大阪市議会 市長が事実上の答弁拒否
北山日本共産党市議団長の追及に
本会議中断の異常事態に
日本共産党 北山良三 大阪市議
橋下徹大阪市長が3月の出直し市長選で再選された後、初めて開かれている5月大阪市議会。14日の本会議で日本共産党の北山良三団長が一般質問に立ちましたが、橋下氏が一言だけの答弁を繰り返したため、本会議が中断する異常事態となりました。「大阪都」構想が行き詰まる中で、事実と道理に基づいた質問にまともに答弁できない姿を浮き彫りにした格好です。
見通しのない都構想
北山氏は最初の質問で、出直し市長選にはまったく大義がなく、税金の無駄遣いだったとし、「明確に反省すべき」と求めました。
橋下氏は、日本共産党議員団に「社会人としての礼儀をわきまえない若造議員が一人いて、議場でにらんできたり、えへらえへらと人を小馬鹿にしたような笑い顔をしたり、ぶつぶつ言う」などと質問と関係のない発言を行い、「ちゃんと教育してもらわない限りは非礼な態度で返させてもらう」などと発言。「選挙については反省していない。僕が嫌なら対立候補を立てて落とせばいい」などとうそぶきました。
北山氏は出直し選の投票率は史上最低の23・59%、無効票は過去最高の6万7506票、11年市長選の得票から半減したことを示し、「『都』構想の設計図を作らせてくれ」などという橋下氏を「市民が後押しした」どころか、「市民の批判が増幅された」と強調。「大阪都」構想は法定協議会や市議会の議論でも問題点が噴出しており、「市民や議会の合意形成の見通しがまったく立っていない」と迫りました。
橋下氏は「しっかりと進めていく」とだけ答弁。北山氏は「議論の行き詰まりを認め、出直し市長選の結果を謙虚に受け止め、『都』構想はきっぱり断念し、撤回すべきだ」としました。
カジノ誘致はやめよ
橋下氏が「大阪の最大の成長戦略」として、刑法で禁じられているカジノを中核とした統合型リゾート(IR)を誘致しようとしていることについて、北山氏は「ギャンブル依存症や家庭崩壊を招くなど社会問題を引き起こす恐れが指摘されている施設の誘致で大阪の経済と街が健全に発展するわけがない」と批判。IR誘致へ新たな鉄道や高速道路建設などの基盤整備にばく大な税金を投入するのはやめるべきだと主張しました。
橋下氏が「税投入だけでやるつもりはない」と述べて降壇したのに対し、北山氏は「民間事業者がカジノをつくるが、『税投入だけでやるつもりはない』とは、税投入はやると言っているわけだ」と指摘しました。
橋下氏は梅田―関空の所要時間を1分短縮するのに500億円を投じる無駄な「なにわ筋線」建設について「ばかげた事業とは思わない」の一言。昨年11月に否決されながら再提案した市立幼稚園14園の廃止・民営化の撤回を北山氏が求めても「撤回しない」と答えるのみでした。
木下吉信議長(自民)が「誠実に答弁を」と2度注意。橋下氏が無視したため、木下議長の提案に賛成多数で「暫時休憩」に。橋下氏の態度に、日本共産党以外の野党幹部からも「あれはいけない。大人げない」との声も出る中、議長による「正常化に向けた調整」が行われ、1時間40分後に再開された本会議では住吉市民病院跡地への民間病院誘致問題や水道事業民営化問題での北山氏の質問に対し、橋下氏は「通常の答弁」に戻しました。
極めて主観的で一方的 あってはならない態度
共産党大阪市議団が見解
日本共産党大阪市議会議員団は16日発表した見解で、橋下氏が言う「若造議員」の「非礼な態度」は極めて主観的で一方的な決め付けだと指摘しています。橋下氏が答弁冒頭でこの議員が「僕と論戦したことがない」と発言したことも事実に反しており、「確かめもしないで、本会議の場でこのような発言をすること自体、許されるものではない」と批判。このような態度を二度と繰り返してはならないと求めています。
さらに北山氏の質問の大部分にわたって橋下氏がまともに答弁しなかったことは、結果として本会議での「答弁拒否」と同じで、議会制民主主義にとって重大問題だと強調。「わが党議員団に対してだけでなく、議会全体に対するあってはならない態度」としています。
さらに「若造議員」などの侮蔑的発言や事実と異なる発言について謝罪と撤回を求めたのに対し、議長による調整の結果、橋下氏は撤回する態度は示したものの、議員団や当事者への謝罪がないことについて、あらためて抗議。議員団として、事実と道理に基づいた、正々堂々とした論戦をいっそう強めるとともに、今後とも議場での議員としての節度ある態度をとることを確認し合ったとしています。
(2014年5月25日付「大阪民主新報」より)