おおさかナウ

2024年03月23日

賃上げ直接支援する制度を
大阪府議会 環境産業労働常任委
石川府議が知事質問

賃上げを行う事業所に直接支援をと求める石川府議(右)=18日、府庁内

 日本共産党の石川たえ府議は18日、府議会環境産業労働常任委員会で、知事質問を行いました。石川氏は、中小企業と非正規労働者の多い大阪で賃上げは、大阪府も独自に行うべき課題だと強調し、「賃上げを進める事業所に対する支援制度を創設すべきだ」と求めました。
 石川氏は、大阪府内の中小企業の多くが業績が改善しない中で賃上げ努力を続けているとし、実質賃金が下がり続ける現状の中、「ここにこそ府の支援が必要。府として賃上げへ直接支援制度を創設すべき」と述べ、知事の認識をただしました。
 吉村洋文知事は、「従業員の賃金は会社経営の中で使用者が支払うもの」として、賃上げに対する直接支援制度の創設は考えていないと答弁。「中小企業自らが稼ぐ力をつけられるよう支援したい」と述べ、生産性向上や販路拡大支援、下請け取引改善など従来型の施策を講じると答弁しました。
 石川氏は、販路拡大や生産性向上などの支援だけでは賃金は上がっていかないと反論。「賃金を上げたくてもできない」と悲鳴を上げる事業者が多いと述べ、「知事は直接賃金は必要ないと考えるのか」とただしました。これに対し吉村氏は「賃上げは必要と考えるが、補助金で賃金を上げるのは持続可能ではない」と答えました。
 石川氏は、岩手県や山形県など賃上げ支援制度を設ける先行例を示し、「物価高騰が家計を直撃しているのは明らかで、なぜ直接的に賃上げにつながる支援に取り組まないのか不思議でならない」と述べ、「新たなイベントやインフラ整備を行えば府民所得が上がるというやり方は、バブル以前に通用しなくなっている。賃上げへの直接支援はいまや政治の仕事だ。中小・小規模事業者を支え、直接賃金が上がる施策の実施を求める」と述べました。

奨学金返済へ支援の拡充を
PFOA健康被害の調査を

 石川氏は、23年度に制度化され、24年度も事業継続となった奨学金返還支援制度について、1事業所当たり最大50万円のイニシャルコスト支援では奨学金本体の返済まで届かないと述べ、「奨学金本体まで返済支援が届くよう、上限額を拡充すべきだ」と求めました。
 吉村氏は、50万円の支援は「制度導入時の負担軽減を図る企業へのインセンティブ」と説明。「奨学金返還支援は、企業自身が自主的な取り組みとして実施していただくことが重要。府としては奨学金そのものに対する支援ではなく、奨学金の返済を支援する企業を支援していく」と答弁しました。
 石川氏は、発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFOA)が府内の地下水から高濃度で検出された問題を取り上げ、世界保健機関(WHO)傘下の「国際がん研究機関」(IARC)が昨年、PFOAを「もっとも発がん性のあるランクグループ1」に指定したと指摘。「健康被害が不安という住民の声に応え、全国どこよりも基準値以上のPFOAが検出された大阪府として、被害状況をつかむべきだ」と述べ、希望する住民全員を対象に、血液検査を行うよう知事に求めました。
 吉村知事は、国の専門家会議の「血中濃度でどのような健康被害が生じるかについて明らかになっていない」との見解を示し、PFOA環境基準の見直し作業を注視していくと答弁しました。
 石川氏は「PFOAを含むPFASは、自然環境の中で分解せず、永遠の環境汚染化学物質とも呼ばれている」と述べ、健康影響のメカニズム解明のためにも生体検査が必要だと指摘。「水質だけでなく、土壌や人体への影響を分析する調査を、知事が決断すべきだ」と求めました。

(大阪民主新報、2024年3月24日号より)

 

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