おおさかナウ

2017年12月29日

新しい挑戦さらに
共闘の前進と 日本共産党の躍進を
柳利昭日本共産党府委員長に聞く

インタビューに答える柳委員長

インタビューに答える柳委員長

 2018年を迎えるに当たり、日本共産党大阪府委員会の柳利昭委員長に、2017年のたたかいの振り返りとともに、新しい年に臨むことを聞きました。

――新年おめでとうございます。

 おめでとうございます。

 昨年は、年頭に開かれた第27回党大会決定で「日本の政治の新しい時代――安倍自公政権とその補完勢力に、野党と市民の共闘が対決する新しい時代」が呼び掛けられ、これをさらに前に動かすことに挑戦した1年でした。私自身も大阪府委員長として新たな経験の連続でしたが、党全体が、未踏の領域に挑戦した1年だったと思います。

 安倍暴走政治とのたたかいでも、総選挙での市民と野党の共闘、大阪での反維新の共同の発展、強く大きな党づくりで挑戦が行われ、困難や苦労もありましたが前進を切り開いてきました。

 今年は、新しい挑戦をいっそう前に進め、2019年の統一地方選、参院選、大阪府知事・市長ダブル選での新たな躍進・勝利を準備する年。皆さんの一層のご支援を心からお願い申し上げます。

2017年を振り返る

――2017年は本当に激動の1年でした。

ネットワークで森友疑惑を追及

 共謀罪はじめ憲法を壊す安倍暴走政治との対決でしたが、中でも大阪を舞台にした森友学園疑惑の徹底追及からスタート。大阪府委員会は、疑惑解明のプロジェクトチームをつくって調査を進めました。

 発端は党豊中市議団が不審な土地売買を洗い出し、府議団や大阪市議団の調査・相談活動が国会議員団の論戦と1つになって力を発揮しました。宮本岳志、清水忠史衆院議員、辰巳孝太郎参院議員など、大阪選出の国会議員が追及の先頭に立ち、国会報告会や小池書記局長を迎えた街頭演説にも取り組みました。「しんぶん赤旗」や民報のキャンペーンが大きな力を発揮しました。

 毎月の近畿いっせい宣伝には多くの党員が参加し、大阪の主要駅すべてで毎回2万数千枚のビラを手渡して真相究明を呼び掛け、安倍政権の国政私物化と維新府政の関与を告発しました。森友問題でのJCP大阪ビラは7号まで連打。党のネットワークの力が安倍政権と維新府政を大きく追い詰めたと思います。権力者によって国政や府政がゆがめられた大問題として、今年もさらに徹底究明を目指していきます。

総選挙での共闘
野党議席が前進

 森友・加計疑惑や共謀罪の強行などの憲法破壊に、国民の怒りが高まり、7月の都議選では自民党が歴史的惨敗。追い詰められた安倍首相は突然の解散に打って出て総選挙となりました。

 私たちは、市民と野党の共闘勝利、日本共産党の躍進という2つの目標を掲げて奮闘しました。共産党自身は、大阪でも比例得票の後退、近畿ブロックでの2議席への後退という悔しく残念な結果でしたが、市民と野党の共闘では、わが党が候補者を立てなかった6選挙区のうち、10、11区で共同候補が勝利。2、6、16区は比例復活で当選。同じく比例復活した5区を含め、大阪を拠点にした野党議席は、改選前の4から7議席に前進と大きな成果を上げました。

 わが党の候補者が唯一の野党候補となった選挙区や、立憲民主党と競い合った選挙区でも、社民党や新社会党、「市民連合」などが推薦、市民ボランティアが駆け付けてくれるなど共闘の絆がつくられました。

 総選挙での共闘は大阪でも初めての経験で、希望の党の結成、民進党の合流という激動と逆流の中での共闘の再構築になりました。大阪では、希望の党と維新の野合によるすみ分けで、民進党候補が行き場を失う複雑さも加わりました。

 私たちは、まず3区と9区での社民党との相互推薦に踏み出し、希望の党に加わらず、安保法制廃止や立憲主義回復など、市民と野党の共闘の合意に立つ人たちとは、行きがかりを超え、共闘を再構築する立場で、6選挙区で候補者を降ろす、または立てずに野党候補を一本化しました。

 候補者を降ろした選挙区をはじめ激しい議論がありました。大阪全体で統一戦線問題を実践課題として議論して、党全体が鍛えられました。こうしたわれわれの奮闘が、改憲勢力が国会を覆い尽くす危険を食い止める大きな力になったことを確信にしたいと思います。

行き詰まる維新
住民投票許さず

 維新政治とのたたかいも大きく前進しました。

 森友問題で維新府政が小学校を不当に認可した疑惑を追及してきましたが、最大の出来事は9月の堺市長選の勝利でした。

 私たちが自主支援した竹山修身市長が12月に大阪府委員会に来られ、維新の「大阪都」構想隠しを打ち破ったこと、竹山市政の豊かな実績で相手の「停滞か、成長か」のデマ宣伝を打ち破ったこと、反維新の堺と大阪の幅広い共同が力を発揮したことなど、私たちの市長選挙の総括と一致した見方を述べられました。さらに、今年の「大阪都」の住民投票を許さないことも含め、維新政治を追い詰める決意も述べられ、反維新の共同での信頼の深まりを実感しました。

 大阪の総選挙の結果を見ても、維新は小選挙区で3議席と、2012年の12議席、14年の5議席から大きく後退、比例得票も第2党になりました。国政での安倍政権の補完勢力ぶりが浮き彫りになったことに加え、大阪での維新政治の行き詰まりが見抜かれつつあります。

 同時に、総選挙の大阪のメディアの調査で、安倍政権不支持層の投票先で維新がトップになるなど、改革勢力の幻想がなお強いことも見ておく必要があります。

 維新は、自らの存在意義を懸けた「大阪都」実現を目指し、9月か10月をめどに再び住民投票へのごり押しを進めています。これに対し、広く「オール大阪」の共同を組んで、住民投票を許さないたたかいを進めなければなりません。

 同時に府民や市民の願いに応えるたたかいで、維新を追い詰めることが大事です。国保の大阪府一元化による保険料値上げ問題、カジノ解禁と無駄な大型開発にストップをかける、住吉市民病院廃止や教育破壊の問題などで、明るい会や大阪市よくする会の皆さんとも力を合わせたいと思います。

2018年どう臨むか

――2018年はどう臨みますか。

3千万署名集め安倍改憲にノー

 今年の最大の課題の1つは、安倍政権による憲法9条改定を絶対に許さないこと。日本の命運を左右するたたかいとして全力を尽くします。

 自民党は、通常国会で憲法改定案の発議を狙っています。9条改定案の国会での発議を許さないことを目標に、安倍9条改憲NO!全国市民アクションが呼び掛けた3千万署名を軸に取り組みを広げます。

 大阪でも、全戸訪問、駅や商店街・スーパー前での署名行動などに、1回で100筆、200筆と集まったり、署名付きの府後援会ニュースが、署名を埋めて府委員会に送られてきたりしています。近所の党員の家にポストインされたり、友人知人から275筆集めたという経験も生まれています。

 12月の時事通信の調査で、通常国会での改憲発議に反対の人が7割近くに上るなど世論も高まり始めています。

 北朝鮮問題で憲法への自衛隊の明記が必要だという人にも、自衛隊を書き込む目的は日本の防衛強化ではなく、海外での無制限の武力行使にあることを知らせ、学習も広げながら、全党員・後援会員、民主団体の全構成員の取り組みへ、草の根の力で広げることが重要です。

 同時にこの問題は市民と野党の共闘の大きな一致点ですから、幅広い共同の力で進めることが重要です。

共闘勢力前進と党躍進を同時に

総選挙で初の野党共闘となった2017年。渡部結大阪3区候補・比例重複の応援に駆け付けた服部良一社民党府連代表、渡辺義彦自由党府連代表、辰巳孝太郎日本共産党参院議員ら=2017年10月8日、大阪市大正区内

総選挙で初の野党共闘となった2017年。渡部結大阪3区候補・比例重複の応援に駆け付けた服部良一社民党府連代表、渡辺義彦自由党府連代表、辰巳孝太郎日本共産党参院議員ら=2017年10月8日、大阪市大正区内

 もう1つ大きな点は、共闘の時代を前に進める――市民と野党の共闘の力を大きくすることと日本共産党の躍進の両方をやり抜き、政治を変えることに挑戦するということです。

 1つは、市民と野党の共闘を、豊かな共通政策と相互支援を持つ本格的な共闘に発展させるための努力です。

 総選挙での共闘は、非常事態の下での、市民団体の働き掛けと、わが党の決断によるものでした。共闘は相互支援であってこそ本物になり、本気の姿勢が有権者に伝わります。市民と野党の共闘が安倍政権に代わる受け皿だということを、府民の前に明確に示してこそ、政治を変えたいという願いを大きく集めることができます。本格的な共闘の実現で、共闘勢力の前進と同時にわが党の前進をつくり出すことに挑戦します。

 大阪では、総選挙後、共にたたかって当選した他党議員などが、「しんぶん赤旗」や「民報」に登場し、共産党の決断に感謝を述べながら共闘の重要性を語っておられます。

 総選挙直後の東大阪市府議補選では、内海公仁候補が、総選挙からの短期間に得票を1・3倍、得票率を2倍に伸ばす大健闘をしました。内海候補を自由、社民、新社会党の府連が推薦、立憲民主の村上衆院議員も応援に駆け付けてくれました。

 その後も私たちは大阪の野党各党と懇談し、今後の連携を確認してきました。共闘の前途には曲折や逆流が予想されますが、「日本の政治を変えるにはこの道しかない」という立場で、大阪の条件を生かして共闘の発展に取り組みます。

 共闘のパートナーになりうる政党が生まれてきたという歴史的意味をしっかりつかみ、9条改憲問題を含めた共闘を大いに広げながら、市民と野党の共闘を「本気の共闘」に発展させるために力を尽くします。

党の自力強めて「共闘時代」進め

 もう1つは、「共闘の時代」にふさわしい党づくり。共闘と党の躍進の両方をやり抜く力を持った党をつくることが、「共闘の時代」を前に進める最大の力です。

 そのために、「綱領を語り、日本の未来を語り合う集い」を、気軽に、繰り返し開き、双方向で語り合うことに取り組みます。

 摂津市の鳥飼地域では、15カ所の集会所で毎月開いて4巡目に入り、町会役員も参加するなど、大阪でも繰り返し開いている支部が生まれています。3中総決定の提起を受け、集いを開く支部が広がってきています。これをもっと発展させていきたいと思います。

 また、党の自力を強めるために、党員拡大を根幹にすえた党勢拡大の飛躍を目指します。参院選の1年前の7月までに、党員でも読者でも、前回参院選時を回復・突破し、さらに前進します。

 この点でも大阪では、党大会決定の実践の中で、毎月前進の努力と合わせて、法則的な前進を切り開いている組織が生まれています。木津川南地区では、「楽しく元気の出る支部会議」を大事にし、みんなが成長する支部活動を力に入党者を広げています。枚方交野地区では、どの課題でも100%の支部の力を引き出す立場で支部を援助して前進をつくっています。多いに学び合って、党の躍進を支える党づくりに取り組んでいきたいと思います。

 同時に、党の世代的継承に力を入れ、労働者や若い世代の中での党づくりを進めながら、青年自身が要求実現に取り組み、学び合い成長する民青同盟を強く大きくする活動に、民青と力を合わせて、特別に力を注ぎたいと思います。

闘いを積み上げ参院・地方選へ

 こうしたたたかいと党づくりを今年いっぱい積み上げ、2019年参院選で、野党共闘の勝利とともに、比例で80万票、20%以上の得票を実現して、大阪選挙区の辰巳孝太郎議員の宝の議席を必ず守り抜くこと、統一地方選挙では、府議選、大阪・堺の政令市議選での躍進、後半戦の候補者全員の勝利に全力を尽くします。共に頑張りましょう。

 (大阪民主新報、2017年12月31日・2018年1月7日合併号より)

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