2025年10月04日
みきしーの忙中遊あり
さよなら「あんぱん」
「そうだ、おそれないで、みんなのために、愛と勇気だけがともだちさ♪」―NHKの朝ドラ「あんぱん」の放送が終わりました。どこまでも人間を信じる温かいドラマでした。
漫画の『アンパンマン』だけでなく、やなせたかしさんの絵本もすてきです。
『やさしいライオン』は、育ての母と子が離れ離れになる切ないお話。絵も可愛くて悲しくて、大人でも涙がでます。名作『チリンの鈴』は、父母をオオカミに殺された子羊が復讐のために凶暴な獣に変身しオオカミを殺すお話ですが、復讐心は相手だけでなく自分も滅ぼすことを教えてくれる絵本です。
私が一番好きなのは『キラキラ』。怪物キラキラとそれを退治しようとする勇ましい兄弟のお話です。よその星から来たキラキラは地球の人間から見るとお化けのように見えます。しかしキラキラの星ではみんなキラキラと同じ顔かたちをしていて、キラキラにとっては地球の人間の姿がお化けに見えます。お互いお化けに見えるから争いや殺し合いが起きる。人種や外見で人を差別することの愚かさを描いた絵本です。いま外国人差別や排外主義にとりつかれている大人たちに読んでほしい。
やなせさんは詩人でもあります。『たそがれ詩集』にこんな詩がありました。
「足が弱くてすぐころぶ。耳は遠いし眼はかすむ。まいにちあぶないつなわたり。決死の冒険サスペンス。これぞ老後のおたのしみ」。どんなことも、やなせさんのように面白がって生きたいものですね。(だいもん・みきし 参院議員 次回は11月2日号に掲載)
(大阪民主新報、2025年10月5日号より)