おおさかナウ

2025年08月02日

どう見る参政党
①消費税減税を叫んだが…

 7月の参院選では、「日本人ファースト」を掲げ、排外主義をあおる参政党が伸長し、大阪選挙区でも議席を獲得しました。一方、選挙後の対話の中で、参政党に投票した人からは「そんな怖いことを主張しているとは知らなかった」など、驚きの声も寄せられています。参政党は大阪で何を語ったのか、支持した人は何を願ったのか、考えます。(随時掲載)

政治への不満にアプローチした

参政党の大阪での参院選第一声。「消費税減税」「日本人ファースト」を叫びましたが…=7月3日、大阪市北区内

参政党の大阪での参院選第一声。「消費税減税」「日本人ファースト」を叫びましたが…=7月3日、大阪市北区内

 参院選が投開票された7月20日。大阪選挙区で当選した参政党の宮出千慧氏は、記者会見で勝因を問われ、「国民の政治に対する不満がすごくあった中で、アプローチできた」と発言。「経済政策をしっかりとやっていきたい。減税、積極財政で」と語りました。
 参政党が、参院選公約で掲げたのは、「消費税の段階的廃止」「国民負担率(税と社会保険料)を35%以内に抑える」。宮出氏の第一声(7月3日)で、安藤裕元自民党衆院議員(現参院議員)は、「消費税は廃止一択」「導入できたのだから、廃止もできる」と訴えました。
 街頭演説を聞いたフリーターの男性(22)は、「参政党の演説は、初めて聞いた。消費税減税は、直接大きな効果があると思う」と話しました。「朝日」(7月21日付)の出口調査によると、物価対策で「消費税減税」求めたのは72%。そう答えた人の比例代表の投票先で、最も多かったのは参政党の17%でした。

社会保障を削減尊厳死法制化も

 比例代表で当選した、元維新議員の梅村みずほ氏も、選挙戦最終日の7月19日、「全品目、消費税減税。いったん5%に」と絶叫しました。ところが参政党は、消費税減税などの財源確保策について、まともに語ったことがありません。
 しかし、「参政党の政策2025」では、「消費税減税と併せ…無駄な医療費の削減等による社会保障費の最適化」と明記。社会保障の極端な削減を打ち出しています。
 「終末期における過度な延命治療に高額医療費をかけることは、国全体の医療費を押し上げる要因」と決め付け、「終末期の延命措置医療費の全額自己負担化」を主張。「尊厳死法制」の整備まで掲げています。
 「無駄な医療費の削減」では、「薬局で購入可能なOTC医薬品(市販薬)で対応可能な疾病は、原則処方しない」ことも公約。自民・公明・維新の3党が合意し、国民民主党も賛同する「OTC類似薬の保険外し」と同じものです。

国債に依存して発行の自由化も

 参政党は、「財政法4条の改正と国債発行による積極財政」を掲げました。財政法第4条1項は、「国の歳出は原則として国債又は借入金以外の歳入をもって賄うこと」と規定。戦時国債を乱発して、侵略戦争に突き進んだ戦前の反省に立ったものです。
 この規定を改定して「国債発行を自由化」するのが、参政党の考えです。しかし国債は、金融商品として市場に売買される、非常に不安定な財源。過剰に発行すればインフレを引き起こす可能性があるなど、消費税減税の財源を国債に求めることは、極めて危険です。
 さらに国債に依存することは、大もうけしている大企業や富裕層への優遇という、自民党政治がつくり出した税制のゆがみにメスを入れず、温存することにつながります。

参院選を終えて野党に問われる

 日本共産党の小池晃書記局長は7月27日のNHK「日曜討論」で、参院選では、すべての野党が消費税の減税と廃止を掲げ、自民党候補の4割もそう主張したと指摘。消費税減税を「民意に応え直ちに具体化することが必要だ」と表明しました。
 また小池氏は、「自民党政治を終わらせたいというのが国民の願いだ」と強調。「野党は国民の側に立って自民党政治を変えるのか、それとも自民 党政治を助ける勢力になるのか、ということが問われている」と述べました。このことは、参政党にも鋭く問われます。

(大阪民主新報、2025年8月3日号より)

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