おおさかナウ

2016年03月20日

地下鉄民営化にメリットなし
根拠は崩れ新たな負担も
共産・山中議員が力説

 日本共産党大阪市議団の山中智子幹事長が14日の大阪市議会交通水道委員会で、市営地下鉄・バスの民営化をめぐり、市や交通局が行ってきた説明が成り立たなくなり、うたい文句にもごまかしがあることを明らかにし、「市民にとってメリットはない」と力説しました。

大阪市議会交通水道委

山中智子市議

山中智子市議

 山中氏は仮に地下鉄を民営化する場合、企業債(残高約4900億円)の一括償還や職員への退職金の支払いなどが必要になると指摘。「企業債の償還は銀行から借りるしかないが、退職金は上限1200億円という大きな額だ。これほどまでして民営化しなければいけないのか」と迫りました。
 山中氏は「乗客数の減少」が民営化の理由だったが、2012年度以降の5年間は乗客は増えており、「立論の根拠が崩れている」と強調。藤本昌信交通局長が「増客戦略に取り組み、インバウンド(外国人観光客)が増えた」などと話をすり替えたのに対し、「いま民営化をする必要はなく、民営化の理由にはならない」としました。
 山中氏は、過去10年に一般会計から地下鉄会計に交付された補助金の約6割が、地下鉄建設やバリアフリー化などの建設改良費へのものであり、近年は大きく減っていると指摘。「税金を使う組織から納める組織へ」という民営化のうたい文句は「誇大広告だ」と批判しました。
 その上で、地下鉄は累積赤字を解消し、単年度黒字を出していることから、地方公営企業法に基づいて利益に応じて一般会計に納付できるとし、「一般会計に貢献したいと言うなら、ただちにやればいいではないか」と主張。公営なら法人税等の負担はないが、民営化すれば約70億円課税されることを示し、「民営化はやめて、公営企業としてバスを支援するべきだ」と求めました。

バス守られる保証なし

 15日の同委員会で山中氏は、バスの民営化問題を取り上げました。市の「民営化基本方針案」では、バス事業が債務超過に陥り、「公営事業としては存続できない状態」として、現在一部路線の運行を一部委託している市の外郭団体「大阪シティバス」に譲渡し、民営化後の地下鉄会社が株式を保有。路線や運行回数、運賃などは「引き継ぎ後概ね5年間」維持するとしています。

債務超過の最大の原因

 山中氏は、バス事業の債務超過は、破綻した土地信託事業「オスカードリーム」の和解金の支払いを、責任のないバス事業に負わせたことが最大の原因だと指摘しました。
 経営が厳しくても、きめ細かな市民の足を守るためには、地下鉄からの支援が欠かせないと強調。橋下前市政下で支援を打ち切り、採算のとれるところでしかバスを走らせないようにした上で、「概ね5年間と言っても、(バスは)何ら守られる保証がない」として、民営化に反対しました。

(大阪民主新報、2016年3月20日付より)

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