おおさかナウ

2025年04月05日

大門実紀史の「熱い心で政治を変える」
勇気ある人に寄り添って

 組織の不正やパワハラを内部告発した人が、最初に組織の側から受ける攻撃は、「あの人は変わった人だ」「もともとおかしかった」といった人格攻撃です。
 いまから12年前、大手出版社秋田書店は雑誌のプレゼントの景品数を水増ししていました。当選者100人と言いながら実際には5人にしか景品を送っていなかったのです。そんな不正はやめるようにと繰り返し求めた女性社員Sさん(当時28歳)を秋田書店は暴言、パワーハラスメントで精神疾患による休職に追い込んだあげく懲戒解雇しました。
 Sさんは消費者庁に告発し、消費者庁は2013年8月、景品表示法違反で同社を処分しました。またSさんは同年9月、解雇撤回を求めて東京地裁に提訴しました(その後、秋田書店は非を認め和解)。
 私もSさんの相談を受けこの問題を国会で取り上げました。
 Sさんが一番つらかったことはと聞くと、同僚社員たちが味方になってくれなかったことだと言われました。不正を見て見ぬふりをする社員たちは、Sさんを「空気の読めない変人」扱いにし、「あの人は入社した時からおかしかった」とまで言いふらすようになりました。Sさんを精神疾患にまで追い込んだのは上司の暴言だけでなく、同僚社員たちの無関心や冷酷さという組織的パワハラでした。
 パワハラはどんな組織でもなくさなければなりません。その際、勇気をもって声をあげた人に、周囲の人たちが寄り添うことが一番大事だと思っています。(だいもん・みきし 参院議員 次回は6月1日号に掲載)

(大阪民主新報、2025年4月6日号より)

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