どう見る参政党
②本当の希望を語ったのか
新しい政治求め模索する有権者
参院選最終日の7月19日午後7時半すぎ。JR天王寺駅前で、日本共産党が選挙戦最後の街頭演説を行っていました。あべのハルカス側で、待ち合わせ中に街頭演説を聞いていた20代の男性は、こう話しました。
「時間があったら投票に行く。与党ではなく、野党に入れるが、まだ決めていない。投票所に行って決める」
今回の参院選では、各党の街頭演説の現場などで、聴衆や市民の声を聞いてきました。多くの有権者に共通したのは、自民党政治ではない新しい政治を求めて、自分の願いを託せるのはどの党か、模索を重ねている姿です。
生活の困難から注目する人たち
公示日の7月3日、JR大阪駅前で参政党が第一声を行いました。「失われた30年は、奪われた30年」と力を込めたのは、大阪選挙区候補の宮出千慧氏。「日本人はこんなに一生懸命やっているのに、希望を失わされて、何のために生きてるんだろうと思っている人、めっちゃ多いと思う。それを私はもう一回、なんとかしたい」と訴えました。
演説を聞きに来た50代の男性は、「30年の景気停滞を打破してくれるところを支持する」と語り、選択肢は参政党や日本保守党。「政治に関心を持ち始めたのは、生活が苦しいから。物価高で、給料は上がらない。維新にはだまされた。良くなるかと思ったが、何も良くなっていない」と語りました。
選挙戦最終日の19日、比例候補の梅村みずほ氏は、「就職氷河期といわれて私たちを、なおざりにしてきた政権にノーを突き付けよう」「この国を立て直すのは、最も苦しい思いをした私たちの世代だ」と叫びました。
「力を与えて」と訴えはしたが…
「失われた30年」とは、日本で30年もの長期にわたって、経済の停滞と低迷が続き、貧困と格差が異常に拡大してきたことです。働く人の4割を非正規労働者に置き換え、「賃金が上がらない国」になってしまいました。
消費税を増税し、大企業の法人税を引き下げたことが、経済と家計への大打撃に。医療・年金・介護などを切り捨て、教育予算を抑えてきました。そこに襲い掛かったのが、物価高騰。経済と暮らしの深刻な実態の根本にあるのは、財界・大企業の目先の利益を優先してきた自民党政治です。
大阪選挙区で初当選した宮出氏は最終盤、「結局、国民のための政治が行われていない」「今の政治家任せでは、できない。参政党に力を与えて下さい」(7月18日、JR・京阪京橋駅前)と訴えましたが、暮らしを良くするための賃上げ政策などは、そもそもありません。
参政党に危機感 共産党への期待
参政党の伸長に、危機感を抱いた聴衆も少なくありません。7月18日、JR・京阪京橋駅前で参政党の街頭演説を聞いた18歳の男性は、「反科学的なことを言っていたので、参政党は当選させてはならないと思った」と語りました。
40代の女性は、「若い頃は政治に無関心で、支持政党はなく、共産党や維新にも入れてきた。参政党は嫌なので、どんな話をするのか聞きに来た」。その手には、参政党の神谷宗幣代表の暴言に抗議する「産む産まないで女の価値を決めるな」というプラカードがありました。
この女性は「今回の投票先は減税しないところ。減税すると将来の生活が不安になるから」と話しました。記者が、消費税の増税と大企業への減税の額が同じであることや、日本共産党の消費税減税の財源案は、大企業などに応分の負担を求めることだと伝えると、女性は驚き、「もっと知りたい」と話していました。
18日、阿倍野区内で日本共産党の街頭演説を聞いた40代の男性は、「初めて共産党の話を聞いた。無党派で、自民党にも共産党にも投票したことがある。今度は絶対に与党を減らしたい。参政党もいいと思うが、消費税で決める」と話しました。
記者が、日本共産党は廃止を目指して当面5%に引き下げ、大企業減税などを是正して財源をつくることを説明すると、男性は「段階的ということですね。どの党も消費税のことを言うが、共産党は信頼できると思った」と、期待を語りました。(随時掲載)
(大阪民主新報、2025年8月24日号より)