おおさかナウ

2017年02月05日

チェック!維新府政
府民のくらし守ろう
日本共産党府議団レポート
福祉医療費助成制度の患者負担を増やすな

 「食費を切り詰め、医療費を切り詰め、なるべく受診しないようにして生きている」「入院すると6万円以上かかるので入院できない」――障害者や高齢者の皆さんから、府医療費助成制度の負担増と対象外しをやめてほしいと悲鳴が上がっています。

障害者・高齢者の助成見直し

 現在の助成(障害者と高齢者の一部、乳幼児、ひとり親家庭が対象)では、窓口負担1回500円、同じ病院や診療所なら月に3回目からは無料、お薬代はいりません。

 ところが松井知事は、障害者と高齢者への助成を今年11月から見直すとし、来年度予算に盛り込もうとしています。

 その内容は、①院外薬局で患者負担500円②同じ病院や診療所で月3回目以降も500円ずつ負担③複数の病院や診療所利用時の月上限額は現行2500円を3千円に引き上げ、というものです。これまで月1千円の負担だった方も、病院と院外薬局合わせて6回、3千円まで負担しなければいけません。しかも3千円を超えた分は、いったん支払ってから償還払いの手続きをして初めて返金されます。

 さらに、これまで助成を受けていた65歳以上の方のうち、精神1級以外の精神通院医療、重度以外の難病(56疾患)、結核患者は対象から外されます(図表)。

 松井知事は、64歳以下の精神障害者・難病患者を新たに対象に加えることで「拡充だ」と強弁します。しかし加える精神障害者は1級のみで精神障害者全体の1割強、難病患者は障害年金1級のみでたった900人です。その上、精神病床への入院には助成しません。

 高齢者、障害者の多くは、収入が少なく、家族がおられない人もいます。毎日薬を飲み定期的に病院に通うことで何とか生活を送っているという人もいます。障害があるがゆえに特別な診療や専門医の診察が必要な場合もあります。

生活直撃し受診権利奪うもの

 大阪の障害者団体の共同組織である大阪障害フォーラムの皆さんが「自己負担額を2倍にも3倍にも増額することは、障害者の生活を直撃し受診の権利を奪うものだ」と指摘するように、より医療を必要とする人たちを対象から外す、また何倍もの負担増を強いることは、憲法で保障する生存権を脅かす、あまりに残酷な仕打ちと言わなければいけません。

 65歳以上の対象者外しについて、知事は、「本府の助成から外れましても、(国による)一定の負担軽減の措置がございます」と答弁しました。しかし、国の精神障害者医療費助成は患者1割負担、難病医療費助成は2割負担です。どちらも所得による負担上限はあるものの、現在の府助成の上限2500円より高額です。しかも安倍政権は今、70歳以上の高額療養費制度の負担上限を大幅に引き上げるなどの高齢者医療改悪を狙っています。府の助成対象から外されると、これまで月1千円だった負担が一気に跳ね上がるという人も生まれてきます。

 見直し検討を進める際、当事者である障害者や高齢者の意見を聞きもせず、専門家による審議機関の設置もせず押し付けるやり方も大問題です。「私たち抜きで検討するな」「十分審議をせずに押し付けるな」と怒りの声も上がっています。

カジノより府民の健康命守れ

 今回、乳幼児とひとり親家庭は「貧困対策」として据え置くとしています。しかし、今でも大阪のこどもの貧困率は全国2位で、「兄弟で薬を分け合い受診回数を減らしている」という家庭もあります。府の乳幼児医療費助成は就学前までで所得制限があります。市町村は独自に年齢拡充や所得制限撤廃などを行っていますが、対象が小学校4年生までや18歳までなど、市町村によって差があります。「貧困対策」というのであれば、府がせめて小学校卒業までに拡充する、所得制限緩和や入院食事療養費復活などをするべきではないでしょうか。

 夢洲に誘致を進めようとしている「大阪万博(カジノ万博)」は、会場運営費を除いても3700億円以上の巨額の税金を投じる予定です。わずか数十億円でできる医療助成の精神障害者などへの拡充分を、当事者である障害者、高齢者に押し付けることは許されるものではありません。ましてやカジノ万博は「健康・長寿」をテーマにしながら、一方で障害者、高齢者の健康を破壊するなどもっての外です。本当に「健康・長寿」を考えるのであれば、府民の健康と命を守るためにこそ税金を使うべきです。

 これまで府内13市町議会で改悪反対・拡充を求める意見書が提出されています。「高齢者、障害者への患者負担増を許さず、現行据え置きで制度拡充を!」府民の力を総結集して医療助成制度改悪反対の運動を大きく広げましょう。

 今号から、府民の暮らしに関わる大阪府政の問題と日本共産党の政策などについて、大阪府議団がレポートします。随時掲載。

府の見直し案

(大阪民主新報、2017年2月5日付より)

 

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