おおさかナウ

2024年05月18日

万博遠足は不安だらけ
爆発事故も起きた夢洲
たつみ氏と米山大教組書記長が対談

対談する米山氏(左)と、たつみ氏(たつみ氏のユーチューブチャンネルより)

 大阪湾の埋め立て地、夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)で来年4月から2025年大阪・関西万博が開かれる予定ですが、この間、会場建設現場でガス爆発事故が起こるなど、危険性が浮き彫りになっています。ところが大阪府は、学校行事(遠足)として児童・生徒を参加させる「無料招待事業」を進めており、近畿の他府県でも同様の動きが出ています。子どもたちを万博に行かせて、本当に大丈夫なのか。日本共産党の、たつみコータロー衆院近畿比例候補が9日、大阪教職員組合(大教組)の米山幸治書記長との対談を、自らのユーチューブチャンネルで公開しました。

安全確認まで招待中止を

 大阪府の無料招待事業は昨年8月末、吉村洋文知事(大阪維新の会代表)が打ち出したもの。4歳から高校3年生までの大阪の子どもたち約102万人を、1回招待します。「無料」とはいえ、財源は府民の税金。府教委は各学校に対する参加意向調査を進め、5月末までに回答するよう求めています。
 3月28日、夢洲1区内のトイレの建設現場で、メタンガスに溶接の火花が引火して爆発事故が発生し、約100平方㍍の床が破損。幸い、けが人はなかったとされるものの、学校現場からは「万博開催中にも爆発事故が起きるのではないか」「子どもたちを連れて行って大丈夫か」などの声が出ています。
 大教組と大阪府立高等学校教職員組合、大阪府立障害児学校教職員組合は4月18日、吉村知事と水野達郎教育長に対して、府・府教委として事故について調査し、安全が確認できるまでは、無料招待事業と意向調査を中止するよう申し入れました。

行く日時も館も学校は選べない

 たつみ氏と米山氏の対談では、児童・生徒を万博に連れて行くことの問題点が浮き彫りになりました。まず、学校側は万博に行く日を選べないという問題。意向調査を希望を出しても、日程が決まるのはことし10月ごろです。

梅雨や猛暑期を避けたいのだが

 万博の開催は来年4月13日から10月13日まで。米山氏は、学校の遠足は通常、新学期早々や梅雨時、夏を中心とした暑い時期を避け、5月の大型連休明けに行われることが多いと指摘しました。
 府教委は1日最大1万4千人の児童・生徒が来場すると想定しており、「5月を希望していても、暑い時期に割り当てられることもありますね」と、たつみ氏。米山氏は、パビリオンも選べず、場合によっては割り当てになると話しました。

渋滞を想定せず電車も長時間に

 交通手段はどうか。府教委が委託する旅行会社が手配するのは、繁忙期で1日10台程度しかありません。たつみ氏は、それが確保されたとしても、例えば箕面市なら府教委の想定では、午前7時40分に学校を出発し、万博会場に9時到着。帰りは箕面市役所前に午後5時20分着で、しかもこれは交通渋滞による遅延は見込んでいないと話しました。

通勤ラッシュ時の地下鉄使用も

 米山氏は、出発の30分前には登校することが必要で、帰るのも午後5時20分というのは、普通の遠足では考えられないと指摘。さらに、駐車場から会場のゲートまで約800㍍あり、低学年の団体では約30分歩くことになると語りました。
 たつみ氏は、箕面市から電車で行く場合、阪急で大阪梅田駅まで行って地下鉄御堂筋線に乗り換え、次は本町駅で中央線に乗り換えると、1時間15分くらいかかると指摘しました。途中のトイレ休憩は欠かせず、「阪急梅田駅で20分はかかる」と米山氏。「乗り換えが2回あるだけでも大変。混雑の中、子どもたちを連れていかなければならない」と語りました。

爆発事故発生の夢洲1区で昼食

 昼食は団体休憩所で取ることになっていますが、「2千人しか収容できない。1万4千人の想定で、交代でやるとしても全員が団体休憩所で取ることにならない」と米山氏。たつみ氏は、団体休憩所はガス爆発事故が起きたのと同じ夢洲1区内にあると指摘。リング内でパビリオンを見て、団体休憩所に行き、またリング内に戻ることになり、米山氏は「遠足として考えたときに、いい形とは思えない」。
 夏の暑い時期には熱中症の不安も。水分補給は欠かせませんが、会場内での買い物はキャッシュレスが基本。米山氏は「水筒1本では足らない子どもは、2本、3本と持っていかなければならないという話もある」と話しました。

初めていくのに下見ができない

 米山氏は、遠足として初めて行く場所なのに、万博会場の下見も満足にできないなどの問題点を指摘。たつみ氏は、夢洲のアクセスは夢咲トンネルと夢舞大橋の2つしかないが、災害時の避難計画もまだできていないと強調し、「本当に安全が確保されていない状況で(万博への遠足を)押し付けるのは絶対に間違っている」と語りました。

(大阪民主新報、2024年5月19日号より)

 

月別アーカイブ