万博会場 爆発濃度のガス検知
来場者の命と安全を守れ
日本共産党 山下よしき参院議員
対応ただし抜本策提案
大阪・関西万博の開幕直前の会場内で、着火すれば爆発する濃度のメタンガスが検知された問題で、日本共産党の山下よしき副委員長・参院議員(参院比例代表候補)が4月15日の参院環境委員会で質問し、来場者の命と安全を守る立場から、これまでの万博協会の対応の問題点をただした上で、抜本的な具体策を提案しました。
来場の党市議が検知し通報
政府 対策は十分でなかった
万博協会は、4月6日に行われた開幕前のテストラン(リハーサル)の最終日に、会場西側のグリーンワールド(GW)工区で、爆発危険濃度のメタンガスが検知されたと発表しました。
検知して通報したのは、テストランに参加していた元消防士で日本共産党守口市議の寺本健太氏。東トイレ付近の屋外電気設備の地下ピット(地下に設けられた空間)のふたとなっているマンホールの穴に、寺本氏が持参したガス検知器の測定部を差し込んだところ、爆発危険濃度のメタンガスを検知しました。
昨年3月にメタンガスの爆発事故が起きたのは、東トイレの建設工事現場。山下氏は、万博協会が6月に出した「会期中の安全対策」に記されている、「ガス濃度把握と安全確認の徹底」が実施されていなかったのは明らかだと批判し、内閣官房国際博覧会推進本部の茂木正事務局長代理は、「当該地点においては十分な対策ではなかった」と認めました。
連携・研修は絵に描いた餅
政府 万全な対応を指導する
「さらに重大な問題がある」と山下氏。ガスを検知した寺本氏によると、責任者に伝えるよう近くにいたスタッフに要請しましたが、その後、火気の取り扱いを制限するなどの対応はありませんでした。
「このままでは駄目だ」と思った寺本氏は、防災センターに駆け込んで事態を直接伝えようとしましたが、入口付近で警備員に制止されました。
山下氏は、寺本氏が自ら一一九番通報せざるを得なかったことは、「極めて深刻な事態だ」と批判。万博協会の「安全対策」が明記する「会場内の連絡・連携体制の確立」「現場で対応に当たる各施設運営スタッフ等への研修」は、「絵に描いた餅ではないか」と迫りました。
茂木氏は「必ずしも適切な対応ではなかった」と認め、「現場の警備員やスタッフ等の対応を含め、万博協会において万全な対応が行われるよう指導する」と答弁しました。
命と安全に責任ある体制を
浅尾環境相 安全・安心は重要
山下氏は、「いのち輝く未来社会のデザイン」を掲げる万博が、「来場者の命と安全に真剣な考慮を払い、責任ある体制を構築しないなら、万博を運営する資格が問われる」と強調。「これまでの万博協会の対応を見ると、メタンガスの危険性に対する認識が甘い」として、天六ガス爆発事故(1970年=写真左上=)や、兵庫県姫路市の埋め立て地でのガス爆発事故(2010年)の実例を示しました。
天六ガス爆発事故は4月8日、大阪市大淀区(現北区)の地下鉄天神橋筋六丁目駅の建設現場で発生しました。ガス配管から多量の都市ガスが漏れて爆発。79人が死亡、422人が負傷する大惨事となりました。
山下氏は、都市ガスの主成分はメタンガスだと指摘。万博会場の夢洲1区は現役の廃棄物最終処分場であり、発生し続けるメタンガスを排出するために、GW工区では83本のパイプ(ガス抜き管)が地中から突き出しているが、それだけで全部捕捉できないと述べました。
山下氏が、全ての地下ピットに強制換気装置を付けて、メタンガスの常時モニターを行い、会場全体にメタンガスの知識と技術を習得して訓練されたスタッフを配置するよう提案。茂木氏は「万博協会に伝えて対応を検討させたい」と答えました。
山下氏は、もし爆発事故が起きれば、最終的な責任は、博覧会推進本部長である石破茂総理にあると指摘。同本部全体でガス爆発の危険性に対する認識を高め、万博協会を指導できるよう、石破総理に伝えるよう求めたのに対し、浅尾慶一郎環境相は、「安全・安心な開催の実現は極めて重要。しっかりと対応してまいりたい」と答えました。
日本共産党 命と安全が最優先
一貫して危険性など追及
日本共産党の山下よしき副委員長・参院議員は、大阪湾に浮かぶ廃棄物の最終処分場である夢洲で万博を開くことの危険性や、万博がカジノと一体のものであることを、一貫して追及し、中止を求めてきました。
2022年11月から12月にかけて参院環境委員会で、夢洲は猛毒のPCBによる深刻な土壌汚染の恐れがある場所だとして、国による立ち入り調査を要求。夢洲での現地調査も行いました。
23年12月の参院予算委員会では、維新の大阪府・市政がカジノを核とした統合型リゾート(IR)誘致や万博開催へ動いた経過を振り返り、大阪・関西万博がIRのインフラ整備のために開かれることを明らかにした上で、万博もカジノも中止するよう強く要求しました。
生徒動員撤回を
昨年3月に会場建設現場でガス爆発事故が発生したのを受け、山下氏は6月4日の参院環境委員会で、「海に埋め立てた処分場を、まだ落ち着いてもいないのに万博会場にするのは、無理に無理を重ねるもの。その中で起こった爆発事故だ」と強調。事故後に文科省が出した、修学旅行で万博への動員を進める「通知」の撤回を求めました。
昨年7月、内閣府国際博覧会推進本部が、ガス爆発事故の責任が万博協会にあるとする文書を山下氏に提出。施行業者に責任があるとしてきた、それまでの政府見解を180度改めたものです。
昨年11月には、国会議員や大阪・近畿の地方議員と共に、万博の会場建設現場を視察。夢洲1区の第2交通ターミナル内で、「火気厳禁」との警告があるガス抜き管が林立していることを確認しました。
山下氏は経産省の担当者からの聞き取りの席上で、「私たちはいろいろな理由から万博に反対している。その指摘は、安全な万博運営に資するものだ」と、きっぱりと語りました。
(大阪民主新報、2025年4月27日・5月4日合併号より)