おおさかナウ

2025年06月07日

ギャンブル依存症 現状・対策考えるシンポ
造らないのが最大の対策
夢洲カジノ建設 石川府議が指摘

府のギャンブル依存症対策について話し合う大阪府議ら=5月25日、大阪市西区内

府のギャンブル依存症対策について話し合う大阪府議ら=5月25日、大阪市西区内

 違法なオンラインカジノの利用が、芸能界やスポーツ界などで相次いで発覚し、多重債務や犯罪、自死、家庭崩壊など、ギャンブルに起因する社会問題が深刻化しています。「成長戦略」の名で大阪市の夢洲に国内初のカジノ(IR=カジノが中核の統合型リゾート)建設が進められる中、「迫る大阪IR 進めよう依存症対策!」と題して、ギャンブル依存症の現状と対策を考えるシンポジウムが5月25日、大阪市西区内で開かれ、280人が参加しました。全国ギャンブル依存症家族の会大阪と公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会の共催。
 大阪市此花区の人工島・夢洲の万博会場隣接地では、2030年秋ごろの開業予定で、国内初のIRの施設本体工事が進められています。
 ホテルや国際会議場、大型ホールやバスターミナルなどを整備すると言いますが、全体面積の数%に過ぎないカジノがIR総売上の8割をたたき出すとされ、カジノ利用者のうち毎年多くの人がギャンブル依存症に罹患すると懸念されています。
 警察庁は3月、違法な海外オンラインカジノ経験者は推計で国内337万人に上り、賭け金総額は年間1兆2400億円との調査結果を公表。大阪維新の会が進めた大阪へのカジノ誘致と同時に、それまで処罰対象だった国内でのカジノ(IR)を合法化した国の責任を問う声も広がっています。
 シンポジウムでは、府が開設する「大阪依存症センター(仮称)」の課題や、大阪府が取り組むギャンブル依存症対策の問題点などが話し合われました。
 大阪府議会の各会派から議員6人が登壇。日本共産党の石川たえ議員は、カジノ事業者が、カジノを造れば必ず依存症患者が生まれると述べたとし、「最良の依存症対策は、カジノを造らせないこと」だと指摘。オンラインカジノについて、違法の周知に加え、決済代行業者の取り締まり強化が不可欠と述べました。
 大阪維新の会の府議は、「将来の経済の起爆剤としてIRは必要だ」と発言しました。
 シンポジウムに先だって、ギャンブル依存症問題を考える会の田中紀子代表が講演。通常国会で協議中のギャンブル依存症対策基本法改正について、罰則規定のないオンラインカジノ規制に実効力は期待できないと指摘。公営ギャンブルで依存症になった191人の調査結果を紹介し、半数超の100人が10代でギャンブルを始めたと指摘。「若いときにギャンブルを始めるほど、依存リスクが高くなる」と指摘しました。
 田中氏は、〝夜9時からのミッドナイト競輪!〟〝仕事帰りもリアルタイムで楽しめます〟〝若い人も競輪を楽しむムーブメントを〟などと、若者をターゲットにしたネット広告やテレビCMを展開する業界の手法を批判。クレジットカードで送金可能な決済システムや、ポイント還元、カタログギフト贈呈など、ありとあらゆる手法で若者を誘い込む汚い手口を告発し、「未来を担う宝の若者をギャンブルに誘い込まないで」と訴えました。

(大阪民主新報、2025年6月8日号より)

月別アーカイブ