発がん性指摘のPFAS
ダイキン隣接地で高濃度
市民団体が発表 血液検査で判明
「大阪PFAS(ピーファス)汚染と健康を考える会」が19日、府庁内で記者会見し、空調大手のダイキン工業淀川製作所に隣接する摂津市一津屋地域の住民に血液検査を行った結果、発がん性が指摘されているPFOA(ピーフォア)が高濃度で検出されたと発表しました。
PFASは1万種以上とされる有機フッ素化合物の総称です。耐水性・耐火性が高いことから、生活用品では調理器具や食品の包装紙、美容関連製品などに使われ、世界中に普及。工業製品では軍事基地や空港などで使う泡消火剤があり、半導体製造や金属メッキなどにも用いられています。
中でもPFOAとPFOS(ピーフォス)は、ワクチン効果を弱める作用や、腎臓がん、胎児や新生児の発育抑制などの健康被害を引き起こすことが指摘されています。
ダイキン工業は1960年代後半から、淀川製作所でPFOAを製造してきました。
この間、摂津市や大阪市東淀川区の地下水から高濃度のPFOA汚染が検出される中、一津屋地域の住民が、PFOAの汚染問題への理解と対策を求めようと、ことし4月、「公害問題を考える会」を設立。専門家を招いた住民集会や住民アンケート調査などに取り組んできました。
血液検査は同会の要請を受けて、大阪PFAS汚染と健康を考える会が、一津屋地域の20~80代の住民62人を対象に、6月1日に実施。その結果、健康被害の可能性があると米国科学アカデミーが定めた基準(血液1㍉㍑当たり20㌨㌘。ナノは10億分の1)を超えた人は、全体の3分の2に当たる41人(66・1%)に上ることが判明しました。
結果を分析した小泉昭夫・京都大学名誉教授は、大阪府民1187人を対象に行った血液検査(2023年)では、ドイツ基準(血液1㍉㍑当たり10㌨㌘)を超えたのは摂津市と大阪市東淀川区で17・0%だが、今回の調査では54・8%だと指摘しました。
一津屋地域のPFOAの汚染レベルについて、小泉氏は「非常に高い」と強調。「ダイキンは2012年にPFOAの製造を中止しているが、現在も高濃度のPFOA汚染が継続していると考えられる」と述べました。
長瀬文雄事務局長は、「今回の血液検査は、ダイキンの地元中の地元の住民有志の呼び掛けで取り組んだが、本来は国や自治体の責任で、もっと大規模な検査を行うべき」と話しました。
(大阪民主新報、2025年6月29日号より)