おおさかナウ

2025年06月28日

〝土地の大部分は駐車場〟
異常想定で不当な激安賃料に
カジノ住民訴訟で口頭弁論

住民訴訟の閉廷後に開かれた報告集会=17日、大阪市中央区内

住民訴訟の閉廷後に開かれた報告集会=17日、大阪市中央区内

 カジノを核とする統合型リゾート(IR)の大阪誘致を巡り、夢洲(大阪市此花区)の市有地を違法な格安賃料でカジノ事業者に賃貸することで、大阪市(市民)が損害を受けるとして、大阪市民が松井一郎前市長らに約1045億円の賠償などを求めた住民訴訟の口頭弁論が17日、大阪地裁(横田昌子裁判長)でありました。

 市はカジノ事業者に、月額1平方㍍当たり12万円で土地を賃貸。隣接する関西電力変電所の土地は、不動産鑑定評価で月額1平方㍍当たり33万円と評価されており、カジノ用地は異常な格安となっています。
 原告弁護団の松村隆志弁護士が意見陳述。カジノ用地の不動産鑑定評価を行った鑑定業者の一つ、日本不動産研究所(不動研)が、カジノ用地上に想定した建物の問題点を明らかにしました。
 不動研が想定した建物(2階建て)の延べ床面積は7万平方㍍で、建物の建築面積は3万5千平方㍍です。カジノ用地全体の面積は49万平方㍍。建物以外の46万5千平方㍍は、すべて平面駐車場と想定し、土地価格を算定しています。
 松村氏は、日本最大のアウトレットモール「御殿場プレミアム・アウトレット」(静岡県御殿場市)の店舗面積は6万1300平方㍍、駐車場(7千台)は概算で17万5千平方㍍であることを示しました。
 この実例から換算すると、不動研は、1万8600台もの駐車場を確保することを想定していると指摘。「経済的合理性を欠き、収益を最大化する最有効使用を想定したものとは到底言えない。このように算出された1平方㍍当たり12万円という土地価格が、不当に安価なものであることは明らかだ」と断じました。
 閉廷後の報告集会で、6つの住民訴訟の原告団・弁護団が状況を報告。カジノ用地の引き渡しと登記の差し止めを求める訴訟の藤永延代原告団長は、「この裁判で勝てば、カジノの認可は取り消される。手を緩めることなく頑張ろう」と呼び掛けました。

(大阪民主新報、2025年6月29日号より)

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