「なにわ商人」の心捨てるのか
〝カジノ万博で振興〟は夢物語
大阪ネットがシンポジウム
衆院内閣委員会で自民、公明、維新などがカジノ実施法案を強行採決した翌16日、カジノ問題を考える大阪ネットワーク(代表・桜田照雄阪南大学教授)が、大阪市阿倍野区内でシンポジウム「『カジノ万博で経済振興』というファンタジー」を開き、市民ら130人が参加しました。
目先の銭金でなく先を考えた戦略を
愛知万博(2005年)の財政問題や環境問題などを指摘してきた、名古屋市立大学名誉教授の山田明氏が、「愛知万博から大阪『カジノ万博』誘致を考える」と題して基調講演しました。
愛知万博は1988年に構想を発表。97年に博覧会国際事務局(BIE)が招致を決定したものの、事業費資金問題などで迷走。同時に、会場候補地の「海上(かいしょ)の森」には貴重な自然が残っていることから内外の批判を浴び、計画見直しでは市民が積極的に討論に参加した経過があると山田氏は振り返りました。
これに対して2025年万博の大阪誘致は、カジノを核とした統合型リゾート(IR)と一体で、開催テーマも二転三転していると批判。「大阪にとって大切なことは、維新のように目先の銭金だけを考えるのではなく、20年、30年先を考えた戦略だ」と語りました。
特別報告した「大阪を知り考える会」の中野雅司代表は、「カジノは大阪の経済再生という視点からも絶対反対」と発言。大阪の経済を支えてきた「なにわの商人」は、家訓で質素・倹約・始末・才覚をうたい、賭博を戒めてきたと強調し、「賭博場をつくろうとすることは、その大切な心を投げ捨てる行為に等しい愚挙だ」と力説しました。
静岡大学の鳥畑与一教授は、現在の計画ではカジノの横で万博が開催されることになっていることを示し、「万博の歴史の中で、万博をカジノの集客装置と使ったことがあるだろうか」と批判。「万博を目的に来た人々をカジノに誘導するような商売を大阪がすると、世界にアピールしているようなものだ」と力を込めました。
実施法廃案へ全力
大門参院議員が国会報告
国会報告した日本共産党の大門実紀史参院議員はまず、実施法案の強行採決を厳しく批判するとともに、「野党が力を合わせて徹底的に問題点を明らかにして、廃案に追い込むために全力を尽くす」と表明しました。
実施法案はじめ悪法の成立を「なぜ急ぐのか」と問い掛けた大門氏は、安倍政権全体が森友・加計疑惑などで追い詰められ、「一歩も引けない」状況の中で押し通そうとしていると指摘しました。さらに維新との関係でも、2024年にカジノを大阪で開業するには、今国会で実施法案を成立させなければ間に合わないという事情があると述べました。
衆院での審議を通じて民間賭博の解禁が違法であることや、カジノの標的は外国人観光客ではなく日本人であることが明らかになっており、これらの問題点を参議院でも追及したいと語りました。
また大門氏は、観光振興をめぐり、カジノのあるシンガポールでは、2011年と16年とを比べて外国人観光客は170%増なのにたいし、カジノのない日本は386%増で、大阪は11年と17年を比べると703%増だと紹介。「『観光立国』にはカジノはいらない。大阪は食や買い物だけでなく、大阪城などの観光地としての魅力がある」と述べました。
(大阪民主新報、2018年6月24日号より)