おおさかナウ

2016年03月06日

貧困と格差拡大で苦しむすべての
府民を視野に要求実現を

教育・福祉・防災に背を向ける
大阪府2016年度予算案(上)

日本共産党大阪府議会議員団

「積立金が底をつく」デマ宣伝

 維新府政8年の特徴の一つは、「破産会社」(橋下知事・2008年2月6日)などと府の財政危機を誇大に宣伝し、「身を切る改革」と称して職員などの労働条件を改悪し、それをテコに府民福祉を削減してきたことです(14年度末までで1557億円)。

 国に対しても府民施策の財源確保はほとんど求めてできませんでした。

 府民のために使える積立金=財政調整基金が17年度で「底をつく」などと宣伝されていますが、事実は異なります。

 14年度末の残高は1612億円で、15年度当初予算では843億円に減ると見込んでいましたが、ことそ2月段階で実際は1254億円残ります(下表)。

 しかも、予算には組むが実際には使わなかった「不用額」が毎年何百億円も出て、7月に公表される15年度決算では黒字が膨らみ府の貯金が増える仕組みになっています。

 府は、15年度決算で「始めて財政調整基金を取り崩す」としていますが、根拠はなく、貯金残高は決算段階では1254億円よりも増えると財政に関わる府職員も認めています。

府民のために使える積立金=大阪府「財政調整基金」は増加

単位:億円。2015年度末の残高は1254億円より増える見込み

年度 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

2015

年度当初の残高見込み 9 6 78 784 711 1,037 1,039 843
実際の年度末の残高 383 434 1,256 1,385 1,438 1,500 1,612 1,254
実際には使わなかった「不用額」 279 365 361 381 292 409 398  

新年度予算案の特徴

 新年度予算案や施策で共通している特徴は、
①森林保全(森林環境税が財源)などを除けば、防災・教育・福祉などの本格的な新しい府民施策はなし。

②暴力行為の急増など教育現場の荒れ、児童虐待対応職員の年間1千時間を超す残業、介護・医療現場の人員不足など、子どもや高齢者の困難を解決する第一歩につながる施策はなし。逆に、福祉医療助成の患者負担増の検討、大阪市立住吉病院つぶし、府立高校つぶし、教育への競争激化政治介入強化、府職員賃金見送りなど強権的な府政運営が一層露骨に。

 ③箕面森町、彩都、うめきた、淀川左岸線2期や延伸部、モノレールや北大阪急行延伸、リニア・なにわ筋線・カジノ、これらをすすめる「大阪都」と「副首都推進局」設置(新年度予算3億7千万円)など開発優先路線は継続。

 ④国が社会保障改悪の「備え」や参院選対策として組んだ補正予算が府に約770億円降り、認可保育所や公営住宅建設など積極的に活用できるものもありますが、府の独自の充実策はありません。

維新の暴走止める

 日本共産党府議団は、

 ①貧困と格差拡大で苦しむすべての府民を視野にくらし応援・防災などの要求実現に取り組む。

 ②維新府政の悪政の一つ一つを分かりやすく府民に伝える。

 ③府民の苦しみの根本に安倍政権とおおさか維新が一体となった悪政があることを府民に知らせる。

 ④府政の当面改革と国政の根本的改革を展望しつつ、暮らしや平和などすべての分野での安倍暴走をストップするため、参院選での共産党と国民共同の前進をかちとる、という立場で全力を尽くします。

教育
競争教育押し付け

 暴力行為が多い府内50の小学校にスクールカウンセラー等を配置する「小学校指導体制支援推進事業」(1億7694万円)を行いますが、知事は50校の名前を公表するとしており、「暴力が多い学校」というレッテルを貼るようなことはやめるべきです。

 暴力行為をなくすうえでも有力な少人数学級は、学力やいじめ発見率の向上にも役立ちますが、府は新年度も背を向けたままです。

 「中学生チャレンジテスト」は3年生まで拡大され、事業費は2億6510万円です。

 全学年で結果が受験時の調査書評定の対象になり、競争の激化や授業への弊害が懸念されます。

 府立高校への「スーパーイングリッシュティーチャー」配置を10校から17校に増やすなどの英語力要請関連事業に3113万円の予算をつける一方、学び直しの場でもある池田北、咲洲高校は募集停止が始まり、西淀川高校も今春入試の結果次第で対象校とされます。

 「選択と集中」の名で子どもの中の格差を広げ、行き過ぎた競争を押し付け、子どもたちを無理やり振り分けることは、等しく教育を受ける権利を踏みにじるものです。

 4月から大阪市立支援学校が府に移管されます。

 支援学校一元化関連事業費として新年度は18億1824万円が計上されていますが、移管後も市立支援学校が行ってきた支援サポート体制を継続できるよう要望があるにもかかわらず、府は背を向けたままです。

 高度な医療的ケアを必要とする児童生徒のための高度医療サポート看護師は、現場から増員の切実な要望があり、配置検証が始まったにもかかわらず、新年度も1名のみの配置予算です。

 私立高校授業料は、現在、保護者年収610万円未満世帯が無償、610万〜800万円世帯は、年間10万円ですが、新年度入学生から590万円未満が無償、590万〜800万円世帯は20万円と改悪します(大学生と私立高校生が3人以上の世帯は590万〜800万円世帯が10万円、800万〜910万円世帯は20万円)。

 府は私立学校耐震化緊急対策事業として12年度から3年間で耐震化率90%を目標に補助制度を設けましたが、15年4月現在耐震化率78.4%と進んでいません。

 補助は新年度も継続されましたが、耐震化が遅れている要因には維新府政による経常費助成の削減があります。

 新年度から私学行政を教育長に委任し「教育庁」を設けるとしていますが、私学の自主性が損なわれることが危惧されています。

 府大と大阪市大の統合を、両大学関係者への説明も合意も不十分なまま進めようとしています。

 一方で、府大の運営交付金は98億6098万円、10年前の75%に削減されています。

まちづくり
護岸改修に40年も

 安全で住みやすい大阪をつくる点でも後退が目立ちます。

 大阪市内の府営住宅は、大阪市に順次移管されていますが、大阪市を除く府内の府営住宅戸数は、08年度末の12万2415戸から14年度末は12万629戸へと1786戸も減っています。

 しかもその間、空き家は10449戸から14534戸へと4035戸も増えています。

 実際に府民が入居している府営住宅戸数が6年間で5821戸も減っているのは重大です。

 新年度の建て替えと耐震改修の予定戸数は4662戸と、国の補正予算もあり例年より増えていますが、府営住宅削減路線は続いています。

 大阪市に続いて大東市へも府営住宅移管が予定されていますが、府の公的責任の縮小につながり、市町村への安易な移管は見直すべきです。

 資産の有効活用の名目で新年度77億円余りの利益を見込んでいますが、その大半は府営住宅建て替えでできた空き地の売却です。

 売却せずに府営住宅を建設すれば、府民の住宅要求に応えられます。

 局地的豪雨が近年急増しています。

 府が管理する河川のうち41河川で時間雨量50mmで床上浸水が起こるとされています。護岸などの改修費用は約1300億円といわれていますが、新年度の府の改修予算は約28億円しかなく、改修完了までに40年以上かかる計算です。

 土砂災害対策も、ことし9月でやっと危険地域指定が終わり、避難対策のハザードマップづくりは大半の地域がこれからです。

 南海トラフ巨大地震が今後30年間で起きる可能性は70%といわれ、府は最悪13万人以上の死者が出ると予測しています。

 しかし実際の対策は、ベイエリアの防潮堤液状化対策以外はこれからです。

 地震や豪雨対策では、国の予算も十分確保されていないことも重大です。

 一方、大阪モノレールの東大阪への延伸(3億円)、北大阪急行延伸(10億円)、なにわ筋線の検討(500万円)、リニア同時開業の国への働きかけ(450万円)などを計画しています。

 今後の人口減少や財政の厳しさを理由に本来やるべきくらし応援・防災施策を放置していることからも、モノレールと北大阪急行の延伸は再検討すべきです。

 なにわ筋線やリニアなどは論外です。

 淀川左岸線2期・延伸部建設も自動車交通量が減っている下では見直すべきです。

 カジノを核とした「統合型リゾート施設」誘致や2025年の万博誘致も、誤った「呼び込み型」大阪活性化策です。

 子どもや女性の安全を守る上で重大なのが、性犯罪・性暴力被害者の増加、低年齢化です。

 府は性暴力救援センター(SACHICO)に委託し、性暴力被害者の相談窓口をもうけていますが、予算を15年度の6割程度に縮小し、新年度限りとする方針です。

 支援の継続・充実を求める運動が急務です。

 危険ドラッグ販売店への立ち入り検査や啓発、スマートホンについての保護者や教職員、青少年への啓発、小学生向けのネットリスク回避出前講座(モデル3市域30校)などを行いますが、これらも抜本的に強めることが必要です。

農林業・環境
自然エネは後進県

 新年度予算では、農業振興、森林保全や間伐材利用などの予算が増えています。

 しかし環境分野も合わせた環境農林水産部予算は約219億円(府予算全体の0.7%)と軽視されているのは従来と変わりません。

 市街地中心部の緑化(3000万円)、農業の若者にない手づくり、大阪型農地貸付推進事業、大阪産グローバルブランド化などはいずれも必要ですが、事業規模と予算額が少なすぎます。

 何よりも大阪の農家の大半を占める兼業農家への支援策が貧弱なままなのは重大です。

 森林環境税導入に伴い、危険渓流の流木対策、未利用木質資源の活用、子育て施設の内装木質化など新しい施策が盛り込まれましたが、従来からの治山事業などの充実も含め府予算をもっと増やしながら市町村の施策充実も求めるべきです。

 環境分野では、太陽光発電・省エネへの融資制度は年間100件前後しか実績がなく、自然エネルギー後進県のままです。

 しかも国基金が15年度までなくなり、学校などへの太陽光や蓄電池の推進事業を打ち切ります。

 自然エネルギーや省エネを推進し、大阪経済を発展させる方向とは、全く逆行しています。

 ため池防災事業、農業用水路、農空間整備事業などには30億円余りの予算がつけられています。

 党府議団として、一つ一つの事業の中身を調べながら、農林水産業振興、防災、環境保全の事業をさらに充実させる提案をしていきます。

(大阪民主新報、2016年3月6日付より)

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