おおさかナウ

2018年08月26日

声を届けて
たつみコータロー参院議員の国会論戦
大阪市の「介護扶助」負担強要 法令違反と答弁

質問するたつみコータロー議員=2014年3月20日、参院予算委員会(「しんぶん赤旗」提供)

質問するたつみコータロー議員=2014年3月20日、参院予算委員会(「しんぶん赤旗」提供)

 「生活保護制度を利用されている方の医療費や介護保険料が免除されているのはなぜなのか確認したい」(2014年3月20日の参院予算委員会)

 たつみ議員は、大阪市の一部行政区が、生活保護利用者が介護保険を利用する際、福祉用具の購入や住宅改修費の1割分を自己負担できないか確認していた法令違反の運用を取り上げました。

 生活保護法第15条は、医療扶助と介護扶助について定め、「困窮のため最低限度の生活を維持することができない」要介護者、要支援者らに行うと規定。生存権保障の観点で介護保険と同等のサービスを提供し、被保護者の介護保険料は「生活扶助」に上乗せされ、介護利用料の1割負担分は「介護扶助」として支給されています。

 ところが大阪市の一部行政区では、車椅子などの福祉用具購入や、段差解消や手すり設置等の住宅改修の際、本来は「介護扶助」として支給する1割分を自己負担できないかケアマネジャーを通して確認していた実態が明らかになりました。

 本人負担の可否判断のためケースワーカーが預貯金を確認するケースもあったといい、大阪社会保障推進協議会の調べでは、当時、要介護5の人が申請した福祉用具を「寝たきりで動けないんやから必要ないやろ」などと自己負担させようとするなど、複数の行政区にわたって不適正な制度運用が繰り返されていました。

 たつみ議員が「大阪市の運用は法令違反という認識か」とただしたのに対し、厚労相は大阪市の不適切な運用実態を確認したと述べた上で、「この場合、法令違反になります」と答弁しました。

根幹揺るがす問題

 「生活保護の根幹を揺るがす大問題。そもそもなぜこのような取り扱い、不適切な取り扱いが大阪市で起こったのか」

 3月20日の質問から約2週間後の4月7日、たつみ議員は参院決算委員会で、再び大阪市による違法の「介護扶助」自己負担問題を取り上げました。

 厚労相が、大阪市の不適切な運用について「十分に趣旨が伝わっていなかった。生活保護法の内容と趣旨をご理解いただかなければならない」などと答弁したのに対し、たつみ議員は、「理解していないという話もあったが、生活保護の方に自己負担させないというのは常識です。ケースワーカーであれば当然分かっていなければならないことで、常識では考えられないことが起こった」と指摘。不適切な法令違反が組織的に行われていた可能性は否定できないと述べ、福祉用具などを自己負担させられた人が何人いるのか、また本当は必要な福祉用具の購入をやめた人がどれだけいたのか調査すべきだと強く求めました。

最低生活が困難に

 大阪市で介護扶助を自己負担させようとした動きと同様に、医療扶助でも「無料だから医療費が増える」などの根拠のない論調で、自己負担導入の議論は繰り返されてきました。

 厚労相の諮問機関、社会保障審議会でも議論のテーマとなりましたが、賛成論は少数で、「医療扶助の窓口払いには反対。医療には最低はない、最適しかない」、「窓口負担にすると、必要な医療が受けられなくなる」「最低生活保障との両立が難しくなる」など、反対意見が多数を占めました。

 不適切な「介護扶助」運用を取り上げた2回の国会質問で、たつみ議員は「生活保護費は最低生活を保障するもので、自己負担はできないから医療扶助、介護扶助が出ている」と強調しました。「(大阪市の運用は)重大な法令違反。ここまできたらもう人権侵害だ」「厚労省として特別監査を行うべきだ。介護給付が決定しているのに介護扶助が支給されない件数はどれだけあるのか調査してください」と重ねて要求しました。

 

(大阪民主新報、2018年8月26日号より)

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