おおさかナウ

2016年04月17日

小中学校の統廃合計画  保護者・住民から不安の声 

小中学校の統廃合計画  大阪市生野区

保護者・住民から不安の声  おおさか維新、安倍政権を補完

 

 大阪市生野区は3月1日、同区西部地域の東桃谷、勝山、北鶴橋、鶴橋、御幸森、中川、舎利寺、林寺、生野、西生野、田島、生野南の小学校12校を4校に、勝山、鶴橋、大池、生野、田島の中学校5校を4校にそれぞれ統廃合する計画を公表しました。すべての小学校をいったんリセットし、新たな学校をつくり、小中一貫した教育へ再編するとしています。今年8月にも小学校区単位で、区長が地域や学校関係者との基本合意を取り付け、2019年4月開校をめざす方針です。

 突然の大規模な計画発表に、対象校の保護者や住民からは「内容がよくわからない」「もっと時間をかけるべきだ」などの不安の声が上がっています。3月下旬に区が中学校区単位で開催した説明会には合わせて400人余りが参加、疑問や質問が多く出されました。ある小学校区では区の説明会に先立って、まちづくり協議会やPTAなどが「学校再編を考える集い」を開き、「構想を一度白紙撤回し、時間をかけた協議を要望」しています。

 日本共産党生野天王寺地区委員会は4月発行の「生野民報」で、地域コミュニティーが壊されるなど計画の問題点を示し、学校の存廃は区民や保護者の声を十分聞き、合意が必要だと強調しました。

 大阪市は、小規模の小学校83校(292校中)を対象に統廃合計画の策定を進めています。昨年4月の市総合教育会議(市長と教育委員で構成)で橋下徹市長(当時)は学校統廃合について、「特に生野区は相当大胆な案で、解決策をきちっとたてて実行してもらいたい」「生野区だけではなく市内中心部で問題がある」と言明。今年2月の同会議でも吉村洋文市長は、「進めていくのは本当に必要なこと」だと統廃合推進の継続を表明しています。

 背景には、文部科学省が昨年1月に各自治体に通知した「手引き」の問題があります。「手引き」は全国の公立小中学校の統廃合の促進を狙ったもの。おおさか維新の会は大学や高校と合わせて小中学校でも、安倍政権の補完勢力として統廃合(廃校)を進める構えです。

 大阪市生野区の小中学校統廃合計画は、政治権力が強引に学校と地域に押し付けているもので許されません。学校の統合は子どもの教育にとってどうなのかを第一に考え、学校関係者と地域住民の間での十分な話し合いと合意が必要です。

 初等教育(小学校)の学校規模は100人程度、「小さな学校」が世界標準。小規模校では、一人ひとりの子どもに教師の目が行き届き、子どもたちがよく知り合い人間関係も深まり、子どもの成長・発達にとって教育的な価値をもつとされます。

 いま教育行政がやるべきは、35人学級を小中学校全学年に広げることや中学校給食の全校実施・改善など教育条件を良くすることです。学校関係者や地域住民と共同して、学校存続と教育要求実現にむけた取り組みが求められます。

(小林裕和・党大阪府委文教責任者)

(「しんぶん赤旗」2016年4月15日付)

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