おおさかナウ

2024年05月18日

万博は祝賀資本主義の典型
トリクルアップ経済を促進
米パシフィック大 ボイコフ教授に聞く

ジュールズ・ボイコフ氏
 米パシフィック大学政治学教授。バルセロナ五輪(1992年)のサッカー米代表メンバー。邦訳書は「オリンピック秘史 120年の覇権と利権」(早川書房)、「オリンピック 反対する側の論理 東京・パリ・ロスをつなぐ世界の反対運動」(作品社)など。写真は本人提供。

 来年4月の開幕まで1年を切った2025年大阪・関西万博を巡り、会場建設費の大幅な上振れや建設現場での爆発事故、パビリオン建設の遅れなど、矛盾が噴出しています。BSTBSの「報道1930」で万博の問題点を指摘したのが、元サッカー米代表選手で、米パシフィック大学のジュール・ボイコフ教授。東京五輪(2021年)の反対運動に参加し、オリンピック史の著書もあるボイコフ氏に、電子メールでインタビューしました。(質問と回答の翻訳=松浦哲朗氏)

納税者がリスクを負い 民間企業が利益を得る

 ――ボイコフ教授は、2025年大阪万博について「祝賀資本主義の典型」と指摘しています。改めて大阪万博の問題点は。
ボイコフ 2025年の大阪万博は、祝賀資本主義の典型的な例です。公共が支払い、民間企業が利益を得るという偏った官民パートナーシップの利用です。これは、民間企業が大きな経済的利益を確保できるように、政府と納税者がリスクを吸収するという立派な模範です。
 オリンピック、サッカーワールドカップ、万博などの巨大イベントは、そのイベ ントがもたらす豊富なプラス面について、壮大な約束をする傾向があります。
 しかし現実には、巨大イベントは、すべて、あまりにも多くの例で、いわゆるトリクルアップ経済を助長します。この場合、すでに満杯になっている富裕層の懐にお金が上向きに流れ込むのです。

社会むしばむカジノが大阪万博の遺産になる

 ――大阪万博は、IR(カジノを核とした統合型リゾート)づくりと一体に進められてきました。そのことについてどう思いますか。
ボイコフ 大阪万博の遺産が、社会をむしばむカジノ、あるいは、「統合型リゾート」であるとすれば、それは実に悲しい遺産です。
 きっと、この地域はこの資金をもっと社会的に生産性のあることに利用できたはずです。

共産党府委の声明は重要問題を指摘している

 ――日本共産党大阪府委員会の声明(4月12日発表)についての感想を聞かせてください。
ボイコフ この声明は、上昇するコスト、偽りの持続可能性(英語で言うところのグリーンウォッシング)、そして民主的な情報を 受け入れる機会の欠如と いった祝賀資本主義の非常に重要な要素を、生きた動きの中で示しています。
 巨大イベントの主催者は、監視国家を強化する一方で、民主主義の手続きを短縮するために、巨大プロジェクトに固有な例外状態を利用します。

 

祝賀資本主義 Celebration Capitalism

 オリンピックなど祝賀的なイベントに乗じて、民間企業に利益をもたらす一方で、納税者にリスクを負わせる、偏った公民連携に特徴づけられる政治経済的構造。ジュールズ・ボイコフ氏が名付けた。

(大阪民主新報、2024年5月19日号より)

 

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