おおさかナウ

2016年11月06日

万博利用のIR誘致やめよ
大阪市議会 井上政調会長が主張

 10月26日の大阪市議会本会議で日本共産党の井上浩政調会長は、松井府政が進める2025年の万博誘致を利用した、カジノを核とした統合型リゾート(IR)や関連の大型開発問題で質問しました。

1千億円にも上る巨大な開発に

 井上氏は、府の万博誘致「基本構想素案」で示された最低の会場建設費1200億円で、うち大阪市負担が200億円、さらに鉄道整備費はじめ関連事業費730億円や誘致候補地の人工島「夢洲」(此花区)の埋め立て工事前倒しなどで、1千億円にも上る巨大プロジェクトだと指摘。「財政状況や市民の暮らしの実態からして、これだけ負担できるのか」とただしました。
 吉村洋文市長は、万博で6兆円の経済波及効果があり、IRとともに行うことで相乗効果があるなどと答える一方、財政負担については明言しませんでした。

楽観的な誘致計画で無謀過ぎる

井上浩大阪市議

井上浩大阪市議

 井上氏は「誘致計画を立てること自体、楽観からきている、かつての大阪市も、市長のような理由付けで巨大開発にのめり込んでいったことを忘れてはならない」と警告しました。

 井上氏は、ことし3月議会で吉村市長は鉄道や道路などの基盤整備はIR事業者が負担すると答弁したが、万博誘致構想の中に鉄道整備費用640億円が入っているのはおかしいと迫りました。

 吉村市長が「経費負担は府と協議を深めたい」としたため、井上氏は「鉄道整備費はわずか半年間の万博開催のためというよりも、IRのためではないか」と追及。「夢洲を舞台にした万博・IR誘致は無謀過ぎる。こんな計画に地方自治体が突き進もうとしていること自体、ギャンブルだ」と批判しました。

防災上も無謀で無駄な大型開発

 井上氏は、東日本大震災当時、震源地から770㌔㍍離れた府咲洲庁舎が被災したことや、南海トラフ巨大地震の津波で夢洲が浸水する可能性も指摘されているとし、「こうした地域に人をたくさん集める施設を造ることは防災上も無謀だ。『副首都構想』の狙いは、万博を利用し、IR誘致をてこにした巨大開発の推進。無駄な大型開発はやめ、市民の暮らしを守ることに税金を振り向けるべき」と主張しました。

「総合区か特別区か」の二者択一
制度いじりはやめるべき

 一般質問で井上氏は、吉村市長や松井一郎知事が「総合区の先行導入もありうる」「総合区が始まるまでの準備期間に、特別区の住民投票を行うという方法もある」などと公言し、来年2月議会に特別区設置協定書を議論する法定協議会の設置議案を提出する意向を示していることは「到底容認できない」と強調しました。

上からではなく
下からの自治を

 井上氏は、特別区設置=大阪市の廃止・解体が昨年5月の住民投票で否決された結果を真しに受け止め、「都構想」ありきで「総合区か特別区か」の二者択一を迫るような「制度いじり」はやめるべきと主張。「今、市民が必要としているのは、『上からの統治』ではなく『下からの自治』であり、『政治の中身』を改善してほしいということを、肝に銘じるべきだ」と吉村市長の政治姿勢を批判しました。

開催費用は2千億円に
大阪府 万博基本構想を決定

 府は10月28日、2025年の国際博覧会(万博)誘致に向けた基本構想案を有識者の検討会議に示し、了承されました。政府に提出し、来春までに閣議了解を得たいとしています。

健康長寿がテーマ

 開催テーマは「人類の健康・長寿への挑戦」とし、会場候補地は大阪湾の人工島・夢洲(大阪市此花区)。会期は25年5〜10月の半年間で、約3千万人の来場者数を想定しています。
 開催費用2千億円のうち会場建設費を1200〜1300億円程度と試算。国や地元自治体、経済会などで必要な資金を確保するとしています。

カジノも想定して

 さらに運営費は690〜740億円、会場までの新たな鉄道整備(地下鉄中央線の延伸など)で640億円、夢洲の埋め立て工事50億円、道路改良40億円などを見込んでいます。
 基本構想案では万博だけでなく、刑法が禁じる賭博であるカジノを核とした統合型リゾート(IR)の立地も想定し、万博開催との「相乗効果」で内外の観光客を呼び込むと強調。「副首都・大阪の発展に寄与し、東西二極の一極として日本の成長をけん引していく」などとしています。
 万博誘致について安倍晋三首相は9月の衆院本会議で維新の馬場伸幸幹事長議員の質問に対し、「大阪府が作成する基本構想の内容をうかがい、検討していく」と前向きな姿勢を示しています。

(大阪民主新報、2016年11月6日付より)

 

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