ダイキンは社会的責任果たせ
情報開示・健康調査・汚染対策を
PFAS公害調停 摂津市民ら803人(第1次)が申請
発がん性などが指摘されている有害物質・PFAS(ピーファス、有機フッ素化合物の総称)が、世界的企業のダイキン工業淀川製作所(摂津市)周辺の地下水や土壌などから高濃度で検出されている問題で、地元の摂津市民ら803人が2025年12月23日、大阪府公害審査会に公害調停(第1次)を申請しました。全国各地でPFAS汚染が問題になっている中、企業に対する公害調停は初めてです。
真実を明らかに
調停では、淀川製作所が製造・使用・排出してきたPFOA(PFASの一種)について①同社が公表していない環境調査など一切の資料開示②継続的な環境調査と健康調査③住民参加の協議会による汚染対策・被害者補償の枠組みづくり――を求めます。
申請後に大阪市住之江区内で開いた記者会見で、申請人共同代表の一人、淀川製作所の近くに住む元ダイキン従業員の清水信行さん(80)は、「これまでとは異なるレベルでの運動として、調停が進んでいくことを心から期待している」とあいさつしました。
同じく共同代表で淀川製作所の近くに住む和田壮平さん(34)は、「私たちが求めるのは誰かを断罪することではなく、真実を明らかにし、責任の所在を整理し、何よりも同じ過ちを繰り返さず、未来に残さないことだ」と述べました。
池田直樹弁護団長は、「PFASは被害が見えにくい、長期的に地域に残る問題」と指摘。「これをなんとか解決し、きれいな水と空気を取り戻そうと、地域で党派を超えて人々が結集しつつある」と話しました。
発がん性を指摘

大阪府公害審査会に公害調停の申請書を提出する住民ら=2025年12月23日、大阪市住之江区内
PFASは自然界には存在しない、人工的に作り出された化学物質。撥水・撥油性や火に強いことから衣類や家具、調理器具のコーティングなどに使用されてきたほか、泡消火剤などにも用いられてきました。自然界で分解されるのに数千年かかるとされることから、「フォーエバーケミカル(永遠の化学物質)」とも呼ばれます。
PFASの中で最も広く使用されてきたのが、PFOS(ピーフォス)で、IARC(国際がん研究機関)は、「ヒトに対して発がん性がある」に分類。出生時低体重・発育への悪影響、肝臓への悪影響、免疫力の低下、PFOAを含む粉じんの吸入による間質性肺疾患のリスクも指摘されています。
世界的にはPFOAは「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」の廃絶対象で、欧米では規制が強化されています。日本でも21年からPFOAの輸入、製造、使用が原則禁止されています。
ことし4月からは、これまで「暫定目標値」だったPFOAとPFOS(PFASの一種)の合算値「1㍑当たり50㌨㌘」(㌨は10億分の1)が、水道水質基準になりますが、地下水や土壌など他の規制はまだありません。
ダイキン 2002年に排水でPFOA9㌧放出
琵琶湖6.5個分汚染する量
ダイキン工業淀川製作所は、1960年代から2012年までの約50年間にわたってPFOAを使用・製造してきましたが、生産量や使用量、排出量は公開していません。
記者会見で望月康平・弁護団事務局長は、これまで入手した2002年のデータを基に、淀川製作所が極めて深刻な汚染を引き起こしてきたかを明らかにしました。
それによると、摂津の下水処理場への排水が約9㌧、大気中への放出が約3㌧。「これがどれくらいの量か」と、望月氏は説明しました。
「1㍑当たり1㌨㌘」は、25㍍プールに食卓塩の塩粒3個分を溶かした濃度に相当します。水質基準である「1㍑当たり50㌨㌘」の汚染状態にするには、食卓塩のわずか一つまみ(0・5㌘=500㍉㌘=5億㌨㌘)で、25㍍プール約33個分の水が汚染状態になってしまいます。
「9㌧」は「9千兆㌨㌘」なので、淀川製作所は2002年1年間だけで、6億個分の25㍍プールを水道水質基準レベルまで汚染する量のPFOAを排出していたことになります。望月氏は、「6億個のプールは琵琶湖6・5個分、大阪湾なら4個分に当たる。大気も3㌧が何の対策もされずに排出されていた」と述べました。
申請人を募集 支援・募金も
すすめる会
公害調停の申請人団である「ダイキンPFAS公害調停をすすめる会」は、引き続き申請人を募集しています。申請人になれるのは、ダイキン工業淀川製作所からのPFAS汚染による影響を受けた恐れがあり、または今後受ける恐れがあると考える人で、年齢・性別・国籍は問いません。
具体的には摂津市とその近隣市町村に居住、通勤、通学している人や、過去にそのような状況にあった人が対象。参加費は1人2千円(家族で申請人になる場合は、1世帯当たり2千円)です。
また公害調停を支援する「サポーターズ」への参加や、活動費用のための募金を広く呼び掛けています。
連絡先06・6268・3970(代)大阪PFAS汚染と健康を考える会気付。募金の振込先は三井住友銀行歌島橋支店(店番126)、普通預金3643047、ダイキンPFAS公害調停をすすめる会。
(大阪民主新報、2026年1月11日号より)