おおさかナウ

2017年03月19日

「認可適当」なぜ府は急いだ
森友疑惑 松井維新府政の責任追及

府議会教育常任委 石川多枝府議が質問

府議会教育常任委員会で質問に立つ石川府議=13日、府庁

府議会教育常任委員会で質問に立つ石川府議=13日、府庁

 小学校建設で豊中市の国有地が大阪市の学校法人「森友学園」に格安で払い下げられた問題で、籠池泰典理事長は10日、小学校の設置認可申請を取り下げ、理事長辞任を表明。国は土地を買い戻す方針を発表しました。しかし幕引きは許されず、国有地売買、政治家の関与、法人が運営する塚本幼稚園の教育実態、府が「認可適当」とした問題など、全容解明が求められています。日本共産党の国会論戦が事態の局面を大きく開き、豊中市議団、大阪府議団、大阪市議団などと一体になった調査力、論戦力を発揮。石川多枝府議は13日の府議会教育常任委員会で、小学校設立が「認可適当」とされた経緯、補助金疑惑などについて松井府政に鋭く迫りました。

疑義山積みなのに「認可」

 石川府議は13日の府議会教育常任委員会で、「教育勅語を唱和させるなどの教育カリキュラムに私学課も注視し、体罰や児童虐待の疑いがある、補助金申請にも疑義がある学校法人が小学校を建てようとした時に、なぜ大阪府私学審議会(私学審)はあんなにも急いで『認可適当』と判断したのかが、明らかにされなければ府民の納得は得られない」と指摘しました。

要望受け基準緩和した府

 府は、森友学園からの要望を受け、松井一郎知事就任後の2012年4月1日、私立小学校設立の審査基準を緩和。幼稚園しか設置していない学校法人に借入金があっても小学校開設を認めるようになりました。

 石川議員は、改正後に認可申請を行ったのは森友学園のみで、「結果として森友学園のための基準改正だったのではないか」と追及。さらに、借地契約も土地の自己所有もしていなかった森友学園の借入金が、改正審査基準にもある「校地取得費や校舎建設費の3分の2以下」であったことを、府は何をもって確認したのかとただしました。

 私学課は、学園側が出した資料によって借入金がないと判断したこと、財務省近畿財務局とのやり取りを重ねた上で、「校地の権利取得に関して相当程度の確実性があると判断した」と答弁しましたが、認可申請時点での森友学園の財務状況などは一切答えませんでした。

基準満たしていないのに

 石川議員は、認可について審議した2014年12月と15年1月の私学審で、委員から異論が続出したにもかかわらず、15年1月の私学審で「認可適当」の答申が出されたことを追及しました。

 石川議員は「認可基準を満たしてもいない学校法人の認可に向け、私学課が近畿財務局と話を合わせ『認可適当』を誘導したことは大問題だ。一法人の利益を優先するようなルール違反を、絶対に見逃すことはできない」と厳しく指摘しました。

参考人招致で疑惑解明を

 さらに、一連の流れを、当時許認可権を持っていた松井知事に報告したのかとただしたのに対し、私学課は、「報告したことはない」と述べました。

 石川議員は、「誰の指示もなく、私学課が認可ありきでこんな動きをすることはあり得ない。これだけ真相究明の声が高まっているにも関わらず、一切の資料を提出しない。隠ぺいとしか言いようがない」と述べた上で、委員会で審議を継続するとともに、森友学園の籠池泰典理事長の参考人招致を行い、一連の疑惑の全容解明を行うことを強く求めました。(2面に続く)

世論調査
首相説明「納得できぬ」7~8割

 マスコミの世論調査で、「森友学園」の疑惑について、圧倒的多数が安倍内閣の説明に「納得できない」と回答し、同学園の籠池泰典理事長らの国会招致を求めていることが明らかになっています。

 11、12両日に実施された「朝日」の調査(14日付)では、安倍内閣の説明に「納得できない」が71%で、「納得できる」の12%を大きく上回りました。今回の国有地取引についても「妥当ではない」が81%で、「妥当だ」はわずか6%。「毎日」の調査(13日付)は、政府の説明に「納得していない」が75%、「納得している」は8%でした。

 NHKが10日から3日間実施した調査(13日放送)では、「全く納得できない」が49%、「あまり納得できない」が31%。「大いに納得できる」は2%、「ある程度納得できる」は10%にとどまっています。

 籠池氏の国会への参考人招致については、「朝日」調査では、「必要だ」が70%、「必要でない」18%。共同通信社の調査(13日)では、「賛成」が74・6%に上りました。

 安倍内閣の支持率は、「朝日」が前回調査から3ポイント減の49%、NHKは7ポイント減の51%など、各調査で低下しています。

松井知事 〝国の要請受けた〟
学校新設へ国・府が〝協力〟

 「森友学園」の小学校建設で府私学審議会が「認可適当」の答申をまとめたことをめぐり、松井一郎知事は13日夕、同学園に国有地を売却したいという国の要請を受けたものだったと語りました。大阪市住之江区内で開かれた万博検討会後の囲み取材で記者団に答えたもの。「認可ありき」で国と府が話を合わせて事を進めていたことが浮き彫りになっています。

 松井氏は「国の売り渡し審議会にかけるために、府として(認可の)見込みを発表してと言われた。国から私学課に何度も足を運ばれ、本当に国が売るなら私学課として(認可は)あり得ますという返事をしている」と説明しました。

 「国から相当の圧力を受けたということか」との記者団の問いに対し、松井氏は「新しい学校をつくるために、親切に対応されているということだ」などと述べました。

幕引き許さぬ 200人がデモ

府庁包囲デモminpou 「森友学園」問題の真相究明をと14日、大阪府庁包囲デモが行われました。府民要求連絡会、国民大運動大阪実行委員会、大阪憲法会議の主催。

 大阪市中央区大手前の府庁前で集会を開き、「認可申請取り下げで幕引きは許されない」「政治家の関与は明らかだ、真相究明し疑惑を明らかにせよ」と訴え。約200人がデモ行進しました。

 

 

(大阪民主新報、2017年3月19日付より)

 

月別アーカイブ