おおさかナウ

2018年03月11日

再度の住民投票やめよ
大阪市議会本会議 瀬戸団長が代表質問

 1日の大阪市議会本会議で日本共産党大阪市議会議員団の瀬戸一正団長が代表質問に立ちました。吉村洋文市長に対し、大阪市を廃止して「特別区」に再編する「大阪都」構想で2度目の住民投票を行うことは、2015年の住民投票での否決という市民の審判を踏みにじるものであり、やめるべきだと強調。「特別区」では市民サービス低下は避けられないなど「『都』構想は百害あって一利なし」と批判し、市民の暮らし、福祉・教育を最優先の市政への転換を主張しました。

前回の結果を尊重すべきだ

代表質問に立つ瀬戸市議団長 =1日、大阪市議会本会議場

代表質問に立つ瀬戸市議団長
=1日、大阪市議会本会議場

 吉村市長が“住民投票の結果は尊重するが、「都」構想見直しと再挑戦を選挙公約にして選ばれたのだから、再度の住民投票は政治家として当然”と強弁していることについて、瀬戸氏は、「住民投票の結果を尊重するという民主政治の原則を踏みにじることだ」と厳しく批判しました。

 吉村市長が、住民投票で「特別区」設置が反対多数になれば、8区への合区を前提にした「総合区」に移行する「基本議決」を先行して行う考えを示していることについて、「住民投票実施と8区『総合区』案の議決を取り引きするものだ」と批判しました。

 さらに「基本議決」は「『今のままでいい』という市民多数の選択肢を奪う、最悪の民主主義破壊だ」と指摘しました。

 同時に瀬戸氏は、「基本議決」への賛成は、大阪市を廃止する『都』構想実現に手を貸すものであり、「総合区」については住民投票と切り離して、市民とともにじっくり議論して決めるべきだとしました。

住民サービス維持できない

 瀬戸氏は、「特別区」は消防、下水、都市計画、産業振興などの事務は府に取り上げられ、身近な自らの区や街のことも決められないと強調。財政的には固定資産税や法人市民税など普通の市町村がもつ自主財源すら府に取り上げられ、「特別区」と府の間の配分も府議会で決められるなど、「半人前の自治体だ」と述べました。

 瀬戸氏が「『特別区』になれば、現在の大阪市独自の市民サービスは維持できなくなるのではないか」とただしたのに対し、吉村市長は「財政シミュレーションで維持できることを示している」と答弁しました。

 瀬戸氏は4区案の設置コストは最低でも300億円、職員増で人件費は21~26億円増え、財政シミュレーションに計上されていない約1千億円の大型開発が加わることで、「特別区」は財政が苦しくなることを示し、「大阪市の特色あるサービスは維持できなくなるのは、火を見るより明らかだ」と反論しました。

カジノ誘致で依存症広げる

 瀬戸氏は、カジノを核とする統合型リゾート(IR)について質問。吉村市長や松井知事が、“カジノの面積や入場回数などの規制を厳しくすることはIR事業者の投資意欲を損なう”として、過度な規制を設けないよう政府に要望する考えを示していることについて、「ギャンブル依存症を減らすと言いながら、実際にやろうとしていることは、規制を緩めて依存症を広げることではないか」と迫りました。

 吉村氏は「IRのプラスの側面を最大限引き出し、課題(ギャンブル依存症問題)には正面から取り組む」と答弁。

 瀬戸氏は「まるでカジノ事業者の代弁者だ。カジノ事業者の利益の源泉は顧客の負け金。ギャンブル依存症を減らしながらカジノ事業者はもうからない」と反論。カジノが繁栄すればするほど、消費購買力に回るはずの市民のお金が、カジノを運営する外国資本に巻き上げられることを示し、「大阪経済のためにも、IR誘致は断じてやってはならない」と力説しました。

福祉・教育優先する市政へ

 「市民がいま求めているのは制度いじりではなく、市民の切実な願いに応える市政だ」と瀬戸氏は述べ、公立保育所の充実と認可保育所の増設による待機児解消、小中学校の給食費無償化の実現、教員の確保はじめ福祉・教育を最優先する市政への道を示しました。

 この中で瀬戸氏は、国民健康保険(国保)の都道府県単位化に伴い、松井知事の言いなりで、吉村市長が任意繰り入れを減らそうとしていると厳しく批判。介護保険料が新年度から月額7927円と前年度から1169円(17・3%)も値上げになる問題を取り上げ、介護保険財源での負担割合の引き上げを国に強く求めると同時に、市として単独繰り入れを行って市民負担を減らすよう求めました。

 また3月末に閉院が迫った住吉市民病院についても質問しました。もともとの現地建て替え計画は、小児周産期医療に特化した120床の病院であり、跡地に設置するのが外来のみの診療所では「あまりにお粗末だ」と指摘。診療所案は撤回して、小児周産期30床の入院機能を持つ公的病院を設置する計画に改めるよう主張しました。

(大阪民主新報、2018年3月11日号より)

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