おおさかナウ

2025年11月29日

治療に必要な薬は保険適用を
高市政権が狙うOTC類似薬の保険外し
受診抑制・重症化も
大阪府保険医協会が訴え

処方薬の保険適用存続を求めて会見する宇都宮理事長ら=21日、大阪市浪速区内

処方薬の保険適用存続を求めて会見する宇都宮理事長ら=21日、大阪市浪速区内

 自民・維新連立政権は21日、OTC類似薬(処方薬)を含む薬剤の自己負担増を「2026年度中に実施」と閣議決定しました。大阪府保険医協会(宇都宮健弘理事長)は同日、大阪市浪速区内で会見を開き、保険外しが患者の健康・暮らしに与える影響を報告、保険適用の存続を強く求めました。
 「OTC類似薬」とは、類似のOTC(オーバー・ザ・カウンター=市販)医薬品が存在する医療用医薬品のこと。厚生労働省の試算では、保険から外されると、花粉症薬は最大23倍、湿布薬は最大36倍、総合感冒薬は最大50倍、解熱鎮痛薬は最大21倍の負担増になります。
 大阪府保険医協会の「治療に必要な医薬品の保険適用存続を求める」署名には、4万8千超の賛同が寄せられ、日本アトピー協会や難病患者が個人で保険適用存続を求めて取り組んでいるオンライン署名にも、それぞれ6万1千人、10万100人以上が賛同しています。
 会見あいさつで宇都宮理事長は、この日の閣議決定に強く抗議し、「(負担増によって)受診を抑制し、病院にかかったときには後の祭りとなる危険性もある」と警鐘を鳴らしました。
 基調報告した井上美佐副理事長は、有効成分が一致しても、医療用医薬品とOTC医薬品は、効能・効果、成分・用量などが異なる場合があり、十分な効果が得られなかったり、自己管理が難しかったりする場合があると指摘。保険外しによる治療中断や重症化を懸念する患者の声や、「ロキソニン錠を自己判断で倍量服用し、急性腎不全になった」など、「セルフメディケーション」(自己管理・予防・治療)の危険性を指摘する会員の声などを紹介しました。
 また保険外しが実行された場合、66%の会員が「市販薬を購入するより自己負担が安く済む場合は、保険適用の医薬品を処方する」と回答したアンケート結果を示し、保険外しが「医療費削減効果が見込めないどころか、医療費を増加させる可能性もある」と述べました。
 同協会は21日、斉藤和則政策調査部長名で、「『OTC類似薬』を含む薬剤自己負担増の閣議決定に強く抗議し、治療に必要な医薬品の保険適用存続を強く求める」とした声明を発表しました。

維新主導の処方薬保険外し

 OTC類似薬の保険外しは、維新の主導で行われてきました。
 日本維新の会は昨年3月、OTC類似薬の保険外しを盛り込んだ政策を発表。今年6月の自民・公明・維新の3党合意に盛り込まれ、同月の「骨太方針2025」に、「OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し」について、「2025年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期に実現が可能なものについて、2026年度から実行する」と明記していました。

(大阪民主新報、2025年11月30日号より)

 

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