おおさかナウ

2024年03月09日

大阪市の公園樹・街路樹大量伐採計画
市は伐採計画を中止し維持管理予算の増額を

 大阪市の公園樹・街路樹の大量伐採・撤去計画の見直しを求めて、市民が声を上げています。
 大阪市は「公園樹・街路樹の安全対策事業」として、2018年度から24年度までに、街路樹約1万2千本と公園樹約7千本を伐採撤去する計画を進めています。今年度までの総事業費は55億円です。

伐採必要なしの診断の木も

 「大阪市の街路樹撤去を考える会」の依頼で、伐採対象の樹木を調査した樹木医は、「安全対策事業」の対象樹木の選定について、「根拠に合理性を欠いているものが多く含まれている可能性が高い」と鑑定。同会が入手した市委託のコンサルタント会社の報告書でも、樹木医が調査した公園樹の7割は伐採必要なしと判定。ところがその3割に当たる約600本が、伐採対象になっていました。

2・3月議会に陳情相次ぎ

 「考える会」が呼び掛けた「安全対策事業」見直しを求めるインターネット署名は8525人分になりました。
 2・3月市議会には、「考える会」が、事業についての丁寧な説明・広報や市民との対話、公園樹・街路樹の維持管理予算の増額などを求める陳情を提出。大阪から公害をなくす会、道路公害反対運動大阪連絡会、原発ゼロの会・大阪エネルギー部会も、事業をいったんストップすることや、住民への説明、樹木の維持管理・保全育成の日常化などを求める陳情署名を提出し、各会派と懇談しました。
 地元住民が求めて、市や公園事務所による説明会も各地で開かれています。
 市側は、「根上がり」「視距阻害」などを理由に挙げ、樹木医が「剪定または保存」と判定した木も「将来的にリスクの可能性」などと説明してきました。市民らは、「剪定や根上がり対策で経過観察を」「温暖化が進む中、日陰効果、二酸化炭素の吸収効果が高い高木は重要」「木は市民の財産。市民の声を聞くべき」と訴えてきました。
 今議会で陳情を取り上げた日本共産党の井上浩議員は、樹木医が伐採不要と診断した木は残して日常的に経過観察することや、市民との双方向型の説明会を行うこと、科学的根拠を示し、専門家の診断を尊重する姿勢などを市に求めました。

市民の声受け残された木も

 大阪市中央区の高津公園では、伐採対象のイチョウ6本のうち4本が、伐採中止を求める声を受けて残っています。
 一方、撤去理由の貼り紙が他の木と間違えて貼られたり、住民監査請求で伐採の執行停止を求めいた木が「手違い」で切られるなど、ずさんさも際立っています。「将来性のリスクの可能性」を強調する大阪市が、樹木の大量伐採による環境への影響については、「環境アセスメントの対象外」として全く考慮していないことも明らかになっています。

25年前よりも低い管理予算

伐採対象の街路樹前で大阪市当局の説明を受ける市民=1月29日、大阪市東住吉区内

 2023年度の公園樹・街路樹の維持管理費は11億8千万円。四半世紀前の1998年の維持管理費は、それよりも多い約12億円で、2012年以降、10億円前後に減っています。98年に690円だった大阪の最低賃金は昨年1064円になりました。物価や人件費との関係をみても、10億円で十分な維持管理ができるとは考えられません。
 1964年の大阪市「緑化百年宣言」に基いて、長年育てられてきた大阪市の財産の維持管理の手を薄くしながら、半年後に撤去する大阪万博の木造リングに350億円かけることに、市民の批判が高まるのも当然です。

(大阪民主新報、2024年3月10・17日号より)

 

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