おおさかナウ

2016年10月23日

万博に紛れてカジノも巨大開発も
政府に支援要求/カジノ議連総会に/カジノ視察
松井知事・吉村大阪市長が突き進む

 松井一郎知事(日本維新の会代表)や大阪市の吉村洋文市長(大阪維新の会政調会長)は大阪港の人工島・夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)への2025年万博やカジノ誘致に突き進んでいます。誘致をてこに新たな鉄道建設など巨大開発も狙われているだけに、維新のたくらみを許さない府民・市民の取り組みが始まっています。

カジノ問題を考える大阪ネットワークが開いたシンポジウム=12日、大阪市阿倍野区内

カジノ問題を考える大阪ネットワークが開いたシンポジウム=12日、大阪市阿倍野区内

維新の企み許さない
大阪ネットがシンポ開く

失敗の末に

 カジノ問題を考える大阪ネットワーク(代表=桜田照雄阪南大学教授)が12日夜、大阪市阿倍野区内で開いたシンポジウムには107人が詰め掛けました。
 報告した桜田氏は、大阪湾ベイエリア開発は1958年に埋め立て造成工事が始まって以来、「テクノポート大阪」構想や「2008年五輪誘致」などご都合主義で、いずれも破綻と失敗を繰り返してきたと指摘しました。
 その挙げ句に持ち出されているのが万博やカジノだと桜田氏。地下鉄中央線を咲洲のコスモスクエア駅から夢洲へ「夢咲トンネル」で延伸するなど、巨大開発を進めることに本音があるとし、「トンネル(夢咲トンネル)を抜けるとそこカジノだった。こんな馬鹿げた物語をつくらせないために、一緒に頑張ろう」と呼び掛けました。

津波で浸水

 兵庫県自治体問題研究所理事の田結庄(たいのしょう)良昭・神戸大学名誉教授(地質学)が講演。南海トラフ巨大地震が30年以内に70%の確率で起こるとされている中、万博やカジノを誘致するという夢洲の危険性を明らかにしました。
 田結庄氏は、南海トラフ巨大地震の津波は夢洲の護岸を超えて遡上し、ほぼ全域が浸水、湾岸部を含めて液状化が発生して夢洲が「陸の孤島」になる可能性があるほか、北港地区のコンビナートからの油の流出もあることを示して、「なぜこんなところに人をたくさん集める施設を造るのか」と警告しました。

不純な動機

 全国カジノ賭博場設置反対協議会の吉田哲也事務局長(弁護士)は、「カジノ合法化の推進勢力は、『ギャンブル依存症の対策を行えばいい』と言うが、現在のギャンブルの現状には何も言わない。やるべきはカジノ合法化ではなく、ギャンブル対策」と力説。大阪市をよくする会の中山直和事務局次長は、「『健康長寿万博』がうたい文句だが、他にやることがあるはず。大阪市民の平均寿命は全国平均を下回り、結核のり患率も高い」と述べ、市民施策を切り捨ててきた橋下前市政以来の維新政治を批判しました。
 駆け付けた日本共産党の清水忠史衆院議員(国土交通委員)は、松井知事や維新などがカジノと万博を一本化して進めようとしていることは「動機が不純だ」と強調。「カジノと万博を絡めて大阪を“開発の拠点”にさせてはならない」と力説し、府民の運動と力を合わせてカジノ合法化法案の審議入りを阻止するために全力を挙げる決意を語りました。

地下鉄中央線
夢洲への延伸 採算取れぬ

大阪市議会 小川陽太市議が追及

 12日開かれた大阪市議会決算特別委員会で日本共産党の小川陽太議員は、吉村市長や松井知事が万博やカジノを核とした統合型リゾート(IR)誘致のために打ち出している鉄道建設計画の問題を追及しました。

トンネルで延伸 整備費540億円に

小川陽太市議

小川陽太市議

 万博誘致の「基本構想素案」(ことし9月)ではIRの立地も想定して、地下鉄中央線を咲洲(住之江区)のコスモスクエア駅からトンネルで延伸し、夢洲に新駅を1カ所設ける計画。整備費用は540億円と見込まれています。
 小川議員は整備費用のうち国と大阪市がそれぞれ64億円を出し、開発者負担として市港湾局の埋立事業会計から212億円の巨費を投じることになると指摘。「埋立事業会計は厳しい財政状況。採算面でも見通しが立たない」と迫りました。
 吉村市長は「万博は期間限定だが世界的なイベント。国際観光拠点(IR)は永続的で万博と両立し、相乗効果がある」と答弁しました。

今里筋線延伸は赤字理由に反対

 小川議員は「ギャンブル依存症をまき散らして大阪経済が活性化するのか。市長は開発推進の一方で、市民が待望する地下鉄今里筋線の延伸は『赤字』を理由に反対している。政治姿勢が問われる」と批判しました。

 

〝あらゆる面からプッシュ〟
松井知事・吉村大阪市長

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 刑法が禁じる賭博場であるカジノの合法化を目指す「国際観光産業振興議員連盟」(カジノ議連、会長・細田博之自民党総務会長)は12日、開会中の臨時国会でのカジノ解禁推進法案の審議入り・成立へ総会を開催。松井知事も出席し、「府においてIRと万博がともに実現すれば、その相乗効果は広く日本全体に波及する」などと述べ、法案の早期成立を求めました。

 吉村洋文大阪市長は9月、経済団体の代表とともにシンガポールのIRを視察。12日の大阪市議会決算特別委員会で維新議員の質問に、カジノ誘致は「法律が通らないと動かないが、政治的に強力に、あらゆる面からプッシュしたい」と答弁。「夢洲にIRが立地すれば、広大な土地が活用できる」と述べています。

 

(大阪民主新報、2016年10月23日付より)

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