〝私たちの行く中学校がない〟
維新市政が大規模学校統廃合計画
「住民の合意ない」
四條畷 岸田市議が撤回要求
四條畷市(土井一憲市長)で、市内の小学校3校と中学校1校を廃校にし、中学校跡地に小学校を建設する大規模な統廃合が行われようとしている問題で、日本共産党の岸田敦子市議が9月議会の一般質問で「学校統廃合計画は住民合意が得られていない」とし、計画撤回を求めました。
11小中学校のうち4校を廃校に
四條畷市では、2013年1月、大阪維新の会四條畷支部推薦を受けた土井一憲市長が初当選。同年12月、市教委が市立中学校4校のうち1校を廃校し、跡地に小学校を建設することと、市立小学校7校のうち3校を廃校する計画を発表し、施設整備も運営も民間に委託するPFI方式でするとしました。
計画を知った市民が、見直しを求める署名を昨年3月までに3700人分提出。市議会でも日本共産党の他、保守系議員からも批判の声が上がりました。しかし市は計画を止めず、学校解体、建設、残った学校の大規模改修などの予算を62億円計上し、昨年10月から事業者を募集。しかし建設費の高騰などで応募がありませんでした。
市は今年1月、「PFI」法の枠も無視して企業数社と「競争的対話」を行うも応募がない中、2月に関連予算を「73億円」に引き上げました。
住民投票条例制定の運動広がり
住民らは、学校の存続は校区の住民投票で決めることなどを求める住民投票条例制定運動を展開。必要数の4・5倍の有効署名を集めました。
ところが4月の臨時議会で市長は、市の計画には「将来の子どもたちに、より良い教育環境を整えるという理念が根底にある」とし、住民投票に委ねる必要はないと答弁。直接請求は反対多数で否決されました。
計画に対しては、歩いて40分以上の通学を強いられる児童・生徒も生まれ、若年層の人口減、少子化に拍車をかける可能性、防災時に避難所となる施設が少なくなるなど、さまざまな問題点が指摘されてきました。
この問題をめぐっては、住民が市に計画見直しを求めた住民訴訟も起こし、市が当初約束していた、地域の公民館や学校での住民との意見交換会が行われていないこと、計画決定に至る過程に市民の声が反映されていないことなど、市民の合意形成の努力に問題があると訴えています。
合意形成が重要と答弁をするが
9月議会では、初日の2日に提案された、学校統廃合を前提とする四條畷中学校と西中学校の整備事業の工事契約案件が日本共産党と保守系市議の反対、賛成多数で可決されました。
「市民の合意形成が重要と認識している」と森田政己教育長が答弁したことに対し、質問に立った日本共産党の岸田市議は、現段階で市民の合意形成が図られていると考えているかと教育長を質したところ、「(学校統廃合)計画を進めるにあたって、市民の合意形成の重要性は十分認識している」と述べたものの、2年前から市と教育委員会が意見交換会などに取り組んできたことや、今後も広報などで理解を求めるなどと述べるにとどまり、現段階での市民合意の認識ははっきりと示しませんでした。
岸田市議が、計画を進めてきた教育部長に再度確認すると、「大規模な計画で一言で応えるのは難しい、一定の共有が図られていると思っている」との見解を示しました。
市民に背を向け強硬に計画推進
これに対して岸田市議は、日本共産党も参加している「清潔で住みよい畷をつくる市民の会」が8月から実施している「市民アンケート」(別項)の中間集計を示し、「市民の意見は分かれている。賛否では反対が多く、とても納得は得られていない」と追及。学校現場で、「私たちの行く中学校がない」と書いた児童の作文を紹介しました。
岸田市議は、2日可決された工事契約は、四條畷中学校と西中学校の整備を行うものであり、「まだ学校の廃止は条例では決まっていない。市民の声や子どもの声を聞いて、計画見直しに着手すべき」と主張しました。
市は「統廃合を進めていくことに変わりない」と強弁。市民の声に背を向け、強硬に進める姿勢を示しました。
岸田市議は、「引き続き計画見直しを求め、市民とともに運動を進める」としています。
清潔で住みよい畷をつくる市民の会 市民アンケートを実施
〝市民無視で納得いかない〟
〝地域の財産 大事に扱え〟
〝通わせるには遠くて心配〟
「清潔で住みよい畷をつくる市民の会」が8月から実施した「市民アンケート」では、学校の統廃合計画を知っているかどうかとの問いに、「よく知っている」が38%、「聞いていたが内容は知らなかった」が47%、「全く知らなかった」が15%に上り、「学校統廃合をどう思いますか」との問いには、賛成22%、反対38%、どちらとも言えない40%と答えました。
学校統廃合問題についての自由記述には、「説明不足」(50代女性)、「一方的」(40代女性)、「小中学校の統廃合問題については市民無視の計画で納得いきません」(70代女性)、「小学校が減り、学区が遠い家庭も出てくる。教育サービスを1つ大きな場所に集めることで、たった5つしか小学校がなくなるような市に、新規で若い人達が住もうと思うか。いまの状態にも不安、不満があるが20年、30年後どうなっていることか」(30代男性)、「学校は地域の財産。もっと大事にあつかってほしい」(70代男性)などの声が多数寄せられいます。
「新築を買った」という20代の女性は、「学校がかなり遠くなり、小さい子を通わせるには心配で仕方ない」と綴り、「四ヵ所も廃校とは多すぎる。通うのに遠くなる子供が増える。学校は大規模災害の避難所も兼ねている」(60代女性)、「小規模校があっても全く問題ない」(50代男性)、「少人数で充実した教育を望む」(60代女性)などの声もあります。
(大阪民主新報、2016年10月16日付より)