忠岡 巨大産廃施設誘致
現状非悪化の原則は重要
住民不安受け計画中止を
町議会 日本共産党が質問
是枝町長 環境への影響は大 住民利益に反する
忠岡町議会の本会議で一般質問が3日から2日間行われました。5月に就任した是枝綾子町長が公約した、巨大産廃焼却施設の誘致計画の見直しを巡る問題で、論戦が交わされました。
維新の前町長が誘致計画を推進
2020年に大阪維新の会公認で初当選した杉原健士前町長は、選挙戦では、他の自治体と共同して一般ごみを処理する「広域化」を掲げていました。ところが23年、この公約を投げ捨て、公共と民間事業者が連携してごみ処理を行う「公民連携協定方式」に転換。
24年3月で廃止となった公設民営のごみ処理施設(忠岡町クリーンセンター)の跡地に「仮称・地域エネルギーセンター」(33年稼働予定)を誘致し、1日180㌧の産業廃棄物を忠岡町外から運び込み、町民の一般ごみ1日20㌧と一緒に焼却する計画です。
杉原前町長が、官製談合防止法違反(入札妨害)などの疑いで書類送検され、辞職したことに伴う町長選(5月18日投開票)で、計画中止を公約した是枝氏が初当選。計画中止の前提となる、町の一般ごみ処理の広域化を目指して、取り組みを進めています。
現状より環境が悪化しないよう
一般質問では、日本共産党の二家本英生、河野隆子、高迫照子の各議員が、誘致中止の立場から質問しました。
二家本議員は、環境基準についての環境省の説明は、「汚染が現在進行していない地域については、少なくとも現状より悪化することとならない」というもので、「現状非悪化」が原則だと述べました。
忠岡町で産廃焼却施設が稼働すれば、排出ガスの総量や、廃棄物を運搬する車両は増加すると強調。「地域の環境を守るためには、現状より悪化させない、現状非悪化の原則が重要ではないか」とただしました。
是枝町長は、「環境保全の立場から、現状よりも環境が悪くならないようにすることが大切。誘致計画は環境への影響が懸念されることから、中止に向けて努力していく」と答えました。
環境影響評価で町長として意見
河野隆子議員も、「環境を今よりも悪化させず、良くしていくことが、忠岡町の責務だ」と主張。産廃焼却施設の誘致に対し、住民からは環境への影響に不安が出ていると述べました。
さらに、事業者側が示した環境影響評価方法書(案)では、現況調査地点は半径3㌔㍍の範囲内で、忠岡町全域が含まれておらず、このままでは町民への影響が分からないと指摘。是枝町長の見解をただしました。
是枝町長は答弁で、「町民に、環境への影響が分かるようにすることが(産廃焼却施設を誘致する)忠岡町の役割」と強調。調査の範囲を広げるよう、環境影響評価の制度の中で、町長の意見として反映できるように考えていると答えました。
不安をしっかり受け止めている
高迫照子議員は、「焼却量が10倍になれば排ガスも10倍になる。環境は今より悪化するのは明らかだ」として、住民の不安の声を紹介しました。
――何よりも心配なのはダイオキシンの拡散。地球を汚し、人々の健康を害することに反対。これからを生きる子どもたちのために、環境を良くしてほしい。
――産廃焼却炉で、どんなものを燃やすのか、分からない。
――こんな小さな町に産廃焼却炉が必要なのか。住民への問い掛けなしに、どんどん進められることに納得がいかない。
高迫議員の質問に是枝町長は、「住民の方々の心配の声は、しっかり受け止めている」と答弁。産廃焼却炉誘致の中止へ、一般ごみの処理方法を確立するために、広域化に向けた取り組みを進めたいと表明しました。
他会派や議員は誘致推進の立場
これに対し、産廃焼却施設問題を取り上げた他の会派や議員は、是枝町長が目指す広域化について「99%無理だろう。(実現するのが)伸びれば伸びるほど、財政負担や損害が出る」(公明党・北村孝議員)、「過去にこちらから断っている。道義的にあり得ない」(維新・河瀬成利議員)などと、誘致推進の立場で質問しました。
是枝町長は、「公約である計画中止に向け、ごみ処理の広域化を目指して努力する」「(産廃焼却施設は)環境への影響が大きく、住民の利益に反する」と答えました。
(大阪民主新報、2025年9月14日号より)