おおさかナウ

2023年12月09日

宮本岳志のよもやま話
大学自治破壊を進める理由

 11月20日に衆議院を通過させられた学問の自由と大学の自治を破壊する国立大学法人法改悪案は、いよいよ参議院でのたたかいの正念場を迎えています。この法案は、東大、京大、阪大など、5つの旧帝大に「運営方針会議」という大学の運営全般についての決定権を持つ合議体を置き、その委員の選任には文部科学大臣の承認を必要とするというものです。
 そもそも日本国憲法が「思想・信条の自由」と区別して23条に「学問の自由」を定めているのは、京大滝川事件や大阪商大事件など、戦前には学問に対する苛烈な弾圧が加えられた痛苦の歴史を踏まえたものです。大学の運営に文部科学大臣の承認が必要というような制度が、日本国憲法のもとで断じて許されないことは当然です。
 ここまで露骨な大学自治の破壊を進める理由は何か。私は衆議院で、それは「デュアル・ユース(軍民両用)」の名のもとに大学に軍事研究を押し付けることが目的だと暴露し論戦しました。つまり「海外で戦争する国」への具体化なのです。
 昨年12月に岸田内閣が閣議決定した安保三文書の一つ「国家安全保障戦略」では、「総合的な防衛体制の強化に資する科学技術の研究開発の推進」が掲げられ、それを受けた関係閣僚会議で文科大臣は「総合的な防衛体制の強化にしっかりと貢献していく」などと発言しました。
 大学や国立研究機関に軍事研究を押し付ける企みを断じて許さず、学問の自由と大学の自治を守り抜くために私も全力を尽くします。(みやもと・たけし 日本共産党衆院議員 次回は1月14日号に掲載)

(大阪民主新報、2023年12月10日号より)

 

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