。写真上は大阪市中央区内。同下は同市中央区内の大阪城公園の桃園=10月30日

要支援者への個別計画を急げ

 瀬戸氏は、各地の先進事例に学び、台風上陸前から行政と住民が取るべき行動を定めた「事前防災計画」を策定すべきと要求。大災害時の避難で高齢者や障害者などのうち、特に支援が必要な「避難行動要支援者名簿」に基づく個別計画の策定を急ぐよう求めました。

 同名簿の作成は、東日本大震災の教訓から市町村に義務付けられているもので、大阪市は約14万5千人分を作成。瀬戸氏は、国が求める一人一人の避難支援計画はほとんど作成されていないとし、区役所で防災や地域コミュニティーづくり、地域福祉を担当する職員を抜本的に増員することが急務だと力説しました。

一般質問に立つ日本共産党の瀬戸一正市議団長=10月25日、大阪市議会本会議

一般質問に立つ日本共産党の瀬戸一正市議団長=10月25日、大阪市議会本会議

補正予算を組み独自の支援を

 大阪市内では、大阪北部地震で住宅の一部損壊は1106棟、台風21号では1840棟(10月17日現在)。瀬戸氏は、被災者生活再建支援法では一部損壊は補助対象になっていない中で、茨木市や高槻市などでは独自支援策を新設していることを示し、「大阪市でも一部損壊への支援制度つくり、補正予算を組んで被災者に応えよ」と求めました。

 吉村氏は、家屋は「個人の財産」であり、税金で補修を補うことは慎重な検討が必要などと答弁。瀬戸氏は「まったく冷たい答弁だ。一部損壊でも自力で住宅と生活が再建できない市民は多い」と厳しく批判し、独自の支援制度をつくるよう、重ねて要求しました。 

亡国のカジノ誘致は断念せよ

 瀬戸氏は、カジノを核とした統合型リゾート(IR)や万博の候補地である夢洲の護岸が、台風21号の高潮で倒壊するなど深刻な被害が出ていると指摘。「IR用地や万博予定地の地盤整備や交通インフラに使うお金があるなら、大阪市を災害に強い街にし、被災者を救済することに投じよ」と強調し、カジノ誘致は断念すべきと主張しました。

 吉村氏は「(IR誘致で)大阪経済が活性化し、税収が増えれば災害対策に回せる」などと強弁。瀬戸氏は「カジノの目当ては大阪市民の懐金で、ギャンブル依存症も今以上にまん延する、まさに亡国のカジノ誘致だ。こんなことは市民が許さない」ときっぱり反論しました。




 

(大阪民主新報、2018年11月4日号より)

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