おおさかナウ

2025年11月08日

議員定数削減は民意の切り捨て
日本共産党 反対の一点で共同を
「身を切る」なら政党助成金返上こそ

 日本維新の会は、国民の民意を切り捨てる「国会議員定数の1割削減」で自民党と合意し、自維連立の高市政権は今国会での成立を狙っています。日本共産党は「国会議員定数の削減は民意の切り捨て」と、反対の一点での共同を呼び掛け、反対署名に取り組んでいます。「身を切る改革」を叫ぶ一方で、維新が受け取り続けているのが、国民の血税を山分けする政党助成金。その額は、2012年に旧日本維新の会が結成されて以来、約289億円にも上ります。

国民1人250円を議席数で山分け

 政党助成金は、国民の税金から315億円を国が確保し、政党が国会議員数に応じて山分けする制度です。総額は、直近の国勢調査の総人口に250円を掛けて算定。有権者でない赤ちゃんや18歳未満の子どもたちも含まれ、支持政党の有無などに関係なく、国民は1人当たり250円を強制カンパさせられていることになります。
 日本共産党は制度が導入された30年前から、「思想・信条の自由」「政党支持の自由」を侵す憲法違反の制度だとして、一貫して政党助成金を受け取らず、廃止法案を提出し続けてきました。
 旧日本維新の会は2012年9月に結党。大阪維新の会代表だった橋下徹大阪市長(当時)が代表となり、同年12月の衆院選で52議席を獲得しました。その後、分裂や解党、離合集散などを経て、2016年から現在の日本維新の会となりました。

運営資金大半を税金に依存

日本維新の会の政党本部収入と政党助成金の推移

日本維新の会の政党本部収入と政党助成金の推移

 総務省「政治資金収支報告の概要」によると、2013年から、政治資金収支報告書が公表されている23年 までに維新が受け取った政党助成金は、計223億8188万8千円。この間の政党本部収入(計298億5968万4千円)に占める政党助成金の比率は75・0%で、運営資金の大半を国民の税金に依存しているのが維新です。(グラフ)
 24年の交付額は計33億6425万4千円。政党助成金は年4回(4月、7月、10月、12月)に分けて交付されます。維新がことし25年10月分までに受け取ったのは計23億8241万6千円。12月分が交付されると、維新がこれまでに受け取った政党助成金は、総額289億736万円となります。

〝政党特権〟に手を付けずに

 維新の吉村洋文代表は、国会議員を50人削減したいと公言しています。しかし国会議員を50人減らしても、財政支出の削減額は35億円にしかなりません。一方で、最悪の「政党特権」とも言うべき政党助成金にしがみ付いています。
 日本共産党の志位和夫議長は10月25日の「大阪教職員のつどい」で、自民・維新両党が合意し、臨時国会で強行を狙う国会議員定数削減を厳しく批判。「『身を切る改革』と言うが、切られるのは国民の民意。そんなに『身を切る』のが好きなら、政党助成金こそ返上すべき」と述べました。

政党助成金

維新 血税累計289億円受け取り
自民 毎年百数十億円もの額が

違憲だとして受け取らず廃止を目指して法案提出
日本共産党

日本共産党は国会議員定数の削減に反対する一点での共同を呼び掛け、反対署名に取り組んでいます。おおさか総がかり集会の当日、同党大阪府委員会が行った宣伝行動で、署名を呼び掛ける清水忠史元衆院議員(右から2人目)=3日、大阪市北区内

日本共産党は国会議員定数の削減に反対する一点での共同を呼び掛け、反対署名に取り組んでいます。おおさか総がかり集会の当日、同党大阪府委員会が行った宣伝行動で、署名を呼び掛ける清水忠史元衆院議員(右から2人目)=3日、大阪市北区内

 

定数削減の害悪は大阪で経験済み
勝手なことするなと声を上げよう
元衆院議員 村上史好さん

 元衆院議員で大阪革新懇代表世話人の村上史好さんに、高市新政権や、国会議員の定数削減の問題についてどう見るのか聞きました。

経済も軍拡も危険な新政権

村上史好さん

村上史好さん

 アベノミクスでこの十数年、格差が拡大しました。大企業や富裕層がもうかれば、恩恵がいずれ庶民の暮らしに回るという「トリクルダウン」はありませんでした。豊かな人はどんどん豊かになり、そうでない人はより厳しい生活に追いやられました。高市新政権はこれを検証しないまま、安倍政権と同じ失敗を繰り返すのではないでしょうか。
 経済が悪化するだけではありません。高市首相は、周囲の国に無用な緊張感をつくっています。トランプ米大統領の言うがままに軍事費を大幅に増やそうとしています。突出する軍事費の財源は増税であり、国民の生活がさらに悪化するのは目に見えています。

民意が反映される制度こそ

 これらの問題と同様に危険なのは、国会議員の定数削減です。
 国会議員数の人口比は、日本は外国と比べて決して多くありません。維新は口を開けば「身を切る改革」と言いますが、定数削減は政党の損得の問題ではなく、国民にとって重大な問題です。国会に送りたいと思う人も、定数が少なくなるほど送れなくなる。国民の声が届かなくなるということであり、勝手なことをするなと、国民一人一人が怒らなければならない問題です。私たちの意見が政治に反映される議会政治は、定数の問題に帰結するのです。
 維新は現在の定数の1割を減らすと言い、比例定数の削減を求めていますが、それは小選挙区をいじることが簡単にできないから、比例を減らすという単純な論理構成です。ましてや自民と維新の2党だけで進めるなどということがあってはなりません。

定数削減で何が起きたのか

 定数削減の害悪は、維新がやってきたことを見てもはっきりしています。
 議員定数を大幅に削減された大阪府・大阪市は、議会の過半数を維新が占めて独裁に近い状態になり、維新以外の意見は行政に反映しないような仕組みになってしまいました。万博にしろカジノにしろ、維新のやりたい放題です。定数削減はそれを全国に広げるということです。
 コロナ時の大阪を考えてください。維新政治の下で、保健所・保健師の人口比が全国で最も少ないままで、公的病院も減らされ、死者数が全国一になりました。地方公務員もどんどん減らされ、公務員の人口比は全国ワースト5。「身を切る改革」と称した定数削減で民意が削られた結果、府民や市民の生活が切られてきたのです。
 夏の参議院選挙で、どの党も消費税の減税や廃止を言うほどになりましたが、共産党は導入される前から反対し、導入後も廃止・減税を求めてきました。消費税は共産党がかねてから言ってきた通り、大企業の法人税や超富裕層の税金を下げるためであることもはっきりしてきました。企業・団体献金も政党助成金ももらわず、政治とカネの問題でも、カジノストップでも、堂々と庶民の立場に立って活動する日本共産党のような政党が、定数削減によって打撃を受けるようなことがあってはなりません。

思想信条越え声を上げよう

 思想や信条を超えて、民意削るな、民主主義守れ、今こそ国民が声を上げるときです。

(大阪民主新報、11月9日・16日合併号より)

 

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