おおさかナウ

2017年11月16日

カジノ誘致・無駄な開発やめよ
大阪市議会決算特別委 日本共産党が追及

 2016年度大阪市一般会計決算を審議する大阪市議会決算特別委員会が7日開かれ、日本共産党の山中智子議員が大阪湾の人工島・夢洲(大阪市此花区)へのカジノ誘致、小川陽太議員が淀川左岸線延伸部となにわ筋線の建設について質問しました。

不幸になる人を大量に生む
カジノは観光拠点になりえない
山中智子議員

外国人でなく狙いは日本人

日本共産党・山中幹事長(交通水道委員)

日本共産党・山中幹事長(交通水道委員)

 大阪府・大阪市・経済界の検討会が8月にまとめた「夢洲まちづくり構想」を取り上げました。同構想は25年までの第1期の開発でカジノを核とした統合型リゾート(IR)を整備して夢洲を「国際観光拠点」とし、1500万人の集客を想定。府・大阪市のIR基本構想は「世界中に類を見ない新しいエンターテイメント」をうたい、膨大な集客を至上命題にしています。

 山中氏は「確実なリピーターといえばカジノの客ではないか」と指摘。カジノ推進会議の委員でもある大阪商業大学の谷岡一郎学長が、カジノのターゲットは外国人観光客ではなく、高齢者を含む日本人の貯蓄・金融資産だと繰り返し発言していることを示し、「狙いは日本人。夢洲のIRは国際観光拠点になどなりえない」と述べました。

 一方、「カジノをつくらなくても、ここ数年外国人観光客は急速に伸びている」と山中氏。「訪日外国人の動向調査」(ことし7~9月期)で「訪日前に期待していたこと」(複数回答)は「日本食を食べること」(67・9%)、「ショッピング」(53・8%)。大阪への外国人観光客は11年から15年に6倍に増加し、大阪観光局の調査でも「観光地」「食事」「ショッピング」が訪問目的の上位を占めています。 

府知事が賭博の導入に躍起

 山中氏は、国のIR推進会議が打ち出した「世界最高水準のカジノ規制」に対し、松井一郎知事が「マイナンバーカードの提示は不要」「入場制限はいらない」とクレームをつけ、カジノの面積制限に反対したことに触れ、吉村市長に「同じ考えか」とただしました。

 吉村市長は「依存症対策に正面から取り組み、経済成長を引き出す」と述べ、質問にはまともに答えませんでした。

 山中氏は「どんどんのめり込んでもらわなければ、カジノはもうからない。そうなればなるほど、不幸になる人が大量に生まれる。最大の依存症対策はカジノをつくらないことだ」と強調しました。

 山中氏は、夢洲への鉄道建設などIRのための基盤整備での市民負担も不透明なままだと批判。そもそも刑法で禁じられた賭博であるカジノ誘致は、「およそ地方自治体の進めるべきことではない」ときっぱり。「しかもこれが松井知事の主導で推進されている。これこそ『都』構想の目指すところではないか。大阪市の財源・権限を取り上げて、一人の指揮官の下で好き勝手に無駄な大型開発に突き進む構図が、いま展開されている。到底認められない」と主張しました。

筋が通らぬ莫大な税金投入
左岸線延伸・なにわ筋線の開発
小川陽太議員

1㌔㍍の建設に460億円

小川陽太議員

小川陽太議員

 小川氏は、高速道路淀川左岸線延伸部(大阪市北区豊崎~門真8・7㌔㍍。2026年完成予定)計画は4千億円の巨費を投じるもので、地下70㍍の大深度に建設することで、1㌔㍍当たり460億円かかると指摘。総事業費のうち大阪市の負担は300億円に上ることから、「これほど負担して本当に造る必要があるのか」と問い掛けました。

 大阪市の推計(16年3月)では、15年と比べ40年には大阪市の人口は37万人減少し、高齢化率も8ポイント増の33・6%となり、少子高齢化が一層進展。大阪市の幹線道路の交通状況は1988年をピークに約25%減少し、一貫して減る傾向にあります。

 小川議員はこれらのデータを示し、延伸部建設は「とても無理があり、必要なものだとは思えない。ただただ『造りたい』『つなげたい』だけではないか。今後の税金投入は到底許されるものではない」と反対しました。

1分の短縮に660億円も

 小川氏は、3300億円を投じる地下鉄新線のなにわ筋線(梅田~難波7・4㌔㍍)に言及。1㌔㍍当たりの建設費は446億円で、市営地下鉄長堀鶴見緑地線が1㌔㍍当たり240億円だったのに比べて相当高いと述べました。

 さらに同線の建設で梅田―関空間が5分短縮されるが、1分短縮に660億円をかけることになると指摘。同線に乗り入れるJRと南海という鉄道会社そのものの事業であるにもかかわらず、国と府・大阪市合わせて1950億円の税金を投入するのは筋が通らないと批判しました。

 また同線の需要予測は1日20万人で、そのうち関空利用の観光客は1割程度であることから、「地下鉄御堂筋線や四つ橋線の乗客を取り込むだけではないか。大阪市の中心部にさらに大型投資を行う必要があるのか」と主張しました。

 小川氏は、「いま大阪市に必要なのは釣り合いのとれた、市全域を見渡したまともな都市計画だ」と強調しました。

 吉村市長は「まず中心部から、国内外からの人・モノ・カネ・情報が集まる魅力ある大阪を実現する」などと答弁しました。

 これに対し小川議員は、「貧困と格差の拡大こそ経済低迷の元凶。99%の市民のための政策への転換こそ必要だ」と力説しました。

 

(大阪民主新報、2017年11月19日付より)

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