第6回法定協議会 「特別区」設置は壮大な無駄
共産・山中氏「百害あって一利なし」
大阪市を廃止して「特別区」を設置する、いわゆる「大阪都」構想の制度設計を議論する大都市制度(特別区設置)協議会(法定協議会)の第6回会合が16日、府庁内で開かれ、日本共産党から山中智子・大阪市議団幹事長が質問しました。
山中智子氏
半人前の自治体
山中氏は、「特別区」は市町村の基幹税目(固定生産税や法人市民税など)が都税となるなど「半人前の自治体」だと強調。東京では都区制度を廃止して一般市を目指す運動が長年続き、「特別区」を設置する大阪の動きに対して、識者や特別区長から「時代錯誤だ」との声も出ていることを示しました。
副首都推進局が今回まとめた、4または6の「特別区」を設置する素案は、固定資産税などだけでは財源が足らず、地方交付税も財政調整財源に組み込んでいるが、そのためには地方自治法や地方税法の関係条文を変え、府の条例もつくる必要があるとし、「こういうこと自体、制度的欠陥であり、時代遅れの制度だ」と断じました。
「特別区」を設置するには職員増、システムや庁舎の整備の初期費用や維持費用、事務の引き継ぎ作業などが膨大になり、市民も住所変更などの負担を強いられることから、「これほど壮大な無駄はない」と批判しました。
分割に道理なし
山中氏は、6区案(2種)の財政試算では、2022年度から10年間に、毎年53または59億円もの収支不足が生じると指摘し、「『特別区』では住民サービスは悪くなりこそすれ、よくなることはあり得ない」と指摘しました。
4区案では、政令市の基準(50万人)を上回る人口85万人の「特別区」も生まれ、当局がいう「ニアイズベター(住民に近い基礎自治体の実現)」には説得力がないと述べました。
さらに145もの事務事業を、「特別区」が共同設置する一部事務組合に頼らざるを得ないなど、「どこから考えても、『特別区』への分割は道理がない」と主張しました。
副首都推進局は、「制度改革で大阪が成長するには一定のコストが必要」などと答弁しました。山中氏は「戦後、市町村合併はあまたあるが、分割は皆無。それほどとんでもない、途方もないことだ。大阪市廃止、『特別区』への分割は百害あって一利なし」と主張しました。
(大阪民主新報、2018年1月21日号より)