おおさかナウ

2025年08月30日

大阪・関西万博 未払いでGL社提訴
セルビア・ドイツ館下請け業者

 大阪・関西万博の海外パビリオンの建設費未払い問題で、新たにセルビア館とドイツ館の下請け業者が、元請けのGLイベンツジャパン(東京都)に約3億2800万円の支払いを求め22日、東京地裁に提訴しました。
 GLイベンツジャパンは、フランス資本の世界最大手イベント会社・GLイベンツの日本支社。今回の万博ではドイツ、セルビア、マルタ、ルーマニアのパビリオン工事を請け負っていますが、4館すべてで未払いの声が上がっています。6月にはマルタ館の下請けが未払い分約1億2千万円の支払いを求めて提訴しています。
 今回、提訴したのは、建設会社レゴ(大阪市中央区)です。

セルビア館

セルビア館

ドイツ館

ドイツ館

追加工事余儀なくされた上

会見するレゴ社の辻本社長(左)=22日、大阪市北区内

会見するレゴ社の辻本社長(左)=22日、大阪市北区内

 訴状などによると、レゴ社は、GL社から去年8月、セルビア館、その後、ドイツ館の工事を受注。当初の受注金額は、セルビア館4億9500万円、ドイツ館は約1億3100万円でした。
 しかし、両館とも、GL社提供の図面ではなく、同社の現場担当者が把握していた図面で工事をしていたため、GL社の指示に沿う追加作業が必要になりました。しかもGL社提供の資材は図面の要件を満たさず、現場でレゴ社が加工作業を行う必要があるなど、多数の追加作業が生じました。結果、レゴ社からGL社への請求額は、セルビア館が約8億563万円、ドイツ館は5億1112万円に増えました。
 GL社は、去年年末までにドイツ館の工事費の一部を支払うと約束していましたが、入ったのは今年1月末。セルビア館は外装工事終了時点で支払うとしていましたが、契約金額の25%しか払われませんでした。万博開幕前の4月10日に両パビリオンを引き渡した後も、今に至るまで支払われていません。
 結局、GL社からレゴ社に支払われたのは、セルビア館4億200万円、ドイツ館約3億4900万円。GL社がレゴ社の下請け業者に直接払った額を差し引くと、セルビア館とドイツ館を合わせて3億2844万円が未払いとなっています。

民民の問題ですまされない

 提訴した日、大阪市内で会見した辻本敬吉社長は、「事務所の家賃も払えていない」と苦境を話し、「協力業者にも不眠不休で頑張ってもらった。仕事に対しての報酬を払ってほしい」と訴え。今回の万博については、「あっちでもこっちでも未払いが起きて異常事態。『民民(の問題)』でいくと、建設業界はこういうイベントに怖くて手を出せなくなる」と述べました。

(大阪民主新報、2025年8月31日号より)

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