おおさかナウ

2017年08月27日

国民健康保険料を大幅引き上げ
統一保険料やめよ 共産党が大阪府に要望

 来年4月からの国民健康保険(国保)都道府県単位化で、府は保険料率や減免制度を統一しようとしています。府内で約140万世帯が加入する国民健康保険(国保)の保険料が大幅に上がることになります。日本共産党府議団と各市町村議員団は9日、府に緊急要望を行いました。堀内照文衆院議員も参加しました。

〝医療保障の観点ない〟

歴史的経過を無視して

国保料の大幅増はやめよと要望する共産党の議員ら=8月9日、府庁内

国保料の大幅増はやめよと要望する共産党の議員ら=8月9日、府庁内

 国保の運営主体が現在の市町村から都道府県よ市町村との共同となることに伴い、府は全国に先駆けて保険料率を統一しようとしています。

 現在は市町村が、保険料算定の基になる保険料率を決定しています。子育て支援のため子どもの多い世帯の保険料を低く抑えたり、医療機関が少なく医療にかかりづらい住民に配慮するなど、地域の実情に応じて市町村が長い年数をかけてつくってきたものです。環境の良し悪しや道路事情、生活水準、物価も地域で異なり、それぞれの市町村で住民に医療を保障するために考えられてきました。

 しかし国保財政の国庫負担割合が引き下げられ、多くの市町村で保険料が上がり、払えない住民が生まれています。保険料率の統一により、負担はさらに跳ね上がると試算されています。

ほとんどが大幅値上げ

 現在の試算では、年間所得300万円の40歳代夫婦と未成年の子ども2人の4人世帯で、年間の保険料は、大阪市で年約7万9千円増、高槻市で同約14万千円増(いずれも2016年度比)になります。その他の世帯構成は収入階層でも、ほとんどは負担が大幅に上がります。

 統一のメリットを府は「『隣の市でなぜ保険料が違うのか』ということがなくなり、分かりやすい制度になる」と説明します。

自治体独自の減免廃止

 保険料の減免制度も、収入が不安定な労働者の多い自治体では加入世帯の収入減少に素早く対応する制度を設けるなど、それぞれに工夫を凝らしています。府は減免制度も統一。災害時の減免などを残し、現在29市町が行なっている低所得者向けの減免制度を廃止する見通しです。

 府によると、保険料率を統一しようとする都道府県は大阪以外にもありますが、減免制度まで統一するのは大阪のみです。

命に関わる取り立ても

 すでに府は市町村への交付金で、医療費抑制や収納率向上、法定外繰り入れの解消などを押し付けています。保険料アップや、滞納者の命に関わるような取り立てにつながっている恐れがあります。

 都道府県化でも、保険料率の決定権は市町村にあり、本来は府が押し付けることはできません。市町村が一般会計から国保会計に法定外の繰り入れをして、保険料を引き下げることも禁止されません。

強力に推進する大阪府

 府はそれでも「市町村は(府の)国保運営方針に沿った事務をするよう努めなければならない」として、上からの押し付けを正当化します。さらに「赤字解消や収納率向上は保険財政の健全化のために極めて重要。市町村の努力を促していく必要がある。医療費適正化も将来に持続可能なものにしていく観点から強力に推進していく」と述べました。

黒字の還元も不可能に

 市町村議員らは「住民の医療を保障するという観点がない」と批判。「これまで健康づくりに力を入れて医療費が少なくて済み、国保会計の黒字を保険料の引き下げという形で加入者に還元してきたが、統一化でそれができなくなる」などと実情を訴えました。

 議員らは「府内統一」保険料率・減免制度や法定外繰り入れ解消に従わない市町村にペナルティを科すことはしないこと、市町村への交付金の算定基準から赤字解消や収納率向上、医療費抑制、法定外繰り入れ解消など住民いじめにつながりかねない項目は除外すること、学資保険や児童手当の差し押さえなど行き過ぎた収納対策、資格証乱発や短期証の「超短期化」などは改めるよう市町村に助言することなども求めました。

 また、国保への府の独自補助を拡充することや、国保への国庫負担を抜本的に拡充するよう国に求めること、法定減免制度の拡充を国に求めることなども要望しました。

(大阪民主新報、2017年8月27日付より)

 

月別アーカイブ