おおさかナウ

2017年03月26日

戦争阻止し環境守る持続可能社会を
激動の中、憲法の意義探る
九条の会・おおさか 講演会に700人集う

「九条の会」の新たな発展のスタートにと呼び掛けた講演会=19日、大阪市中央区内

「九条の会」の新たな発展のスタートにと呼び掛けた講演会=19日、大阪市中央区内

 九条の会・おおさか主催の講演会「激動する世界のなかで9条を考える」が19日、大阪市中央区内で開かれ約700人が参加。戦争、環境破壊による地球の危機を解決するために、日本国憲法の理念実現が求められていることなど考えました。

宮本憲一大阪市大名誉教授が講演

講演する宮本氏=19日、大阪市中央区内

講演する宮本氏=19日、大阪市中央区内

 九条の会・おおさかは、改憲の動きを阻止し世界に誇る憲法9条の理念を世界に広げようと2005年、落語家の故・桂米朝さんら14氏が呼び掛けて発足。昨年11月、絵本作家の長谷川義史さんら26人が新たに呼び掛け人に名を連ね、「九条の会」アピールを広げる活動を進めています。

 呼び掛け人を代表してあいさつした石田法子・元大阪弁護士会会長は、改憲の動きが強まる下でより広く国民に働きかける必要があるとし、「平和憲法を守るために何ができるかを、これからも考え続けていこう」と語りました。

 文化行事では、落語家の桂文福さんが登場し、新作落語で会場を沸かせました。参加者の手拍子に合わせて甚句(じんく)を披露した文福さんは、「笑って楽しく、平和の憲法をみんなで守っていこう」と語り掛けました。

 「持続可能な社会への道―憲法体制維持の主体性を」と題して講演した宮本憲一・大阪市立大名誉教授は、世界に広がる覇権主義的軍拡や極右政党の台頭、改憲と戦争する国づくりを目指す安倍政権の危険な動きに触れ、「いま戦後民主主義は、最大の危機に直面している」と指摘しました。

 その上で宮本氏は、戦争と環境破壊による地球の危機を解決するため、▽平和の維持と核戦争防止▽絶対的貧困克服と社会経済的不公正の除去▽基本的人権の達成▽多様な思想や文化が共生できる社会などの理念を総合する「持続可能な社会」が人類共通の目標だとし、日本において憲法の理念の実現が求められていると述べました。

 宮本氏は、▽沖縄の平和と自治▽大阪の真の再生▽学問の自由と大学の自治―の3つの角度で、憲法体制を守る意義と民主主義の主体を育てる重要性を指摘。1872年に明治政府が琉球王国を廃止し強制的に琉球藩を設置した琉球処分以来の歴史的差別と沖縄県民の抵抗、大阪公害反対運動と革新府政の成果、学生の経済的貧困や産学・軍学共同などの課題と問題点を詳述し、「憲法を擁護することが、日本の民主主義を変えていく。市民運動を基盤にして憲法の民主的条項を生かし、憲法違反の安保関連法制=戦争法を廃止し憲法9条を守ろう」と呼び掛けました。

 閉会あいさつで吉田栄司関西大教授は、政局の動向にも触れながら憲法を守る意義を強調。「第2ステージに入った『九条の会』の運動を、さらに発展させていこう」と語り、地域や職場に草の根の九条の会の取り組みを広げようと呼び掛けました。


〝9条こそ平和の道〟
ジャーナリストの西谷氏

講演する西谷さん=19日、大阪市中央区内

講演する西谷さん=19日、大阪市中央区内

 「イラクの子どもを救う会」代表で紛争地の取材を続けるフリージャーナリストの西谷和文さんは、内戦状態の南スーダンをはじめ、アフリカと中東の実態を示し、「貧困が戦争を拡大させ、戦争がテロを拡大している」と告発しました。

 西谷さんは、爆撃で両足に重傷を負ったアフガンの少女など、多くの負傷者と犠牲者を出す戦争の実態を示しました。

 戦争や内乱に巻き込まれた子どもを救済するドイツ平和村の取材映像を紹介し、日本の医師らが参加していると指摘。「世界の平和に貢献するために、日本は絶対に9条を変えてはいけない。戦争法を廃止し、平和憲法と私たちの未来を守ろう」と呼び掛けました。

 

(大阪民主新報、2017年3月26日付より)

 

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